神戸女性刺殺容疑者を「野放し」にした3年前の判決 保護観察すら付けず、専門家は疑問視
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治療を義務付ける仕組みがあるのは保護観察と刑務所だ。いずれもストーカーに特化した治療プログラムはないが、保護観察では令和3年に対象者の類型にストーカーを追加。被害者への接近禁止など特性に応じた指導を行うほか、必要に応じて、思考のゆがみに対処する認知行動療法による性犯罪防止と暴力防止のプログラムを受けさせることができる。警察に対象者の情報を共有する仕組みも整えられている。
刑務所でも「特別改善指導」として性犯罪を対象とした同様のプログラムを実施。今年6月の拘禁刑導入に合わせて、暴力防止プログラムも全国に拡大された。
保護観察は執行猶予判決を言い渡す際、再犯リスクの高さなどを考慮して裁判官が裁量でつけることができる。しかし、刑の全部執行猶予に保護観察をつける割合は減少傾向にあり、5年は平成以降最低の6%だった。
原田氏は「谷本容疑者には保護観察をつけ、治療を受けさせるべきだった」と指摘。ストーカーは罰金刑を受けるだけで〝野放し〟とされることも多く、「再犯予測や再犯防止の研究が進んでいるのに、刑事司法は科学の進歩を生かせていない。海外のように裁判所が治療を命じられる制度を導入しなければ、被害は繰り返される」と警鐘を鳴らしている。(西山瑞穂)
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