ウクライナや西側メディアは「製油所への攻撃でロシアはガソリン不足に陥っている」と報道しているものの、ロシアメディアは「製油所に対する攻撃」について殆ど報道しておらず、お大げさな報道なのか事実なのか判断がつかなかったが、ロシア人コミュニティでも不満の声が上がり始めた。
参考:Свидетели Байрактара
参考:Старше Эдды
参考:Горящие НПЗ: что делать
経済制裁など間接的な締め上げでも弱音を吐かなかったロシア人コミュニティが製油所攻撃に危機感を抱いているのは非常に興味深い
交戦国の公式発表には「敵に与えた損害を大声で叫び」「自国が被った被害については沈黙する」というルールが存在するものの、ウクライナメディアは機密に触れない範囲で「政府・軍発表と異なる前線の状況」「自軍の不味い問題」「ロシア軍の攻撃で被った被害」「海外メディアの報道に基づくウクライナの国際的な立場」などを報道しているが、ロシアメディアは公式発表に忠誠心を示す必要があるため「ロシア軍の信頼を傷つけるような報道」は一切していない。
ウクライナメディアや西側メディアは「ロシアの製油所がウクライナ軍の無人機攻撃を受けてガソリン不足に陥っている」と報道しているものの、ロシアメディアはガソリン不足どころか「製油所に対する攻撃」について殆ど報道しておらず、モニター越しで状況を見守る観察者には「ウクライナメディアや西側メディアによる大げさな報道なのか」「ロシア軍の信頼を傷つける触れてはならない事実なのか」判断がつかなかったが、遂に情報空間=Telegram上でロシア人が不満を述べ始めた。
RIAノーボスチのアレクサンドル・ハルチェンコ特派員は28日「ウクライナ軍の無人機が我々の製油所を攻撃している」「私はこの状況を説明するのに適切な言葉を見つけられずにいる」「一番の驚きは類似した攻撃が何十回も発生しているのに職務怠慢で逮捕・投獄されたものがいないことだ」「我々はウクライナ軍の無人機に対抗する手段を全て持っているのに具体的な行動を取っていない」と指摘。
これに対してロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは「無人機攻撃への対抗策をあれこれ持ち出して官僚主義を非難するのは愚かだが対抗策が講じられていないのも事実だ」「国内には老朽化を理由に運用されていないMi-24とMi-8が多数存在する」「これに赤外線装置を搭載すれば無人機の迎撃能力が向上するかもしれない」「レーダーなしに遠く離れたドローンを捕捉するのは困難でも製油所に対するポイントディフェンスには役に立つ」「これは手間のかかる面倒なアプローチかもしれない」「それでも燃料価格の高騰や燃料不足による経済へのダメージを考えれば製油所を操業停止させるより安上がりだ」と回答。
さらにあるロシア人(Старше Эдды)がRYBARの回答を引用して「長距離兵器分野において我々より何十倍も劣る敵に破壊される石油、ガス、その他インフラの映像を海外メディアが流すという屈辱を避けたいなら行動を起こせ」と訴えて注目を集めている。
“1918年末の最高傑作と比べて僅かに劣る程度のウクライナ製無人機と戦い方法は2つしかない。1つ目は現状維持、つまり燃える製油所の報道を禁止し「全て上手く行っている」と装うことだ。そうすれば法を遵守する市民は安心して眠り、製油所から立ち上る火柱を祝日の花火と思い込むだろう。なぜなら緊急事態を知らせるロシアのメッセンジャーには都合の悪い情報が一切表示されないからだ。善良な市民が問題に気づくのは実家へパンケーキを食べに行く際、ガソリンスタンドで車に給油できなくなった時だけだ”
“2つ目は前者よりも遥かに困難で費用がかかり、頭脳と意思の力、そして創造的なアプローチを必要としている。無人機の発見、追跡、破壊に従事できる者に防衛権限の一部を移譲し、必要な装備を購入するための資金を与えることだ。何度も指摘されているように問題は迎撃手段ではなく状況に対する怠慢、問題に対処しようとする積極性の欠如、もし責任の範囲で何かが起こったらという恐怖や能力不足にある”
“我々には持っている手段を工夫することで無人機攻撃の被害を食い止めることが可能だが、そのためには何千人もの人々を動員したり、多額の資金を投資し、多くの苦労を乗り越える必要があるだろう。さらに誰かが権限の一部を手放す必要もある。それでも見返りは苦労した分の100倍になる。製油所の価値は組織全体よりも遥かに大きく、長距離兵器分野において我々より何十倍も劣る敵に破壊される石油、ガス、その他インフラの映像を海外メディアが流すという屈辱を避けられるのだから”
ロシア人ミルブロガーの中でも影響力が大きいRYBARやДва майораもСтарше Эддыの投稿を無言で引用しており、この問題は徐々にロシア人コミュニティの中でも言及されることが、鋭い言葉で当局を批判することが増えているため、ウクライナメディアや西側メディアが報道する製油所攻撃の効果は「大げさ」ではなく「事実」である可能性が高まってきた。
勿論、現在の製油所攻撃だけでロシアの市民生活が完全に麻痺するわけではなく、ウクライナでの戦闘に支障が生じる訳では無いものの、経済制裁など間接的な締め上げでも弱音を吐かなかったロシア人コミュニティが製油所に対する影響、ガソリン価格の高騰、無人機攻撃を阻止する困難さに危機感を抱いているのは非常に興味深く、この戦争が常に一方的ではないことを物語っている事例だろう。
※アイキャッチ画像の出典:ЦАПЛІЄНКО_UKRAINE FIGHTS
















産油国なのにガソリン不足、高騰していると聞いて、やっぱり長期間の戦争は国力を棄損することはあっても増やすことはないんだなと改めて思いました。
プーチンもロシア人もそろそろ気づいてくれればなぁ
アメリカも一時期ガソリン不足って事もあってね
このロシア人の反応をみる限り、ウクライナはあの世界を驚かせた特殊作戦で撃破してもロシア国民の生活にあまり影響を与えない戦略爆撃機よりロシア中の製油所と原油採掘施設なり天然ガス採掘施なりを一斉攻撃したほうが、ロシア国内での厭戦機運の上昇と政権への打撃という意味ではよかったんじゃないだろうか?
爆撃機は1機のドローンで1機を潰すのが精一杯だけど、製油所や採掘施設は1ヒットで大火災狙えるし、多数を一気に攻撃すれば今の影響の比ではないだろうし。
ロシアもよくウクライナの発電所攻撃してますし、厭戦気分の醸造という効果だけみるならインフラ狙うのが効果があるんでしょうねえ
打たれ弱いインフラを維持するのはリスクが大きい時代になりましたね
我が国は本気で原発を続けていくんでしょうか?
見方を変えて、「我が国に核を使えば報復で原発を攻撃します」って宣言すれば効果ありそうですね。
核兵器保有国は必ず原発もありますし。
中国相手ならダムの方が効く
1番効率が良い発電方法は火力発電だけど 環境的問題で今後廃止になる そうなると次に良いのは原子力発電 国全体を補うには原子力しかないと思う ソーラーパネルや風力などの発電は効率が悪い 今後の事を考えてわがまま言ってられない
>一番の驚きは類似した攻撃が何十回も発生しているのに職務怠慢で逮捕・投獄されたものがいないことだ
ロシアにおける業務上過失の適用範囲が西側と露骨に違うことについてロシア人自身はどう思っているのか長年の疑問でした。これを聞く限り、プーチンが過去に好んでやっていた「(怠慢を働いたとプーチンが見なした)部下の高級官僚をテレビで叱責して刑事罰を課すところを国民に中継する」スタイルは完全にロシア社会に根付いているみたいですね。引責辞任でも更迭でもない、逮捕投獄は近代国家のやり方じゃないです。
>「我々はウクライナ軍の無人機に対抗する手段を全て持っているのに具体的な行動を取っていない」
対抗手段が不足しているからこうなっているんですよね。「ロシアは常に誰より優れているのに、怠慢と汚職に励む中間役人や軍人が事態を悪化させている」みたいな認知は↑の役人激詰めライブでプーチンが国民に浸透させたかった価値観で、この手の短い発信からもロシア社会の認知がかなり歪んでしまっているのを感じます。
「ロシアは常に誰より優れているのに、怠慢と汚職に励む中間役人や軍人が事態を悪化させている」
まさしくトランプ主義的発想というか、右派ポピュリズムの常套句というか
日本でも流行ってますが、とにかく気持ちいいんでしょうね、このナラティブ
なぜか米高騰の黒幕にされるJA···まぁあれはよりにもよって農水大臣が変なこと言ったのもありましたが
直近だとJICAを潰せみたいなトンデモ話もあるとか。
財務省解体デモしたら解体出来ると思ってる 変な人達なんですよ
そして全員日本国旗を振る 解体デモで日本国旗を振る意味が僕には分からない
きっと彼らにとって祖国日本ってのは正義の権化なんでしょう
だから彼らは祖国のシンボルである国旗を持ち出して、自分達こそが正義を守る唯一の存在だと主張する
財務省解体デモで国旗を持ってくる行為だって、彼らに言わせりゃあ絶対正義の中に潜む獅子身中の虫を排除する行為なんじゃないかな
俺たちは内部の敵によって苦しめられている!というレトリックは昔からあるしね…
今回の攻撃で炎上した石油施設はウクライナから相当離れていたらしいのでフラミンゴの可能性もありますよね
昨晩のウクライナへの空襲は過去最大規模のものでしたね···シャヘドその他無人機が600機近くに加えてキンジャールにイスカンデルM、Xー101と。フラミンゴでシャヘドの発射拠点を叩ければ良いのですが···
日本でも同じですよね。
ガソリンのような生活インフラ、水道光熱費などの値上げや供給不足は、庶民の不満を招きます。
需給が乱れれば、一気に値上がりしますから、製油所防衛が重要との指摘は妥当と思います。
日本目線で見れば、国家備蓄の防衛をどうするのかも考えとくべきかもしれませんね(海岸に剥き出しが多いからです)。
一応、今までも石油関連施設への攻撃はあったのに、
なぜ今までと違う結果になったのか
ウクライナの長距離型の無人機が増えたせいなのか
量産が始まっているらしいフラミンゴ巡航ミサイルは射程3000km、弾頭重量1150kgと文字通り桁違いなので、それが使用された結果ではないかと
真珠湾も戦艦じゃなくて石油タンク狙ってれば戦況変わってたのかな
あまり変わらない
真珠湾攻撃は マレー侵攻の邪魔をさせない為に米艦隊に致命傷を与える作戦
ハワイの石油は民需じゃないから厭戦気分醸成には役立たないし
タンク全器を完全破壊する程の打撃力が日本の機動部隊に無かったから
米軍はしばらく補給に苦しむ事にはなっただろうけど致命的な事にはならず
逆に日本海軍はどこに出て来るか分からん健在の米戦艦群を警戒して動きが鈍るだろうから
ミッドウェーまでの快進撃すら無くなった可能性が高そう
モスクワにフラミンゴが何発も打ち込まれクレムリン宮殿が
炎上すれば何が起こるか、、、
キエフは灰になります。ウクライナにもロシアにも友人が
います。敵国の中枢を攻撃すれば、交渉は不可能になる
最低限の外交ルールでありこれは絶対に守らなければ
際限のないエスカレーションで国家が消滅しないよう
切に望みます。不幸になるのはゼレンスキーではなく一般市民
ただ、ロシアはどれだけ人民の生活を犠牲にしようとも戦って勝って来た歴史あるからなぁ……
17%が犠牲になれば、17%の人間が苦しむだけで終わる可能性が高い