女性と暴力をめぐる現在 ーー「知るかバカうどん」と彼女の作品について寄稿しました。
お久しぶりです。
8月下旬、夏休みの終わりを感じる時期ですね。
個人的には、反戦・反核・慰霊のムード漂う8月上旬が終わってホッとしています。答えが決まっている話ほどつまらないものはないと思っている性質なので、8月上旬のインターネット空間が嫌いかつ苦手なのです。
最近は、『「ストーリーが」「面白い」「エロマンガ」 〈エロマンガの読み方〉がわかる本9』という同人誌に寄稿しました。知るかバカうどん作品について書いています。
知るかバカうどんと彼女の作品を通して見る 近年の「女性と暴力表現」をめぐる問題
私が寄稿した内容についてざっくりいうと、エロ漫画家・知るかばかうどんと彼女の作品の受容のされ方、とりわけ、女性と暴力表現をめぐる問題についてです。
「女性と暴力」の問題は今、奇妙な形でねじれていると思うのですよね。
知るかバカうどん作品について
知るかバカうどんをご存じない方向けに簡単に作風を説明すると、暴力、いじめ、貧困、薬物、スカトロ、小児性愛、知的障害など、現代社会におけるタブーや人間の負の側面が題材となることがほとんどで、社会で不可視化されやすい存在がリアリスティックに描かれ、救いがない結末を迎えるものが多いことが特徴です。
特に成年誌デビュー近辺に同人商業問わず発表された「ぼこぼこりんっ」シリーズは、様々な暴力のインターセクショナリティ(交差性)!と歓喜したくなる、暴力と最悪と単純化することができず割り切れない後味の悪さが交互に押し寄せる読書体験は他では味わえない素晴らしさがあります。
(個人的には、「金の玉子で親子丼」「嘘もつかない純粋な存在(同人版)」が特に好きです。)
娘が誘拐されても自身の(金銭的に不自由ない)生活が第一な托卵女子
知るかバカうどんは、不快なものを執拗に描き、自身の怒りを原動力にするタイプの作家にみえます。
母親に言われたくないことランキングがあればきっと殿堂入りする(笑)
出版社移籍に伴い発売された『君に愛されて痛かった』新装版第5巻あとがきでは、「妬み辛み恨みを発散させるのはええけど「昇華」「補助」以外、クソ!キッショ!!!おわり‼」と語っていますし、SNSでの発言やあとがきを読んでもそう感じます。
女性と暴力表現について
大前提として、女性作家の暴力表現は歴史を通して抑圧され、不可視化されているといえます。
暴力的な作風の女性作家という立ち位置は、過去には保守的な性道徳、現代ではフェミニズムやポリティカルコレクトネスといったリベラルな性規範により冷遇されています。
フェミニズムは、男性の怒りに対し女性の怒りが正当に受け取られないこと、嘲笑や憎悪の対象とされやすいことを不平等の象徴とみなす一方で、伝統的なジェンダー意識をなぞるような形で、女性にしばしば非暴力・ケアといった属性をあてがい、男性の暴力性に対する道徳的な優位性を主張する傾向があります。
また、女性の怒りや暴力性を被害者構造に焦点を当て擁護する一方で、女性による暴力的な表現に対しては、男性社会への抗議や抵抗をテーマとするもの以外は避けて不可視化する傾向があります。
女性の個人的な経験、怒りやトラウマを作品に昇華させることはフェミニズムアートの王道であり、そうした点から見れば、知るかバカうどんはフェミニスト的な表現者ともいうことも可能なのですが、「私たちは買われた展」批判への反応などを見ても、どちらかというと、「フェミ(ニスト)」に叩かれる作家として認識されているように思います。
というような感じで、知るかバカうどんと彼女の作品・それらを取り巻く反応など含め、近年の「女性と暴力」問題の奇妙なねじれについて書いています。
他の方の論考も大変おもしろいので、
気になる方、詳細は購入して読んで下さいね。
よろしくお願い致します。
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