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その音ゲーをすると毎回同じ場所の皮がむける

我々はリズムに乗るために生まれた。
リズムを産み、リズムを刻み、リズムに漂い、リズムに抱かれて眠る。リズムこそが人生であり、リズムなきところに人生は存在しない。リズムにどれだけ乗れるかが大切だ。

リズムに乗るためには、音楽を聴く、ライブに行く、楽器を奏でるなどいろいろな方法があるけれど、「音ゲー」と呼ばれるものに勤しむのも、その一つだ。音ゲーは自宅のパソコンなどでもできるし、ゲームセンターなどに行ってもプレイすることができる。

私は音ゲーを自宅でも、ゲームセンターでもあまりしない。というか、全くしない。なぜならリズム感がないからだ。リズムこそ大切と書いたけれど、誰もがリズム感があるわけではない。私にはないのだ。全然ない。

音ゲーは、たとえば、複数のバーみたいなのが画面上部から下部へと落ちてきて、任意のタイミングで決められたボタンを入力することで、点数がもらえ、その点数が高ければ、クリアということになる。

これが全然できない。
たぶん落ちてくるバーは音楽に合わせてものだとは思うのだけれど、リズム感がないから、全然タイミングよくボタンが押せない。音楽を無視して、任意のタイミングに全てをかけてボタンを押す方法もあると思うけれど、反射神経なのか、全然押せない。

太鼓の達人だとわかりやすい。
「ドン」と「カ」があって、「ドン」なら太鼓の中央を、「カ」なら太鼓の縁を叩く。左から右にドンとカがアイコンと共に流れてきて、タイミングよく、ドンとか、カとかと太鼓を叩く。それが全然できない。マジでできない。逆コンボになる。一度もタイミングよく叩けないので、本来ならタイミングよく叩くことで増えるコンボが、逆のコンボとしてたまる。

そんなわけで、私は音ゲーをしないのだけれど、いつだっかた知人とゲームセンターに行って、音ゲーをしようとなった。二人で並んで同じ音楽でそれぞれプレイできる音ゲーもあるのだ。

知人はハマっているらしい。
私も音ゲーが嫌いとかではないし、やってみたくはあるので、やったわけだけれど、終わった後に知人が「タイミングずれるわ!」と言われた。私が鳴らす音がやはり全然リズムにあっていないらしく、そのせいで知人のリズムが狂ったらしい。

私はそんな話を聞きながら、いやそんなことより、と思っていた。

親指の甲の方の付け根の皮がむけているのだ。しかも両手。意味がわからない。その場所はその音ゲーで使う場所ではない。思い出してみると、と頑張ったけれど、熱中していたので、どのようにその音ゲーをしていたか思い出せない。

考えられるのは、と思い知人を見る。
隣で暴れながら知人がプレイしていた可能性がある。リズムに派手の乗るタイプかもしれない。もう狂喜乱舞して、隣でプレイする私に攻撃したのかもしれない。きっとそうに違いなという結論に至った。車の運転で人が変わるように、リズムでも人が変わるということがあるのかもしれない。

しばらくしてから私は一人で先の音ゲーをした。もちろん逆コンボのパーフェクトゲームを決めた。そして、同じ場所の皮がむけていた。前回と同じように両手の。なぜだろう、と謎は深まるばかりだ。

そして、思う。
知人よ、ごめんと。あれからというもの、私は知人と会う度に、音ゲーで人が変わるタイプと思っていた。攻撃的になるタイプと思っていた。ネットで調べても、その音ゲーで私と同じように皮がむけた、という人はいなかった。だからこそ、知人が私を攻撃したのだと思い込んでいた。

知人よ、ごめんという話だ。

あと私が乱舞している可能性もある。
音楽に合わせ乱舞しているから、逆コンボを決められているのかもしれない。私はリズムに身を回せ、リズムの中で泳いでいるので、どんな風にその音ゲーをやっているか記憶がない。この可能性も捨てきれない。なぜなら人生とはリズムだからだ。

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その音ゲーをすると毎回同じ場所の皮がむける|地主恵亮
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