防衛省は2026年度予算案の概算要求で、過去最大となるおよそ8兆8千億円を求める方針だ。約8兆7千億円だった今年度当初予算を上回る規模である。
現行の防衛力整備計画は23~27年度の防衛費総額で43兆円を見込み、前の5年間の計画から5割ほど増やした。年間およそ1兆円ずつ積み増し、最終の27年度に防衛関連予算で国内総生産(GDP)比2%を達成する予定となっている。
今年度の防衛関連予算は、防衛省8・5兆円に海上保安庁や安全保障関連の科学技術研究予算なども加えて計9・9兆円だった。これは、基準年である22年度の名目GDP567兆円の1・8%に相当する。
もし秋の臨時国会で補正予算があり、その中で防衛関連予算を1・4兆円ほど積み増すと、今年度予算は11・3兆円となり、これでGDP比2%達成になる。
これは相当なスピードに見えるが、国際環境は急変しており、これでも防衛費増のペースは遅い。世界的には、さらにスピードを増して防衛費の積み増しが潮流となっている。欧州ではウクライナ侵攻、アジアでも中国の拡張主義が明らかになっているからだ。
このため、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は3月、防衛力強化に向けて最大で8000億ユーロ(約130兆円)規模の投資を目指す計画を発表した。
スウェーデンも防衛費を30年までにGDP比3・5%に増額する考えを示す。台湾は2月に防衛費をGDP比3%以上にすると公表した。
さらに、6月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、国防関連予算を5%に上げることで合意した。この国防関連予算は、国防費3・5%、インフラ整備など国防関連予算1・5%で計5%となる。
トランプ米政権のコルビー国防次官(政策担当)はこれまで、少なくとも3%にすべきだとの考えを公に示してきたが、今では3・5%要求のようだ。3・5%となると、22年度名目GDPを基準としても、19・8兆円となる。現行の防衛力整備計画も改定する必要がある。
安倍晋三元首相の尽力により、防衛国債で防衛費をまかなえるようになった。防衛国債を増発して、一刻も早く防衛関連予算増に努力しなければいけない。
世界の流れの中で考えると、26年度の概算要求が8・8兆円というのは少なすぎる。防衛力整備計画を改定し、防衛費を増すべきだ。「汝(なんじ)平和を欲せば、戦への備えをせよ」という格言もあるように、防衛費増は戦争確率を減らせる。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)