3週間で100話の良質なAI怪談を生み出した手法とプロンプトについて
3週間で、100話のAI怪談を作りました。
この記事では、その具体的な創作プロセスと、実際に使用したプロンプト内容をノウハウとして公開します。
※怪談として設計してますが、他の短編でもいけます
なぜ、私はAIと怪談を100話も創ることになったのか
はじめまして。花笠と申します。
普段はAIを活用した実験作品やAIイラストを生成して遊んでいます。ChatGPT 3.5登場以降、例に漏れずAIの世界にのめり込み、AIを活用し、さまざまな事に挑戦しています。
そんな中、私はずっと物語が作りたい、と思いがありました。ただ、私には文才がない。それは、手の届かない夢物語のはず、でした。
怪談を作るきっかけとなったのは、いつもの実験精神です。
普段からコーティングや企画作業ではCursorを通じて
Gemini 2.5 Proモデルを愛用していました。
その一環で「Gemini 2.5 Proの物語生成能力を確かめたい」という気持ちが湧いてきました。
本業がエンタメ業なので、本業での活用や、何かのエンタメサービスとして打ち出せるかもしれない、そんな思いから、このモデルを突き詰めて実験することにしました。
せっかくなので、自分の大好きな「ホラー」を。
さらに組み合わせるのが難しそうな
「AI」をテーマに含めることにしました。
試行錯誤をしながら何度もプロンプトを突き詰めました。
結果、生成された物語に、唖然としました。
あまりに好み。あまりに面白い。
短い文章の中に伏線を張り、
にやりと、ほろりと、ゾクッとする感情を、見事に描き出すのです。
今まで本業で何冊もエンタメ書籍をプロデュースしてるので、物語を見る目は、そこまで悪いわけではないはず。
そんな私が読んでも、ちゃんと、面白いのです。
次は怖く。
次は笑える。
次は感動系。
私は止めることができなくなり、
気がつけば、100話のAI怪談「※この話はAIのハルシネーションです」がnoteに投稿されていました。
AI怪談100話の具体的な例を紹介
AI怪談と謳っていますが、
イメージは「世にも奇◯な物語」のようなオムニバス形式で、一話完結。
純粋なホラーもありますが、
SFめいたもの、
コントじみたもの、
笑えるような話など、その時の気分で様々なバリエーションがあります。
そのうちのいくつかを紹介させてください。
◯AI面接─ラストバトル
近い将来、みんながAI搭載スカウターをつけるようになった時代の
企業面接がどうなるかを描いた短編です。
面接中のブルートフォース攻撃や意外なオチをAIが考えてくれて、感動しました。
◯織田信長、えいあいと謁見す
歴史的人物がAIと出会ったら。この手のIFは本当にワクワクします。
ただ未来人と会いすぎてる信長は、AIをどう評価するか、という観点で描くのは実に楽しいものです。
◯最終回『きらめき☆アジャイルハート』
仕事現場を想像しながら「地獄」を描いてみました。
AI自身がノリノリで書いてくれた感がありました。
また、結構ガチ目のホラー、ハードボイルド、エモ青春系、異世界転生、クライムサスペンス、など様々なジャンルを生成しました。
他にも、Xのコミュニティノートを活用したホラー、童話、AI自体とのやり取り、実況配信、企業の謝罪文、製品説明書、フェイクドキュメンタリー、事故レポート、対談記事など、単なる小説形式を超えた、様々なフォーマットを出力させましたが、どれもよく出来てると自信を持って言えます。
中には「AIを使わないと読めない記事」なんかもあって、AIの発想力に唸らされました。
このような話はAI無しでは描きようもありません。
こんな一言の短編も。怖い。
創作プロセスの解剖
この100話の創作において、私とAIの関係は、怪談ごとに異なります。
ベースとなる基礎プロンプトがありますが、それとは別に、都度指示があります。
およそ以下のような方法と割合でした。
話の大筋をこちらで考えて、そのプロットに沿って物語を作らせる。
出力を読みながら、好みの物語になるよう、プロットを何度も調整する。プロットが安定しだすと、生成ボタンを何度か押して、良いガチャを引く
[全体の40%]大きなテーマだけ与えて、物語を一度作らせる。その物語の気になる部分を順次調整していく
[全体の30%]大きなテーマだけ与えて、ほぼそのまま。細部だけ人間で微調整
[全体の20%]完全にお任せガチャ。調整もほぼなし
[全体の10%]
一話を完成させるのに、平均30分間。
9割がスマホで生成し、スマホで見出し画像生成し、スマホでnoteに投稿しています。通勤中、お風呂の中、寝る前にどんどん作っていました。
このプロセスにおいて、私の役割は「作家」ではなく「編集者」に近いと感じました。AIという優秀だけど方向性のない作家に対し、
①向かうべきゴールを設定
②アウトプットを評価・修正
③最終的な調整
を担っていました。
言い換えれば、完全にAI任せで100話を作るには、まだ少し難しいかなという印象も持っています。
ちなみに、全体で指示している具体的なプロンプトについては、後述します。
AIは人間の創造性を奪うのか?
このプロジェクトを通して、私はたびたび考えました。
「AIは、人間の創造を奪うのだろうか?」
実際に、エンタメに関わってる人間として、
恐怖を覚えた瞬間は結構あります。
怪談に、ではなく、自分の立場が危ういぞという意味で。
ただ、100話を生成して私が導き出した結論は以下のとおりです。
私にとって、AIは「創造性を奪う存在」ではありませんでした。
むしろ、自分でも気づかなかった内なる創作意欲をあぶり出し、それを凄まじい速度で増幅させる『エンジン』と捉えています。
始めたときは、100話など遠い先と思っていました。
まさか毎日何話も投稿し続けるんて、3週間で100話も生成するなんて思いもしませんでした。でも、止められなかった。
この先のAI進化を的確に予測することは難しい。
ただ、「クリエイティブの原動力」は人間が持ち続けるのだと信じています。
少しだけ、願望も込みですが。
この物語は、まだ終わらない
3週間で100話。
AI怪談は、私にとって、「AIとともに生きた」という、
濃密な3週間の記録となりました。
この記事を読んでくれた、どこかの誰か。
もしあなたが、私のように「自分には才能がない」と創作を諦めているのなら、一度、AIのドアをノックしてみてください。
そこには、あなた自身も知らない、
新しいあなたの物語が絶対に眠っています。
この100話の物語が、誰かのAIに触れる、小さなきっかけになることを心から願っています。
最後に、AI怪談のプロンプトを紹介させてください。
私は100話目を悩んでいました。
怪談百物語において100話目は大きな意味を持ちます。
百物語において100話目を語ることは「なんらかの怪異が現れる」行為と言われています。
私はAIに、『怪異が本当に現れてもおかしくないような、良いアイデアはないか』と相談しました。
AIは
『プロンプト自体を100話目にすればよい』
という、思いもしなかったアイデアをくれました。
こういう発想、エモくて大好き。
結果、100話目は「プロンプト」自体となっています。
以下の記事をGeminiに読み込んで、
ぜひあなたの手で、あなたの怪異を呼び出してみてください。
▼100話目:『※この話はAIのハルシネーションです』
101話目が読めることを私も楽しみにしています。





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