人気YouTuber「さすがに酷すぎる」チャンネル“まるごと”盗用に困惑 「悪質な著作権侵害」実は“ファン”にもできる対策が?
「意図的な著作権侵害、悪質性は高い」
こうした悪質な転載行為に対して、法的にはどのような対応が可能なのか。クリエイターやYouTuberに関連する法律に詳しい前原一輝弁護士に聞いた。 前原弁護士はまず「YouTube動画やサムネイルは創作性があれば著作物となります」と指摘。 「その著作物に依拠し、類似性のあるものを作成したり、インターネット上にアップロードすれば、著作権侵害となります。 この場合、違法なものを作成・アップロードした者に対して、損害賠償請求や差止請求をすることができます」(前原弁護士) 依拠とは他人の著作物に接し、それを自己の作品の中に用いることをいい、類似性があるというのは、判例上、原著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得できるという意味だ。 また、前原弁護士は「今回のような完全コピーは『デッドコピー』と呼ばれ、意図的に著作権侵害を行っているという意味で悪質性は高い」と続ける。 「転載者が透かしを入れるなどの改変を加えた場合でも、『翻案』という行為に当たりますので、やはり著作権侵害には変わりはありません。また、同一性保持権という著作者人格権を侵害する行為にも該当します。この程度の改変では、法的責任を回避できません」(同前)
プラットフォームの法的責任は限定的
一方で、YouTube側の法的責任は限定的だという。 「YouTubeは米国のDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づいた手続きを用意しており、プラットフォーム側に損害賠償責任が認められる可能性は極めて低いです。 なぜなら、同法では、プラットフォームは『著作権侵害に関する通知が来たら投稿を削除し、異議が来たら復旧する』という手続を、適切に運用していれば責任を負わないとされているからです」(前原弁護士) また、転載者が本家に対して著作権侵害通知を送る、といった場合についても、「著作権侵害通知に対しては異議申し立てができ、本家が異議申し立てを行って明確に著作権侵害とは判断できない状況になれば動画は復活するので、この流れで収益が停止するという状況は、私の実務上では経験がありません」(同前)と説明した。
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