大量出店を予定する「資さんうどん」。“急拡大後”に待ち受ける不安要素も
ファミレスと客層が異なる“空白領域”だった
2025年6月末の「資さんうどん」の店舗数は80。下期は14店舗の出店を計画しています。2026年にさらに30店舗出店して124店舗への拡大を目指しています。 関東と関西での成功を機に、「資さんうどん」の売上は1.3倍、営業利益は1.4倍に拡大しました。100種類以上という豊富なメニューかつ24時間営業という使いやすさ。客単価800円~900円とインフレ下でも値ごろ感のある価格設定が人気を支えています。 すかいらーくは「ガスト」や「バーミヤン」、「夢庵」などのファミリーレストンに限らず、カフェ業態の「むさしの森珈琲」、焼肉店「じゅうじゅうカルビ」、から揚げ専門店「から好し」など豊富なブランドポートフォリオを構築しています。 「資さんうどん」は低単価で、ファミリーレストランとは客層が異なる空白領域に位置しています。
業態転換を進めて集客力を強化
実は今年の下期に予定されている14店舗の出店のうち、10店舗は業態転換。既存のレストランを急ピッチで別のレストランに作り替えていることが、今のすかいらーくの転換点を物語っています。展開するブランド地図を塗り替えている最中なのです。 主力の「ガスト」は2023年12月末から40店舗純減し、2025年6月末には1240店舗となりました。すかいらーくは2024年12月期に55店舗の業態転換を実施しており、同エリアの顧客の食い合いを指すカニバリズムを解消。客数を6.6%増加させることに成功しました。 「バーミヤン」や「しゃぶ葉」、「むさしの森珈琲」などは店舗数が増えています。その一方で、「ガスト」は緩やかに姿を消しており、店舗数日本一で圧倒的な存在感を保っていたかつての勢いはありません。 勢いのあるファミリーレストランは、競合の「サイゼリヤ」。2025年5月末の店舗数は1051で、13店舗純増しました。このまま「ガスト」の転換や閉店が進むと、「サイゼリヤ」の店舗数日本一が視野に入ります。 頑なに値上げをしなかった「サイゼリヤ」が水面下で快進撃を続けているのです。