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Conversation

ご質問ありがとうございます。すでにスペースやブログ等で繰り返し説明してきた内容ではありますが、改めて一般の方にもわかりやすい一例を挙げてご説明します。 コロナワクチンのロジスティクス問題 mRNAワクチンは、mRNAが血液中で非常に不安定なため、脂質ナノ粒子で包む構造になっています。これは研究開発に関わる者であれば常識的に知られている事実です。この膜には一定の毒性があることも、専門家の間では共有されている情報です。 この構造の不安定さゆえ、初期のワクチン(ファイザー社のもの)は−80℃での保管が必須でした。しかし、−80℃という条件は非常に特殊で、対応できる医療機関や物流業者は限られていました。 実際の運用上の懸念点 接種開始は真夏でした。都市部では専門業者が適切な温度管理のもとで輸送したと思われますが、地方では再委託された業者が通常の冷凍庫で輸送したケースもあったと推測されます。 本来、ワクチンは出荷から病院の保管庫まで、温度変化を記録する「データロガー」とともに輸送されるべきですが、コロナ禍の混乱の中で、そこまで徹底できていたとは思えません。 温度管理の失敗による影響 高温にさらされるとワクチンは「失活」します。つまり、効果を失う可能性があります。こうした温度管理の問題は、すべてが完全にコントロールされた状態で実施される治験では表面化されない問題の一つと考えます。 改善された点と今後の課題 最近承認されたワクチンは、より高い温度でも安定するように改良されています。これは、初期の製品が取り扱いにくく、有効性にも影響を与える可能性があったことを示しています。 ワクチンのコンセプト、安全性、純度と副反応の問題、規制対応、接種オペレーションなど、当初から懸念されていた点は多く、実際に接種が始まってから判明した課題も少なくありません。これらは今後の医療体制や製品開発のためにも、きちんと検証されるべきです。 研究者と一般の方の認識の違いについて 最後に補足しますと、研究者と一般の方の違いは、「専門分野における発言の妥当性を判断できる力」にあります。すべての情報を網羅しているわけではなくても、専門的な背景があれば、提示された情報の意味や妥当性を理解することが可能です。もちろん、理解できる範囲はその人の専門領域によって異なります。 これは医師にも当てはまります。医師といっても専門分野は多岐にわたり、すべての医師が同じ情報にアクセスできるわけでも、同じ理解力を持っているわけでもありません。 また、コロナ禍では厚労省の公式発表以外にも、真偽が不明な情報が多く流通しました。後になって明らかになった事実も少なくありません。 ワクチンのロジスティクスや製剤の純度に関する問題は、研究開発に携わる者の間では当初から共有されていた情報です。これらについては、私はスペース等でも発信してきました。 ご質問の意図に沿った回答になっていれば幸いです。もしご不明な点があれば、具体的にどこが理解しづらかったかを教えていただけると、さらに丁寧にご説明できるかと思います。