インターネット上の違法・有害情報に対して、被害者救済の観点から、円滑な対応をプラットフォーム側に求める情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)によって、削除対応の迅速化とその運用状況の透明化が図られることになった。
4月から5月にかけては、Google、LINEヤフー、Meta、TikTok、そしてXなどのサービス運営会社が対応すべきプラットフォームとして指定された。
各社が対応に動くなかで、これまで対応が十分とは評価されてこなかったXにも1カ月ほど前に日本専用窓口ができたとして話題になった。
ところが、インターネットの問題に詳しく、Xに対して開示請求手続の実績がある清水陽平弁護士は、「従来の対応と変わらず、そこまで期待できないのではないか」と疑問を示す。
●問題に応じた「交通整理」はできたが…本質的な解決につながるか疑問
——今回の措置について、評価する声もあります。清水弁護士はどうみていますか
Xで誹謗中傷などされたとして削除を求める場合、以前から、削除の依頼などが行えるウェブフォームがヘルプページに設置されていました。
ただ、このヘルプページから削除を請求しても、「なりすまし」か「著作権侵害」の場合であれば比較的対応してくれる一方で、「誹謗中傷」が主たる理由となるものについては、あまり対応してくれなかった印象が強いです。
そのようななかで、2025年7月31日、Xは情報流通プラットフォーム対処法への対応として、日本専用窓口を設けたことを告知しました。
その窓口からどこにつながるのかを、今回、検証してみました。
窓口では、日本においてよく主張される各権利を選択できるようになっています。
Xの日本専用窓口から手続きを進めてみる
ですが、その先で接続されるURLは、以前から設置されているヘルプページ内のウェブフォームであり、日本専用窓口から入ったということが分かるようなタグなどの設置もないようでした。
したがって、日本専用窓口から削除依頼をしても、従来通りの対応が取られるだろうと想定しています。
なお、従来からあるウェブフォームは理由ごとにフォームが分かれていましたが、必ずしも日本においてよく主張される権利に対応しているわけではなかったので、ある権利を主張するためにはどのフォームから行えばよいかが分かりにくかったといえます。
その意味で、日本専用窓口は、その交通整理をしてくれるものといえ、請求を行いやすくなったとは言えるかもしれません。
——X以外のプラットフォームでは、対応に変化はあるでしょうか。
他のプラットフォームについても、現時点だと、特筆するような変化はないように思われます。