なぜ2027年度までの5年間で防衛費に43兆円が必要なのか。巨額の税金投入に、政府は国民への説明責任を果たさぬまま、計画の4年目予算の概算要求をまとめようとしている。東京新聞は43兆円の内訳資料を情報公開請求したが、防衛省は、全文を「不開示」とした。どこまで精緻な積み上げがあったのかは不明で、「額ありき」の疑念は深まった。(中沢誠)
◆政府は「必要な内容を積み上げた」と言いながら…
不開示となったのは、防衛省が2023年の国会で「43兆円は必要経費を積み上げた」とする根拠に挙げたエクセルデータ。当時の木原稔防衛相は「数万の事業が書かれておりまして(中略)私自身も確認している」とし、データの存在を認めていた。
東京新聞は昨年4月、改めて43兆円の妥当性をチェックしようと、防衛省に情報公開請求した。
今月1日になって、防衛省は不開示と決定した。その理由について、「国の安全が害されるおそれがあるとともに、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあり、さらに国の機関が行う行政事務に支障を及ぼすおそれがある」とした。
東京新聞が開示を求めたのは、政府が「必要な内容を積み上げた」と言いながら、国会にも、積算根拠となる43兆円の内訳を示そうとしなかったからだ。
◆1期目のトランプ政権が同盟国に求めていた水準に
43兆円の増額は、国会を通さずに閣議で決定した。
43兆円に増えれば2027年度には、戦後おおむね1%で推移してきた防衛費のGDP比が2%に倍増する。も...
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