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閑話:死にたがりの詩

左右田 園(魔法少女名:ツヴァイシスターズ(妹)) 杖:変身端子フラッシュチェンジャー


ツヴァイシスターズの「知力担当」「安楽椅子担当」「戦わない方」「ちっちゃい方」などいろいろな名前で呼ばれる

ただし「可愛い方」という呼称は戦争に発展するので注意。

いつも眠たげな表情と寝ぐせの様な癖っ毛が特徴の少女、好きなものは機械いじり・嫌いなものはおばけ。

特に最近は姉に見せられたホラー映画の影響でミイラ男(女)が特に嫌い。


魔法少女として変身した姿の名は「ツヴァイ」、姉と2人で1つの魔法少女名を共有している。

固有魔法は自身の意識を変身媒体であるUSBに転写し、挿入した電子機器内へダイブする「電化の魔法」

PCなどのスペックを十全に活用した彼女の演算能力は情報戦に置いて無類の強さを誇る。

加えて、彼女が個人的に制作した動物型機械端末にUSBを差すことで安全圏からの偵察行動が可能。


戦闘能力こそは低いものの、サポートに回った彼女に敵はあんまりいない。

ただし意識を転写している間、本体は意識を失ったまま無防備な状態になるので注意。


Twitterの方にて行われている読者募企画から生まれた魔法少女。

モチーフは某ハーフボイルドの相棒、何故か滅茶苦茶姉に辛辣。

初めのころ、アタシには魔法少女の力はなかった。

ただ周囲に魔力が溢れる環境で生まれたせいか、魔力に人並み外れた耐性があるだけで特別な能力は何もない。

みんなと一緒に地下の研究所にかくれて、悠々と外を闊歩する魔物の陰に怯えるばかりだった。


そんな環境で生き残っていたのは、周囲の理解と母の庇護があったからだろう。

わずかな食糧を切り詰め、幼い姉とアタシにも公平に分けてくれた。 それがどれだけ難しい事だろうか。

――――ただ、その代わりにアタシの姉は地上から物資を調達する役目を渡された。


姉はアタシと違い、幼いころから魔法少女としての資質があったのだ。

だから魔物と戦える、なら自分たちの代わりに危険を冒してくれ。 

……その判断を責めることはできない、アタシも食料を乞う側であったし、もし姉が赤の他人であるならば同じことを言わなかったとは断言できないのだから。


姉が地上から帰ってくるたびに生傷が増えていた、だがそれでもあの馬鹿は笑顔は絶やさなかった、なにが「お姉ちゃんが守るから」だ。 だったら心配をかけないくらいに強くなってくれ。

姉が地上から帰ってくるたびに母は涙を流していた、実の親から与えられた愛は「ごめんなさい」ばかりだ。 「誰も悪くないよ」という無責任な慰めは、母の助けになっていたのだろうか。


父親はアタシたちが生まれる前に亡くなっていた、当然だ。

当時の研究主任であった父はあの日、至近距離で魔力を浴びたのだからむしろ苦しまずに即死してくれたことを願うしかない。


アタシが無事でのうのうと生きていられたのは、仮にもコミュニティのトップだった父と、文字通り我々の生命線だった姉の肉親であるという点が大きかったのだろう。

それでもアタシにとってあの場所は地獄だった、一人一人と減って行く人たちを唯一正常なまま見せ続けられるのだから。


姉と共に地上に赴いた勇気ある誰かが消えた、魔力に当てられてブクブクに変形した誰かが爆ぜた、食料の取り合いで誰かが死んだ、失せた、喰われた、逃げた、帰ってこなかった―――――もう、散々だった。

アタシにも姉のような力があれば、この地獄はもう少しマシだったのだろうか。




「……力が欲しいの?」


そしていよいよ嫌気がさして、もういっそ死んでしまおうと地上に出た時、私の運命は変わったのだ。

誰も逃がす気はないぞとばかりに立ちはだかる四方の壁、灰に濁って日の光が見えない空の下、“彼女”は一人立っていた。

まるでアタシが地上に出る事を待っていたように、知っていたかのように、当然の如く彼女はそこにいたものだからついアタシも返事を返してしまった。


「そう、なら力をあげる。 ただ相応の代償はあるけど、あなたに払える?」


迷わず頷く、もう見ているだけはうんざりだったから。

お金でも、命でも、アタシが出来る事なら何だってする、もう姉ひとりで戦わせたくない。


「……覚悟は十分ね、分かった。 これから死ぬほど苦しむだろうけど、我慢してね」


そして私は、彼女から戦う力……「バレルチェンジャー」と魔法少女化を補助する薬を渡された。

それからは大変だった、なにせ自分の頭部を撃ち抜いて変身しなきゃいけないんだからかなりの勇気がいる。

それに変身しすぎると割れるほどの頭痛や吐血・出血に悩まされるのだ、こればっかりは慣れるのにも時間がかかった。


初めて変身したときの姉の顔は今でも忘れられない、姉に本気で叱られたのは後にも先にもあれっきりだ。

だけどそこからはとんとん拍子だ、姉と共に地上に出れば怪我の量と回数は減った、死ぬ人の数もちょっとずつ少なくなった。

食料の供給も安定し、東京を覆う壁を調べる余裕もできた。 だからきっと大丈夫だ、助けは必ず来る。


……母の頭を打ち抜いたのは、それから数か月後の事だった。

醜く成り果てて苦しんで死ぬ前にと、その額をアタシが撃ち抜いたんだ。

何が助けが来るだ、何が魔法少女だ。

ありもしない幻想にすがりついた末路がこのざまだ、守りたいと願った力でお前は一体何を撃った。


冷たくなった母の体を抱きしめようとすると、伸ばした腕はすり抜けて、足元に豆粒ほどの石ころが転がった。

母の遺体はどこにもない、周りには泣きじゃくる姉と生きてるのか死んでいるのかも分からない虫の息の生き残りたち。

なんだこれは、母がこんな石ころに化けたとでも言うのか。

アタシには、母を抱きしめる資格もないと言うのか。


「……興味深いわね、魔法少女の母体だったからかしら。 純度は低いけどれっきとした魔石だわ」


静まり返った研究所の中で、場違いな声が響く。

母だった石ころを手に取り、顔を上げるとそこにはアタシに魔法少女の力をくれたあの女性が立っていた。

全身を覆う喪服と、薄いカーテンを垂らすトークハットを被って肌を完全に隠した姿はあの日と一切変わっていない。

あの時はアタシたちと同じく東京に取り残された人間だと思っていた、だが地上遠征のたびにいくら探しても見つからず、とっくに死んだのかと諦めていた。

なのになぜ、彼女は今この場に立っているのか。


「けど……駄目ね、これだけじゃまるで足りない。 ねえあなた達、(いた)んでいるところに心苦しいけど1ついい知らせがあるの」


得体の知れない謎の人物は『ローレル』と名乗り、アタシたちにより強く生きる術と失ったものを取り戻す術の2つを教えてくれた。

彼女が一体何者か、どこからきたのか、そんなものはどうでも良かった。

ただアタシは、「きっと取り戻せる」という妄言で自分が死ぬための理由が欲しかっただけだ。

東京を取り戻したいなんて大義名分をでっちあげて、理想の中で死んだふりがしたかった。


ローレルによって鍛えられたアタシたちは、東京で十分に生きるだけの力を手に入れた。

姉が手に入れた魔法を見て、「もっと早ければ皆を救えた」と泣き崩れた。

不完全なアタシの力は命を削り、「もう孫の顔は拝めないほど使ったな」とあのヤブ医者にほざかれた。


後悔が募るたびにアタシたちの願いはより強くなった、失った10年を取り戻す決意だけがこのボロボロの身体を突き動かしてきたんだ。

……正直な話、例え未来がどう転んでもアタシにその先はないんだ。 孫どころか、誰かと結婚して子供の顔を見るなんてことももう難しいんだと思う。

だからアタシはどうなっても良い、地獄に落ちたって構うもんか。 だけど姉は……お姉ちゃんは違うんだ。 真っ当な人間で、きっとこの先もずっとずっと長い未来があるんだ。

だからお願いだよ、やっとここまで来たんだ、アタシは何だってやってやる。 だから、だからお願いです。


 

アタシ以外の皆は、どうか助けてください。

【モノクルアイ】

右目に装着された片眼鏡、目の前の情報量を整理し、装着者の洞察力を補助する機能を持つ。

一定のワードを入力することで、風景の中から探したいものを絞り込むことも可能。

更にGPSとの同期、周辺地図の表示など多様で便利な機能も搭載、

強度もメガネとしてはとても頑丈で、転倒した程度ではキズ一つ付かない。


【ガイアコート】

某世界一有名な顧問探偵を思わせるようなインバネスコート状の衣装。

落ち着いたモスグリーンの色合いは装着者の精神を安定させ、常に落ち着いた推理能力を発揮させる。

打撃・打撲などの衝撃に強い耐性を持ち、転倒した程度ではキズ一つ付かない。

さらに非科学的なプロセスによって内部温度は常に快適な状態で保たれる


【ココアシガレット】

彼女が好んで齧るタバコ型の菓子、一般的に販売されているものと差異はない。

何故かコートのポケットに常に補充されている、急速な糖分補給は脳を酷使する彼女の生命線なのだろう。

「シガレットを分け合うツヴァイの姿」がネット上で拡散され、ココアシガレットの売り上げが爆発的に伸びる事件が起きた。

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[気になる点] 食料の救急も安定し、東京を覆う壁も調べる余裕もできた。 供給です。
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