ネガティブさに悩む人へ、それは「脳本来の性質」です【内田恭子さんとはじめる「マインドフルネス」】

 そもそもどうして私たちは、ネガティブがダメで、ポジティブはいいと思ってしまうのでしょうか。マインドフルネスのセッションでも「マインドフルネスを実践するとポジティブ思考ができますか?」という質問がよくあります。世の中がやたらとポジティブを推していたり、ポジティブは明るくてネガティブは暗いなんてイメージがあったりするからかもしれません。けれども、ネガティブバイアスが私たちにとって必要なものであるように、ネガティブな思考も生きていく上では必要なものなのです。

 マインドフルネスでは、バランスが大切な要素だと考えています。まずは今、自分がどういう状態にあるかを知る。そして、ポジティブとネガティブ、どちらかに偏り過ぎてはいないか。そこに気づいて、バランスを整えていきます。 えー、気づくなんて簡単じゃない? なんて思っていませんか(笑)。けれども冒頭のように、夜眠れず次から次へと思考が浮かんでくるときに、私、今ネガティブループにハマっていると気づくのは、なかなか難しいことです。なぜなら、思考のほとんどは無意識に生まれているから。

 その無意識に、意識的に気づく。これも、マインドフルネスのスキルの1つです。運動や楽器の練習と同じように、瞑想(めいそう)などを通じて、自分自身を客観的に見るトレーニングをしていく。すると、無意識にしていた意識に気づけるようになっていくのです。思考を客観的に見られるようになると、何が事実で、何が自分の頭の中で作り出した意識か少しずつわかるようになります。

「あと2時間しか眠れないじゃないか」は事実。でも、「疲れるかも」「起きられるかな」「だらしないと思われちゃうかも」は勝手に頭が生み出した思考。ふだん私たちは、その区別さえできず、気づかないうちに頭の中をネガティブなことでパンパンにして、自分で生み出した思考がまた新たなストレスの要因となっているのです。ネガティブな思考が出てきたら、まずはそれに気がつくこと。そしてちょっと立ち止まって、「これって事実? 自分で作り出したもの?」と客観的に分析してみる。そうすると、ほとんどのネガティブ思考は事実ではないとわかり、手放してもいいと思えるかもしれませんね。

 もし今度、ネガティブ思考のループがやってきたら、「私、今ネガティブ・バイアス中!」と声に出してみましょう。言葉にすることでループに陥っていくのをストップでき、思考にとらわれている自分を客観的に見るきっかけになるかもしれません。 

「ネガティブ・バイアス」、お守りの言葉として覚えておいてくださいね。

(用語解説)
ネガティブ・バイアス
心理学用語。ポジティブな出来事や情報よりも、ネガティブな出来事や情報のほうに注意を向けやすく、また、それがより強く長く記憶に残る現象を指す。


◆トップ写真・プロフィール写真提供/内田恭子
◆バナーイラスト/山本祐布子

プロフィール

内田恭子(うちだ・きょうこ)
フリーアナウンサー、マインドフルネストレーナー。慶應義塾大学を卒業後、フジテレビアナウンス室に入社。退職後、フリーアナウンサーとして活躍するかたわら、マインドフルネスに出会う。ヨーロッパ最古のマインドフルネスセンターであり国際基準となっているIMA(Institute for Mindfulness-Based Approaches)認定MBSR・MBCT-L(Mindfulness-Based Cognitive Therapy for Life)講師。日本マインドフルネス学会正会員。

内田さんが主宰する「kikimindfulness」
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