興行的に厳しいが高クオリティ? 『ChaO』『トラペジウム』など愛すべきアニメ映画たち
細田守の今後
アニメ映画がどれも大ヒットとはならずスクリーンから消えてしまう作品が生まれる理由は、こうして見るとやはり千差万別で、作品ごとに事情があり公開時期の状況も重なってハネるハネないといった結果になることが分かってくる。こうなると気になってくるのが、11月21日に公開を控える細田監督の『果てしなきスカーレット』がどのような展開を見せるかだ。監督のネームバリューは抜群で制作体制も万全だが、過去の細田監督作品とはルックが大きく違っている点が判断を迷わせる。 アニメっぽさを排した海外作品のようなキャラクターのルックで、異世界を舞台にした凄絶な争いが描かれるストーリーは、これまでの細田監督作品にはなかったものだ。きっとそういうものだといった予測が働かず、従来の観客層に二の足を踏ませるかもしれない。芦田愛菜と岡田将生をメインのCVに起用し、役所広司や市村正親といったベテランたちが並んでいても数字を読みづらい。そこは公開までの間に、内容面で関心を誘う情報を出してくるのかもしれない。新境地をどう乗り越えるかで細田監督の次のステップも見えてくる。
谷口悟朗への期待
2026年3月に控える谷口悟朗監督『パリに咲くエトワール』も興味を誘われる作品だ。シリーズ歴代で最高のヒット作となった『ONE PIECE FILM RED』(2022年)の谷口監督が、宮﨑監督の『魔女の宅急便』(1989年)でキャラクターデザインなどを務めた近藤勝也のキャラクター原案と、人気作をいくつも手がける吉田玲子の脚本を得て作るだけに、最初から高いネームバリューを持っている。 ただ、谷口監督が『FILM RED』の後に送りだした『BLOODY ESCAPE-地獄の逃走劇-』(2024年)は、TVアニメ『エスタブライフ』と繋がる世界を舞台にしながら、コミカルさとポップさで楽しませていた『エスタブライフ』から一変してハードでシリアスな展開を見せてシリーズのファンを戸惑わせた。映画単体では分断や差別といった問題に切り込む社会性を持ったテーマと派手なアクションで魅せるところがあったが、『FILM RED』と比べるとやはり届く範囲が限られた。『パリに咲くエトワール』がそんな谷口監督の実力を改めて知らしめる作品になるために、バリューだけに頼らず誰に見せたいのか、どこを見てもらいたいのかをとりまとめ、しっかりと伝わる宣伝を行っていく必要がありそうだ。
タニグチリウイチ