みなさん、積みゲーやってますか?
私は今回、4本の積みゲーを消化しました。偉すぎる。
残りの本数は……まだ数えないようにしよう。
というわけで今回は、その4本についての雑記です。
当ブログとしては珍しいことに、なんと全部アドベンチャーゲーム。実質特集記事ですね。
ネタバレは控えめなので、未プレイの方もまぁ安心して読んでいただければ、と思います。どれもオススメの作品なので。
ゴシックマーダー -運命を変えるアドベンチャー-
舞台は20世紀初頭、英国。
主人公はとある貴族の屋敷に勤めることになった、新人メイドの"エリー"。
エリーは身近な人物の死を予知夢によって察知することができる不思議な力を持っており、メイドの仕事に就いた矢先に屋敷の主人である若き伯爵"アーヴィング"の死を予知してしまいます。
時を同じくして、屋敷では先代伯爵の遺言に基づき、怪しげな降霊会のため客人が集められていました。
果たしてこの客人たちの中にアーヴィングの命を狙う者がいるのか、それとも屋敷の中の従者の誰かか……
予知夢で見た死の運命から主人を救うべく、屋敷内を調査し、証言や証拠を集めて事件を未然に防ぐ、というのが大まかなゲームの流れ。簡単な逆転裁判みたいな感じですね。
5時間ほどでクリアできるコンパクトな内容ながら、調査によって集めた証拠品を犯人に突き付ける推理アドベンチャーとしての面白みや、次々と事件が起きるサスペンスのテンポ、犯人役も含めて憎めないキャラ造形の登場人物たちなど、魅力のあふれる一作でした。
軽いロマンス要素もありますが、屋敷の主人アーヴィングがあんまりにも幸の薄い儚げな美青年なもので、思わず「アーヴィング様は私が助ける……!」などと、主人公のメイドと感情をリンクさせてしまったりもします。
他のキャラだと個人的には先輩メイドの"ルイザ"もわりと好きかも。
善人ってわけじゃないけど悪人というほどでもなくて、一から十まで俗っぽくてしょうもない感じが良い。しょうもない女キャラ大好き。
謎解きは難易度低めでサクサク進められますし、チャートやスキップ機能も完備していて遊びやすい。
体験版も配信されているので、気になる方はやってみてはいかがでしょうか。
シロナガス島への帰還
ボイス実装後にまだ遊んでいなかったので再プレイ。
前に遊んだのが2021年1月だったので、おおよそ4年近く経っていることになります。
なんと。もうそんなにか。
当時の雑記を読んでもほとんど内容がわかるようなことを書いてなかったので、今回初めて紹介する気持ちで行きますね。
主人公はニューヨークで探偵業を営む男"池田戦"、そして完全記憶能力を持つ天才少女だが極度のコミュ障であり、池田の助手を務める"出雲崎ねね子"。
不審な死を遂げた大富豪"ロイ・ヒギンス"の調査を依頼された池田は、ヒギンス氏の元に届けられていた"シロナガス島"と呼ばれる謎の島への招待状を発見します。
ヒギンス氏の死の真相を調べるべく、池田とねね子は招待状を手にシロナガス島へと向かうことに。
その先に待ち受ける数々の恐怖と、島に眠る恐るべき悪魔の秘密を知らずに……
前回プレイから時間が経っていることもあり細かいところは忘れていて、大部分を新鮮な気持ちで遊び直しつつ、大まかな展開や犯人が誰かなどは覚えていたので伏線は拾っていくことができるという、かなり理想的な忘れ具合による再プレイができました。
2回目でのプレイ体験の違いとしてはやはりボイスが追加されていることも大きく、豪華な声優陣により物語に大きく彩りが加えられていました。
特に印象的なのは、やっぱりねね子(CV.井口裕香)でしょうか。
常に情けなく泣き喚いたり池田と楽しく罵倒を浴びせ合うようなキャラなので、声がつくと格段に存在感が増します。
惜しむらくは主人公である池田はエンディングでしかボイスがついてないということですが……せっかくのCV.大塚明夫が!
頼りがいとしょうもなさがコミカルに同居する池田は結構面白いキャラなので、ボイス付きで喋ってほしい台詞もいっぱいあるんですけどね。
ドラマCDではしっかり喋ってたけど……あれだけじゃ物足りない!
ストーリーはミステリの王道、クローズド・サークル……と思わせて、後半は徐々にサバイバルホラーへと移行していく内容。
結構なスプラッター描写もあるし設定もエグく、序盤~中盤に少しですがジャンプスケアもあったりして、ビジュアルでもシナリオでもわりとしっかりビビらせてきます。
その一方で、話が進むにつれて主人公の池田の超人っぷりが徐々に開示されていき、その異様なタフネスに最終的に「こいつ何したら死ぬんだ?」となっていく異常な話運びは、改めて見ても笑っちゃうところもあるんですけど……
選択をミスってバッドエンドに行くとちゃんと死ぬんですけど、見た感じこの人不意打ち以外でほぼ死んでないんですよね……こわ……こりゃCV.大塚明夫なのも納得。
そして、そんなコミカルさを織り交ぜつつも、きっちり伏線を回収してアクの強すぎるキャラクターたちを感動のエンディングまで導く剛腕な脚本術もまた、唸らされるというか、圧巻というか……どういうテクニックなんですかねこれは?
とにかく面白いゲームです。
しかし改めてやってみて思ったんですが、アクの強い主要キャラの中でもアレックスくんはかなりロクでもないような……!
今回クリア後にドラマCDも併せて聞いたんですが、そっちで非行少年扱いされてて妙に納得しちゃったというか、笑っちゃいますよね。
そんな感じで、いい復習になりました。
続編もわりと近いうちに出っぽいですが、より楽しみになりましたね。
ファミレスを享受せよ
月が綺麗な、寒い夜。
そんな夜に主人公が入店したファミレス"ムーンパレス"は、時の流れから切り離され、永遠の夜の中に閉じ込められたすこし不思議なファミレスでした。
店内にいたのは、同じようにしてムーンパレスに迷い込んだ4人の客たち。
「なあ君、ファミレスを享受せよ 月は満ちに満ちているし ドリンクバーだってあるんだ」
ゲーム中では他の客と交流しつつファミレス内を調べて、永遠のファミレスの謎を、特に急ぐこともなくゆったりと探っていきます。
そう、ファミレスの中はとにかく穏やかなのです。
店内の客たちにはどこか諦観が漂っており、といって絶望とも違う、皆落ち着いた様子で自分たちの置かれた状況をしみじみと味わっている独特の空気感があります。
人が死んだり大きな事件が起きたりもしないけれど、ゆるく流れる時の中で、少しずつ話題を見つけながら、じっくりと人の心に触れ合っていく……この落ち着いた筆致で描かれる物語が、本作の何よりの魅力と言っていいでしょう。
ちょっと不安になるアートとリラックスするBGM、ある意味壮大だけど落ち着いたトーンで語られるミステリー……という、このアンバランスさもクセになります。
途中の箱の謎解きで無駄に行き詰まっちゃっいましたが、3時間くらいでサクッと真エンドまで見れました。間違い探しも完全クリア。
モノローグなしの会話劇中心で進んでいく、テンポの良い作劇も良いところですね。
短いながらも味わい深く、人にオススメしたい作品のひとつになりました。
良いファミレスだった!
ghostpia シーズンワン
雪に閉ざされた町に暮らす、1024人の住人たち。
夜にしか活動することができず、老いることはなく、死んでも町はずれのゴミ捨て場から蘇る、そんな彼らは自らを「幽霊」と呼ぶようになりました。
ある日、そんな町に新たな住人が訪れることになりました。
1025人目の新たな夜。
町に馴染めず、孤独を感じていた主人公の"小夜子"の日常は、この新たな住人との出会いによって大きく変わっていくことになります。
―――どこにも行けないこの町で、いろいろできないわたしは夢みる。
本作はゲームレーベル「ヨカゼ」の一作。
たしか発売間もない頃に買ってずっと積んでたんですが、パッケージ版が出ると聞いていい加減やるかと重い腰を上げました。
何なら今回アドベンチャーゲームの積みゲーを消化しようと思った大目的がこれだったり。
本作は「デンシ・グラフィックノベル」を標榜し、「遊ぶ」要素を廃した代わりに物語と演出を極限まで研ぎ澄ませた作品。
遊んでいて「確かにこりゃすごい」と圧倒されたのは、とにかく絵が多いこと!
少し話を進めるだけで、シーンに合わせた絵が次から次へと飛び出てきます。数回ボタンを押すごとに新規絵が出てるのでは? なんて思うレベル。
絵本のような温かみのある絵柄と、ブラウン管のようなグリッチノイズという異色の組み合わせによる独特のタッチも目を引きます。
『ファミレスを享受せよ』もそうですが、アンバランスというかある種ミスマッチとも言える組み合わせのアートスタイルが却って世界観を際立たせ、不思議な魅力を放っています。
このタッチで描かれるのが友情と裏返しの孤独、疎外感や劣等感、抗争、裏切り、白い雪を血と爆炎で染め上げる暴力の数々というのも強烈です。
個人的にはメインキャラの4人の中だとエンジニアの"アーニャ"が5話での印象的な活躍もあって特に好きなのですが、作品を通しての一番は準レギュラーとして抜群の存在感を誇る見習いシスターの"クラーラ"でしょうか。上の画像の女の子です。2つ上の画像でも真ん中で銃突きつけられてますね。
明るく可愛く、一生懸命で天真爛漫。嫌味も嘘も無く純真で謙虚に振る舞い、皆に愛される生まれながらに完璧で圧倒的に「正しい」女の子。善意を信じ、無知を盾にして自身が邪悪に加担していることに気づかないでいる、どこまでも「ピュア」な聖女。それがクラーラです。
そして本作は、そんなクラーラが毎話とんでもなく酷い目に合い、クソったれな現実を前に己の善性を揺さぶられる様を見て、中指を突き立てほくそ笑む、そんなひねくれ者のためのゲームと言ってよいでしょう。
「聖女が堕ちるのってそそるよねぇ」
見てくださいよ、このあらぬ方向へ折れた指。無様で無力な泣き顔。
これを見て何か感じ入るものがあったならこのゲーム向いてます。
実際、私はこのシーンで意味も無く「ざまぁみろ! ケケケーッ 可愛いねぇ!」とか思ってました。
ゲーム全体からするとこのくらいは序の口なんですが。
ちなみにこのシーン、開発元の「超水道」公式アカウントのヘッダー画像にもなっています。公式がクラ虐最大手! キュートアグレッションを炸裂させろ!
なんだかクラーラの話に熱が入ってしまいましたが……
メインの話としてはなんだかんだで心あたたまる友情物語になっています。なってるかな?
冷たい雪の町で、殺しても死なない幽霊たちが繰り広げる、孤独と友情と謎と暴力の物語。
8時間ほどの長さでしたが、密度たっぷりで時間を忘れてしまう体験でした。
後編となるシーズン2の発売も楽しみですね。
最後に、Twitter(X)でつぶやいていた個々の注目ポイントも載せて終わります。
このゲーム、本当に絵の構図や演出が凝ってて良いんですよね。