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「企業版ふるさと納税」で税負担が軽減

福島県の北部に位置する国見町は、人口約8000人の小さな町だ。'22年、国見町は官民共創コンソーシアムという組織の事務局をコンサル会社のワンテーブルに委託した。ワンテーブルは地方創生事業の立案に関わり、国見町は、企業版ふるさと納税を財源に新しい事業を始めることになった。

企業版ふるさと納税は、民間企業が地方創生事業に寄付をする制度のこと。自治体は寄付を財源に事業ができ、企業は寄付金のうち最大9割の税負担が軽減される。

国見町はこの制度を利用して救急車12台を購入、別の自治体にリースする事業をすることになった。自分たちで使わず、わざわざ別の町に貸し出すという不可解な事業だ。

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「企業版ふるさと納税は、中身の大部分が公的資金です。当時、国見町の町長だった引地真氏は、おそらく公金を使うという意識も責任感もなく、自らの実績作りのために、コンサルの立案した事業案を利用したのではないでしょうか」(横山氏)

企業版ふるさと納税で国見町に4億3200万円の寄付をしたのは、動画配信等を手がける合同会社DMM.com(以下、DMM)とその関連企業。しかし、国見町が事業で使う救急車を製造・販売したのは、その子会社ベルリングだった。

つまり、民間企業が企業版ふるさと納税を使って“課税逃れ”をしたうえ、自ら寄付した町から事業を受注する“二重取り”をしたのではないか。横山氏がDMMに問い合わせたところ、回答はなかったという。

後編記事『「田舎には人もいない。ぶっちゃけバカです」過疎地で公金を食い物にするコンサルが、自らの手法を徹底解説!』へ続く。

「週刊現代」2025年09月01日号より

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