地方創生政策によって地方自治体に配分される補助金を狙う「過疎ビジネス」が横行している。福島県にある国見町では、企業版ふるさと納税を利用し、救急車を自分たちで使わず、他の自治体にリースする不可解な事業が行われた。その実態に迫る。
ばら撒かれる補助金
「10年前から始まった地方創生ブームで、地方に補助金がばら撒かれました。すると、補助金目当てに自治体に近づき、公金で利益確保を狙う“過疎ビジネス”が横行しました。
結果、地方創生とはかけ離れた、訳のわからない事業に補助金が溶けていったのです」
そう語るのは、宮城県に本社を置く日刊紙「河北新報」編集部記者の横山勲氏(36歳)だ。
石破首相は'14年に初代地方創生担当大臣になった。昨年の首相就任後にはさっそく「地方創生2.0」を推進し、今年6月にも69ページにわたる「基本構想」を発表している。
しかしこの10年、人口減少は加速する一方で、地方創生政策が上手くいっているとは言えない。
むしろ実際には、地方創生ビジネスが蔓延り、4億円以上の公金が喰い物にされる事件も起きている。
横山氏は、コンサルタントが自治体に付け入る「過疎ビジネス」を取材し、新刊『過疎ビジネス』に克明に記した。そこで取り上げられた国見町の事例をもとに、地方創生の闇の一端を覗いてみよう。