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ほぼ日手帳

岩田聡さんのコンピューター教室。

糸井重里

・思い出せば、ぼくが「MOTHER」や「MOTHER2」という
 ゲームをつくっているころ、まだ個人的には、
 コンピューターというものに触ってなかった。
 周囲の人たちは、もちろん、コンピューターがなくては
 仕事にならないという人たちばかりだ。
 たまに「PC用のゲーム」を見せてくれたりもしたけれど、
 それほど興味は持てなくて、ははぁとか言っていた。

 いっしょにゲームをつくっていた岩田さんが、
 「もし、イトイさんに興味があるならば」という前提で、
 コンピューターの家庭教師をしてくれることになった。
 興味はあるようなないようなだけれど、お願いします、と。
 なんとなく、岩田さんは、ぼくにコンピューターがあれば、
 もっと「いろんな可能性」が拓けるんじゃないかと
 考えてくれたようだった。
 そうして岩田さんが「これはどうでしょう」と
 提案してくれたのが、コンピューターによる
 「文章を書くためのお手伝い」だった。
 たしか、それをやるためのツールもあったと思うが、
 どんな名前だったか、忘れちゃったなぁ。
 簡単に言えば、ものを考えるときに、
 「大分類、中分類、小分類」に分けていく手法で、
 それぞれの部分を足したり引いたりしていくと、
 考えていることが明確にわかりやすくなっていく、と。

 「なるほどなぁ」とか、先生にはいい返事をするけど、
 あんまりおもしろがっていない生徒だった。
 岩田さんが文章を書くのには、便利なツールなのだろうが、
 ぼくは、「そんなふうに書くことになるのだったら、
 もう文章なんか書きたくなくなっちゃうよ」という
 ろくでもない不良生徒だったのだ。
 そういう方法に近いやり方をして文章を書くこともある。
 ただ、そういうことはあんまりやりたくないのだ。
 そして、岩田さんと遊んでいることは嫌じゃなかったけど、
 そんな「コンピューター教室」の第2回はなかった。
 ぼくがコンピューターというものに興味を持ったのは、
 やっぱり、人間と情報が網の目をつくっている
 インターネットというものを知ってからだった。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
たぶん、読んでるみんなもそんな感じだったんじゃないかな。 

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