大友良英さんの番組に出演
「どうも、こんにちは。AKB48、レイ・ハラカミと申します」
KBS京都ラジオの番組「大友良英のJAM JAMラジオ」にゲスト出演したハラカミさんは、あと番組に出演する人気アイドルグループをまねた口調で、冒頭からおどけた。
ホスト役のギタリストで、被災地を舞台にしたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の音楽を担当したことでも知られる大友良英さん(61)も笑って相乗りした。
「えー、AKB48の大友良英です。これ、こんなこと言っていいんですか」
ハラカミさんは「いいんじゃないですか。あとは秋元康さんという人に怒られるぐらいで」と返した。

それは、ともすると沈んだやりとりに引っ張られてしまう当時の状況に必死であらがう照れ屋のハラカミさんらしい「イントロ」のように、今聞くと思える。
ハラカミさんからの電話
番組収録が行われたのは2011年3月末。震災から半月余りで、福島第1原発の復旧は見えず、被災地でも混乱が続いていた。
実は、この日の番組出演は、ハラカミさんからの電話がきっかけだったと、大友さんが明かす。

「いきなり会いたいと連絡が来た。向こうからの連絡は初めてで、話したいというので、じゃあ収録あるし、出てよってなった」
暴走気味の出だしは「会うといつも、ばか話ばかりしていた」という2人の関係を物語っている。
大友さんを「よしよし」
「初対面でも土足でぐいぐい入っていくタイプ。末っ子特有の人なつっこさで好かれた」と評されるハラカミさんは、10歳ほど年上の先輩ミュージシャンである大友さんを、名前の一部をもじって「よしよし」と呼んで距離を縮めた。番組出演の時点で共演こそなかったが、コンサート会場などで一緒になるごとに親交を温めていた。
大友さんは福島市で育った。そのことをもちろんハラカミさんは知っていた。
「確かな情報もない中で、一体どうしたらいいのか。俺自身まだ決めかねている時期で、迷っていることをツイッターで発信していた。それを見て、心配して連絡をくれたんじゃないか」
収録で努めていつものふざけたやりとりを続ける2人だが、ふとした会話の隙間に震災の影が差し込む。
「もうPTSD(心的外傷後ストレス障害)寸前で。情報過多。音楽を聴くのさえ難しいというか」

ハラカミさんは、混乱で疲れた様子をにじませた。
それでも、約30分の番組は基本的に軽妙なトークで進んでいった。
「収録」後に明かされた来歴
収録を終えた。
ハラカミさんが「被爆2世」であることを語り始めたのは、放送終了後に合間の曲を省いて会話のみが全国どこでも聴けるポッドキャスト版用の収録だった。