奈良県 日帰り観光のにぎわいを夜に 地酒楽しむ飲食店設置へ

日帰りが多いとされる奈良の観光客の滞在時間を夜まで延ばして街を盛り上げようと、奈良県はことし10月に地酒などを取りそろえた飲食店を奈良市に設置することを決めました。

奈良公園周辺には日帰りの観光客が多く訪れることから、奈良県はこのにぎわいを夜につなげていこうとことし10月、奈良市内に飲食店を設置することにしました。

飲食店は「NARAMILE(ならまいる)」と名付けられ、観光客の利用が多い奈良公園バスターミナルの2階にあるおよそ60平方メートルのスペースに設けられます。

店では県内産の日本酒の飲み比べや軽い食事ができるほか、特産品の販売も行うことにしてます。

県はオープンに向けておよそ2700万円かけて現在、空調設備の工事などを行っていて今後、飲食店を営業する事業者が店舗の設営などを行うことにしています。

さらに県はことしの秋ごろ、奈良公園やその周辺にある博物館や美術館で、開館時間を午後9時まで延長する実証実験の計画を進めているということです。

山下知事は「奈良の酒蔵でつくった日本酒を知ってもらい、販売の増加につなげるとともに、奈良の夜の魅力を高めていきたい」と話していました。

【課題は滞在時間の短さ】
県が外国人観光客の滞在時間を伸ばそうと始める実証実験。

背景には観光客が観光地で使う金額が伸び悩んでいる現状があります。

県によりますと県内を訪れる外国人観光客はコロナ禍でいったん落ち込みましたが、2023年は194万人にまで回復しています。

一方で、観光庁によりますと奈良県を訪れた外国人観光客が使った金額は2024年で1人あたり8551円で全国最下位となっています。

外国人観光客が奈良県でお金を使わない理由について、県は9割の観光客が訪れる奈良市は寺院や観光名所が狭い範囲に集中していて効率よく巡ることができることから▽多くが日中に観光をすませてしまうことに加えて、▽夜遅くまで開いている観光施設が少ないためだと分析しています。

県はこうした傾向を変えるために、奈良市の夜の魅力を発信することが重要だと考えています。

県の山中淳史 観光局長は「奈良市を中心に県内には多くの魅力ある観光資源があるので、奈良発祥の日本酒を楽しんだり、博物館などで県内の文化に触れたりして奈良県全体の魅力を感じてほしい」と話しています。

【外国人観光客は】
奈良を訪れていた外国人観光客に話を聞くと、日中で観光を切り上げ、夜は大阪や京都で過ごす現状が見えてきました。

スイスから来た20代の女性は「インターネットで奈良の観光を調べると公園や鹿のことばかりだったので、奈良は日帰りで十分だと思いました。お店が早く閉まるので京都で宿泊します」と話していました。

フィリピンから来た60代の男性は「奈良は自然が豊かだけど、大阪はホテルやカフェが多く便利なので大阪に宿泊する」と話していました。

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