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【「will + 原形」は未来形、未来時制ではない】  英語には「現在、過去」の2つの時制しかありません。  簡単に言うと「述語動詞の活用形(現在形か過去形)」によって時間軸を表すこと、その仕組みを「時制(tense)」といいます。  たとえば go には「go/goes」という現在形と「went」という過去形の2つがありますが、「未来形」という活用は存在しません。よって未来時制もないのです。  未来時制がないことが「未来を表せない」ということにはならず、むしろ非常に多くの「未来性(futurity)」を表し表現方法があります。それについては今回は触れません。 (1) I can go there tomorrow. (2) I will go there tomorrow.  いずれも「tomorrow」という未来について述べています。  なのに「will go」だけが未来時制で「can go」が現在時制なんていうおかしな話はありません。  この2つの例文は、いずれも「現在時制」です。can, will いずれも「現在形」ですから、それが表すのは「今どうなのか」です。  will はもともと「意思」という名詞として生まれ、それが一般動詞になり、さらに法助動詞の用法を持つにいたりました。  法助動詞としても will が本来持っている「主語の意思」を表す用法が現代英語にも引き継がれているのですが、同時に、「主語の意思」の意味がすっかり希薄になり 1,主語の意思とは無関係に、時間の経過とともに自然とそうなる(=単純未来) 2,主語の意思とは無関係に、現在における可能性の十分ある予測  という意味も表すようになりました。 「will について(参考)」:x.com/hitomikengo/st  さて今回は上記のうち、2の「現在における予測」にスポットを当てます。  この意味では「未来」に限らず「今」や「過去」についてすら「今の時点で」そう予測されるなら用いることができます。 場面例1:  たとえば誰かが車を盗まれたとします。探していると、ナンバープレートが外された車で、同じ車種のものを見つけました。  でも、その車が盗まれたものかは確信が持てません。そんな場合、 This would be my car. (ひょっとしたら、これは私の車かも知れない)  ということができますね。この would は「will」に「現実味の低い条件を含みに持たせた」もので、条件法(学校英語で「仮定法帰結節用法」)です。  このとき、もっと自分の判断に自信があるのなら This will be my car. (多分、これは私の車だろう) =Probably, this is my car.  と「would」を直説法の will でいうこともできます。この場合の will はまったく未来を述べておらず、「今のこと」を「今予測」しているわけです。  「willだから未来」という誤った固定観念に縛られていると、これがなかなかピンときません。さらにもっと意外な例文もあります。 場面例2: Anywhere that's half-decent will have been booked months ago. (そこそこまともな場所ならどこだって、数か月前には予約されちゃっているでしょう)  なんと「will」があるのに時間を表す副詞として「ago」という過去を示すものが同時に現れています。「will=未来」なんて考えているともう理解不能になることでしょう。  この例文は、ドラマ「フレンズ」の中のワンシーンで用いられたもので、「結婚式場の予約が取れなくなったエミリーとロスの会話」からです。  つまり「今から式場を探しても、ちょっとまともな式場なら、もう数か月前には誰かが予約してしまっている」という今の時点での予測を述べています。  「will have been booked」は「will」に「was booked」という過去形をつなげたいところが、will のあとには原形しか接続できないため、「形式上の完了形」を接続させて「will +<have been booked>」という形になっているものです。過去の意味だからこそ「months ago(数か月前に)」という副詞が同居できます。  すなわち「<was booked months ago>だろうと今の時点で予測される」と述べているわけです。  このように「will」は現在形であり、時制は現在。それが表すのは常に「今どうなのか」なのです。 ビデオ解説: youtube.com/watch?v=Ztns0t  たまに「will は100%の確率」なんていう解説をTweet, Youtube、ブログなどで見かけますが、なぜ will をそこに挟むのかといえば「先のことだから絶対そうだとは言い切れない」という気持ちがあり「今の時点で言えること」に留めているからなのです。だから決して 100% ではありません。  もし、will が「100%確実な未来」を表すとしたら Next Sunday [will be] my birthday. というはずですが、これは不自然です。この場合、 Next Sunday [is] my birthday. が適切です。この[is]は現在形であり、「確定的未来(決して予定が変更されない)」を表します。ここを「will be」としてしまうと 「先のことだから、そのときが来るまで絶対そうだとは言えないが、今の時点で予測されることとしては、来週の日曜日は私の誕生になるんじゃないかな」 なんていうおかしなニュアンスが発生してしまいます。 また「will は今決めたこと。前から決まっていたことは be going to」という説明も正しくありません。 たとえば「I will be twenty years old next months.」は「生まれたときからその日が来れば20歳になる」と決まっていました。何も「あ、そうだ!来月二十歳になろうっと!」と今決めたのではありません。これは単純未来として「このまま時間が経過すれば自然とそうなる」という意味を表します。 ここで「以前から決まっていたこと=be going to」と思い込むと I [am going to be] twenty years old next months. が自然なはずですが、これも実に妙であり、「このまま行くと、来月私は20歳になりそうだぞ」という「事態が進行中」である意味合いに聞こえます。まるで重病で明日も知れない命の人が「ちょっと体調がよくなってきたら、この分でいくと来月の20歳の誕生日を迎えられそうだ」のような文脈を想像してしまいます。  このように「will」は現在形であり、時制は現在。それを念頭におかないと様々な用例でおかしなミスをしてしまいますし、英文の文意を正しく捉えることができなくなってしまいます。
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