石破茂首相が続投への意欲を崩さない中、森山裕幹事長の去就に注目が集まる。少数与党の屋台骨とも言える存在で、辞めれば、首相退陣の引き金との見方もある。一方で森山氏はいったん辞任する意向を示した鹿児島県連会長を続投する方向となるなど、幹事長を続けるとの臆測もある。幹事長の行方はいかに。

 森山幹事長は、7月28日の両院議員懇談会において、参院選の敗因を分析する「参院選総括委員会」を設置し、8月中をめどに報告書をまとめる考えを示した。自身の責任について「報告書がまとまった段階で、幹事長としての責任については明らかにしたい」と述べた。

 この言い方は、従来であれば、辞任であるが、冒頭のように、県連会長も続投することが明らかになったので、去就が注目されているのだ。さらに、8月中とされた報告書、これは森山氏が委員長となっている総括委員会が作成するが、その作成も、8月最終週に入ると、「9月はじめ」に先送りされたという報道がなされている。

 こうした森山氏の微妙な態度の変化が、そのまま続投するのではないかという臆測を呼んでいる。県連会長を辞めなかったことから考えて、実質的に幹事長を辞任するとは考えにくい。一時はこれまでの伝統にのっとり選挙結果の責任をとるとも思われていたが、石破首相から強く慰留されて、翻意したのだろう。

 いまうわさされているのは、幹事長の続投または形式的に降格になっても「陰の幹事長」として君臨する案だ。後者は、幹事長代行や代理になって、幹事長としては小泉進次郎氏など刷新感のある人を充てるというものだ。石にかじり付いても総理をやりたい石破首相なら考えかねないことだ。

 いずれにしても、石破首相も森山幹事長も「続投」である。そうした党内の空気から、今月8日に両院議員総会が開催され、有村治子両院議員総会長は、総裁選挙管理委員会(委員長・逢沢一郎衆院議員)において、総裁選の前倒しをするかどうかの今後の対応を決めるよう委ねた。

 ただし、逢沢委員長は、総裁選前倒しについて賛成議員の氏名公表を検討している。総括委員会の報告書の遅れ、この氏名公表は、前倒しに消極的な動きだ。仮に総裁選前倒しができないとすれば、自民党は重大なガバナンス不全となる。石破政権で国政選挙をしたら、また負けて自民党は崩壊するに違いない。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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