「”女性の体を卑しい、恥ずかしいということは抗議したい」公共空間の「裸婦像」撤去に94歳彫刻家の怒り
街中で一度は目にしたことがある「裸婦」の彫刻作品。その存在が今、議論を呼んでいる。 多くの自治体で「性的なもの」との指摘を受け撤去する動きでている。 香川県高松市内の公園にある彫刻作品、「女の子・二人」。 今月末に撤去が決まっていて、その理由がー 【岡田光信・高松市公園緑地課長】「”少女の裸が刺激的では”という意見が多い」 (Q設置時は反対意見なかった?) 【岡田光信・高松市公園緑地課長】「そうですね、その時の美術の流行だと思う」 小学生から「見ていて恥ずかしくなる」との声もあり、公園のリニューアル工事に伴い、この場所からの撤去を決めた。
■”性的である”などの理由から高松市では撤去
「女の子・二人」は1988年の瀬戸大橋完成を記念して作られた作品。 「裸婦像」の撤去について作者にその心中をを聞きました。 【彫刻家 阿部誠一さん(94)】「(作品は)海峡を挟んでお互いが呼びかけている。幼い子は成長していく、地域が成長するということに引っかけているんです」 ”性的である”などの理由から撤去されることについては... 【彫刻家 阿部誠一さん(94)】「”女性の体を卑しいや恥ずかしい”ということには抗議したい。着物(服)は階級を表す。肉体を隠して自分を飾っている。私はそうじゃない、人間は生まれたそのままの姿が成長して色気が出てくる姿が美しい、何よりも美しい」 また、彫刻のモデルが”女性”であることについても理由があると言う。 【彫刻家 阿部誠一さん(94)】「男性よりも小さな体でもう一つの個体を宿して、苦痛を耐えて産んで、こんな生命力のある体はないですよ」 女性の裸を生命力の象徴として、捉えている。
■専門家「戦前にたくさんあった軍人や政治家の銅像に裸婦像が置き換わっていった」
「裸婦像」は関西にも沢山あり、特に多いのが神戸市の中心部。 【記者リポート】「兵庫の中心地の三宮ですが、こちらありました。女性の裸体像です。こちらにもあります。これもそうじゃないでしょうか。女性の像です。服を着ていません」 神戸市の中心を走る道路には39点の彫刻が置かれていますが、そのうちなんと、14点が裸婦像。 そもそもこういった像が街なかに置かれるようになったのはどのような経緯からなのか? 【高山陽子・亜細亜大学教授】「戦前に政治家とか軍人の騎馬像が日本各地にいっぱいあったんです。そのあとに女性像が”平和の象徴”として使われるようになっていって、70年代に”パブリックアートを置くと街が文化的になる”といわれ、その中で女性裸体像が増えていきました」 神戸市も、1960年代後半から「彫刻の街」をスローガンに街づくりを進め、裸婦像を得意とする彫刻家からもたくさん寄贈を受けたという。