• HOME
  • MAGAZINE
  • INTERVIEW
  • VTuber・儒烏風亭らでんインタビュー。美術の楽しさを多くの人に…

VTuber・儒烏風亭らでんインタビュー。美術の楽しさを多くの人に届けるその偏愛はいかに生まれたのか【2/3ページ】

VTuberだからこそ伝えられる美術の魅力

──VTuberとして活動し始めた当初から、美術や工芸、古典芸能の知識を活かした動画を制作するという方向性は決まっていたのでしょうか。

 VTuberになるためのオーディションを受けるとき、文化の魅力を広めるというのは活動のテーマのひとつにしたいと伝えました。じつは学芸員課程を学ぶなかでとくに惹かれたのが広報と教育普及で、その分野を仕事にしたかったんです。実際に美術館職に就くことはありませんでしたが、美術館の外にいるVTuberという立場だからこそできる、美術の広報や教育普及があるのではないかと考えるようになりました。

──これまでに美術館入門から印象派や国宝、現代美術の解説、さらに学芸員を目指す方に向けての配信など、美術をテーマに本当に様々な配信を行ってきました。ユーザーの反応はどのようなものでしょうか。

 自分では当たり前だと思って話していることに、リスナーさんが「えっ、何それ?」とポジティブな反応をくださるんです。そういった反応を見ながら、「じゃあ今度はこの話をしようかな」「次はこんな企画をやってみようかな」と思いつくことが多く、そのやり取りがとても楽しいです。

 ヨハネス・フェルメールや、葛飾北斎をはじめとした浮世絵、あと印象派などは関心を持たれやすいテーマですよね。そこを取っかかりに、自分が話しやすい題材を選んでいます。例えば私は写真を学んできたので、印象派が生まれた時代の背景として欠かせない写真との関係性などを解説してみたりすると、「発見があった」という声が多くてやりがいがあります。

 なかでもいちばん嬉しいコメントは「動画を見て学校の行事以外で初めて美術館に行った」とか「美術館に習慣的に行くようになった」「次の展示をチェックするようになった」といった声ですよね。私の配信で美術に興味を持ってもらって、それがリスナーの日々の彩りになっているのだとしたら、すごく嬉しいと思いました。

──逆に、歌やゲーム配信といったVTuberとしての活動のなかで、美術の知識が役に立つことはありますか。

 ゲーム配信で建築の勉強が役立ったことはあります。例えば『ポケモン レジェンズ アルセウス』(任天堂)の実況では、明治以降の建築様式が背景に使われていて、その解説がリスナーさんから新鮮だという声をいただけたり。

 あとは写真を学んでいたので、ゲームの演出としての照明やカメラワークはすごく気になります。洞窟から外に出たときの露出の調整など、細かいところに気が遣われていると嬉しくなってしまって。もともとゲームは全然やったことがなかったので、最初に配信をやるときは戸惑いましたが、いまでは自分の知識を活かして独自性のある配信ができるようになったのが嬉しいですね。

編集部

Latest News

新設アワードや国際連携も。「Tokyo Gendai 2025」プログラム発表

今年で3回目を迎える国際アートフェア「Tokyo Gendai」が、9月12日から14日までパシフィコ横浜で開催される。新設アワードや国際的な連携プログラムを含む詳細が発表され、注目を集めている。

メインビジュアル

「だれもが文化でつながるオータムセッション2025」のプログラムが公開。AKI INOMATA、中﨑透らによる作品展示も

東京都とアーツカウンシル東京が取り組む「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」の一環として、だれもが文化でつながるオータムセッション2025「居場所とわたし」が自由学園明日館で開催される。会期は10月20日〜23日。

映画『大長編 タローマン 万博大爆発』が全国ロードショー。昭和100年の世界を舞台に「岡本太郎のことば」を伝える

NHK Eテレにて放送されていた1話5分の岡本太郎×特撮番組『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』。その初となる映画作品『大長編 タローマン 万博大爆発』の全国ロードショーが8月22日より始まった。作品の紹介と舞台挨拶の様子をお届けする。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部) オフィシャル写真提供=NHKエデュケーショナル

映画『大長編 タローマン 万博大爆発』場面写真

「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」開幕レポート。アートとの偶然の出会いを通じて「環境」について思考する

神戸・六甲山上を舞台にした現代アートの芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」が8月23日に開幕した。その見どころをレポートする。

文・撮影=大橋ひな子(ウェブ版「美術手帖」編集部)

Exhibition Ranking