本しゃぶり

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はてなブックマークに人生を狂わされて9万ブクマ

はてなブックマーク20周年!
俺の累計ブクマ9万超!!

どうしてこうなった。

俺のはてなブックマーク

はてなブックマークが20周年で、特別お題キャンペーン「私のはてなブックマーク」が行われている。

思い出のページを1つ選ぶのがルールだが、俺の場合は「される方」の印象が強くて、特定の記事に絞るのは難しい。

そこで2021年の「年間総合はてなブログランキング」にした。

なぜなら、この年のトップ100記事のうち12個、つまり1割以上が俺の記事だったからだ。

本記事では、いかにしてここまで至ったのかという話と、その結果として手元に残った累計9万件のブックマークデータから何が見えたのか、その両方を語りたいと思う。

ブクマ狂想曲

きっかけ

そもそも、俺がはてなブログを始めた理由は、完全にはてなブックマークが目的だった。人気エントリーを眺めるうちに、「こんなクソみたいな記事が人気なのは間違っているだろう。これなら俺が書いたほうがマシだ」と感じた*1。俺が偉いのは、口だけでなくちゃんと実行する点である。

だが、なぜこんなつまらないものが人気エントリーに入ってしまうのだろうか。その理由の一つは、ジェリー・Z・ミュラーの『測りすぎ』で説明されている。

同書によれば、「測定され、報酬が与えられるものはすべて改竄される」という法則がある。つまり、ある指標が重要視されると、人々はその指標自体を操作しようとし始め、結果としてその指標は意味をなさなくなる。はてブの場合なら、PVのためにブックマーク数を追い求めることで、煽りタイトルや釣り記事の温床になってしまうと言ったところだろう。

「はてブ指数」を増やせ

ただ自分の記事を人気エントリーに送り込もうと考えれば、俺も同じ轍を踏みかねない。単に「ブクマ数」だけを求めると、近道をしたくなるからだ。俺が目指したのは、自分が納得できる質の高い記事を人気エントリーに入れること。そこで、量と質を両立できるような、もっと良い指標はないか。

そして見つけたのが、《はてブ指数 / Hatena-Index》という概念だった。

これは、研究者の業績を示す「H-index」を元にした考え方だ。「H-index」とは、発表した論文のうち「H本の論文がそれぞれ少なくともH回引用されている」という条件を満たす最大のH値を示す指標で、研究者の生産性と影響力の両方を測ることができる。

その著者の論文を引用数順に並べる

引用数と順番が交差(切り捨て)したところがH-Indexとなる

論文を記事に、引用数をブックマーク数に置き換えたのが「はてブ指数」だ。つまり、「ブックマーク数が10以上の記事が10本あれば、はてブ指数は10」となる。これは面白いと思った。一発屋では数字は伸びないし、かといって質の低い記事を量産しても意味がない。量と質の両方が求められるこの指標は、俺の目的にぴったりだ。

2007年当時、提唱者の記事で例として挙げられていたトップクラスの個人ブログ404 Blog Not Found*2がはてブ指数101だったことから、俺は「100」を目指すことにした。こんなものは1年や2年で達成できるものではないから、数年がかりの長期計画で臨むことに決めた。

信頼をブクマに変換する

はてブ指数が100を超えるためにはどうすればいいか。俺が考えたのは、「読者の期待を裏切らない」こと、これに尽きる。

派手なタイトルで釣るだけなら、一発や二発はバズるかもしれない。しかし、中身が伴わなければ読者はすぐに離れていき、いずれ「またあのブログか」とスルーされるようになる。それでは100本ものヒット記事は生み出せない。

逆に、期待通り、あるいは期待以上の記事を書き続けていれば、「この人の記事なら面白いだろう」という信頼が生まれる。一度ブックマークが付くようになると、より多くの人の目に触れ、さらにブックマークが付きやすくなる。いわゆる「マタイ効果」が発動するはずだ。

この方針のもと、俺はひたすらに書き続けた。

その末路

結局、俺のはてブ指数はどうなったのか。2013年にブログを始めてから、100に到達したのは2021年8月のことだった。まさか8年以上もかかるとは。

記事の投稿日と指数

ちなみに到達記事はこれである。

そしてその2021年には前述の通り、はてなブログ年間ランキングの12%を占めることになったわけだ*3

ちなみに現在のはてブ指数を集計してみたところ「149」だった。そして累計ブックマーク数は93,820件である。

本しゃぶり2025-08-24時点のはてブ指数

本しゃぶり2025-08-24時点の累計ブクマ数の推移

これはそれなりの成果と言えるが、その代償は小さくなかった。

俺はこの10年以上、休日や余暇のほとんどを、ブログ執筆とそのための準備に費やしている。さらに、はてなブログでの成功をきっかけに、noteで有料マガジンを始め、ついには週刊誌で連載を持つようになり、執筆活動に割く時間はさらに拡大している*4

良くも悪くも、はてなブックマークは俺の人生を完全に狂わせたのだ。

9万件のデータが語る「本しゃぶり」の軌跡

自分語りだけで終えるのも味気ない。せっかく指数を算出するついでに様々なデータを集計したので、それも紹介したい。一個人の思い出話だけでなく、客観的なデータから何が見えるかを見ていこう。

ブックマーク数の分布

まず、「本しゃぶり」の年ごとのブックマーク数の分布を箱ひげ図で見てみよう。

各年のはてブ分布

最初の数年は時々大きなヒットがあるものの、安定していなかったことが分かる。しかし、2016年、17年あたりから右肩上がりに伸び、2020年、21年には中央値が200を軽く超えるなど、非常に安定して高いブクマ数を獲得できるようになった。

タグの変遷

次に、どんなタグが付けられているかを見てみる。ワードクラウドで見ると、「あとで読む」が圧倒的に大きいが、それ以外では「本」「アニメ」「ネタ」「歴史」あたりが目立つ。ここ数年のトレンドである「AI」も上位に入っているのはポイントが高い。

本しゃぶり記事のタグでワードクラウド

これを年ごとのヒートマップで見ると、俺自身の興味の変遷が見えてきて面白い。

上位20件のタグでヒートマップ

2018年頃までは「アニメ」「ネタ」が多かったが、2023年からは「AI」が出現している、といった具合だ。

ブクマカ発掘

「本しゃぶり」をブックマークしてくれているユーザーについても見てみよう。俺自身を除いたブックマーク数トップ20を出すと、最も多いのは id:techtech0521 さんだった*5

本しゃぶり常連ブクマカ

ユーザーごとの年別ブックマーク数をヒートマップにしてみると、関係性の変化が見えてくる。

本しゃぶり常連ブクマカでヒートマップ

id:techtech0521 さんは2022年から本しゃぶりをブクマし始め、2023年には過去記事まで遡って大量にブクマしていたことが一目瞭然だ。一方で、昔は熱心に読んでくれていたが、2024年以降はブックマークがない、というユーザーも見えて興味深い*6

さらに、ユーザーのブックマークだけでなく、そこに添えられたコメントについても分析することにした。

17,557件のブコメ

はてなブックマークユーザーは、他人の記事に一方的にコメントを付けるのが常だ。書いた側が「言われる側」で、コメントする側が「言う側」。だが、たまにはその立場を逆転させて、自分たちが分析される側になるのも、なかなか楽しいのではないだろうか。

ブコメの感情分析

俺の記事についた17,557件のブックマークコメントを、日本語の文脈理解に強いBERTベースの感情分析モデル(koheiduck/bert-japanese-finetuned-sentiment)にかけた*7

ただし、これはあくまでコメント単体の感情を機械的に分析したもので、俺や記事に対する評価とは必ずしも一致しない点には注意してほしい。

ポジティブ/ネガティブコメント

まずは、コメント単体の感情を分析してみよう。

ポジティブコメント トップ10

最もポジティブと判定されたのは、『チェンソーマン』の記事についた id:neputa さんの「めちゃくちゃ面白かったぜ」というコメントで、スコアは+0.96311

順位 ユーザー名 コメント スコア はてブページ
1 neputa めちゃくちゃ面白かったぜ!! 0.96311 link
2 kazoo_oo おめでとうございます。楽しみだ。 0.96308 link
3 idejunp ヒトの目はめちゃくちゃ面白かった。ハヤカワSF好きにも刺さると思う 0.96306 link
4 yutoma233 今回も面白かった。巡礼旅行は素晴らしい…っ! 0.96306 link
5 alice-and-telos このチャンネルいいよね。「た」シリーズとか面白かった 0.96303 link
6 tsubaki315 朝から良い記事が読めた。ありがとうございます。 0.96302 link
7 nakarx 読んでてほんとに楽しかった。いい記事でした 0.96302 link
8 fourddoor 出てきたうちの5作品ぐらいしか履修してないけど面白かった! 0.96301 link
9 nenesan0102 こういうの大好き!爆笑! 0.96301 link
10 kiyoichi_t 企画がすごく面白い。自分も「このすば」毎週楽しみにしてます。 0.96300 link

このような純粋な称賛ブコメをされるのは、書き手として嬉しいものだ。ブコメには記事への批判も多いが、こういうコメントばかりなら、もっと多くの人がブックマークされることを喜ぶだろう。

ネガティブコメント トップ10

一方、最もネガティブと判定されたのは、骨伝導ヘッドセットの記事についた id:knok さんの「だんだん痛くなってつけっぱなしにはできないなぁ」で、スコアは-0.96332

順位 ユーザー名 コメント スコア はてブページ
1 knok だんだん痛くなってくるのでつけっぱなしはできないなあ -0.96332 link
2 brusky ポイント系は計算してたくさんもらっても使い切る前に有効期限が来たりするのが悲しい。 -0.96331 link
3 ChieOsanai もうこの文章読むのすら面倒くさい -0.96328 link
4 komutan1 文体と相まって怖すぎた。 -0.96328 link
5 gorori3 仕事上生活の大半がネットワークから切り離されたところで行われるので、こういった文明を感じられないのが凄く悲しい -0.96328 link
6 shiromatakumi マイル貯めまくったのに全く使えてない。商品と交換するのも負けた気がして嫌だしなあ。 -0.96326 link
7 sextremely サバ缶よく買ってたけど値上がりを受け止めきれない -0.96326 link
8 htnmiki 怖すぎるだろ…… -0.96325 link
9 halix 結局、生きることはつらい、と。 -0.96325 link
10 rosemariefairy 現実と創作の区別がついてないの怖い。創作に時代考証を持ち込むのが気持ち悪い。 -0.96323 link

もっと俺への批判コメントが並ぶかと思ったが、実際には個人の状況に対するネガティブな感想が多かった。このあたりが、機械的な分析の限界か。

ユーザーごとのコメント傾向

次はユーザーごとの傾向を見ていこう。ここでは、本しゃぶりに5回以上コメントしたユーザーに限定して分析した。

ポジティブユーザー トップ10

ユーザーごとのコメントの感情スコア(中央値)でランキングした。最もポジティブな傾向にあったのは id:njgj さんで、中央値は+0.960380だった。

順位 ユーザー名 スコア中央値 コメント数
1 njgj 0.960380 5
2 aka_koushi 0.960379 5
3 firststar_hateno 0.959925 8
4 I8D 0.952765 6
5 ite 0.949846 5
6 quelle-on 0.947803 5
7 ku-kai27 0.928500 5
8 rti7743 0.920628 6
9 ssuguru 0.894095 8
10 enjoymoon2 0.893523 5

ネガティブユーザー トップ10

逆に、最もネガティブな傾向があったのは id:heyacho さんで、中央値は-0.957828だった。

順位 ユーザー名 スコア中央値 コメント数
1 heyacho -0.957828 5
2 njamota -0.947488 5
3 emt0 -0.942784 6
4 naoto_moroboshi -0.930637 14
5 sasasin_net -0.901923 6
6 take-it -0.901408 5
7 primedesignworks -0.898733 5
8 Gl17 -0.863645 6
9 sainokami -0.858888 6
10 osugi828 -0.825816 5

トップの感情分布

これを箱ひげ図にすると、人の傾向がはっきりと見えてくる。

ポジティブなブクマカの感情分布

ネガティブなブクマカの感情分布

ポジティブユーザー上位層は、ネガティブなコメントをほとんどしていない。最も低いスコアでも-0.2程度に収まっている。一方で、ネガティブユーザー上位層は、ポジティブなコメントをほとんどしない。

つまり、常にポジティブなコメントをする人と、常にネガティブなコメントをする人は、かなりはっきりと分かれているのだ。これはなかなか面白い傾向だと言えるだろう。

全体分析:ブックマーク数とコメント率

最後に、俺の全記事を対象に、ブックマーク数(横軸)とコメント数(縦軸)で散布図を作成した。コメントのポジティブ/ネガティブ度合いで色分けもしてある。

ブコメ全体分析

これを見ると、最もコメントがついたのは「巨乳の炎上に見る進化と文化のミスマッチ」で499コメント。ブックマーク数は1896なので、約4人に1人がコメントした計算だ。また、コメント率が異常に高かったのが「はてなブックマークにブコメ返信機能が欲しい」で、約65%もの人がコメントしていた。

ブクマ数が増えると無言ブクマの比率が増えるかと思っていたが、ブクマ数が多くてもブコメ率高めな記事をある。ブクマ数よりも記事の性質の方が重要なのだろう。

終わりに

ブロガーにとって、はてなブックマークは便利だが厄介だ。無責任なブコメや的外れな批判が飛んでくるし、反論しづらい構造は根強く残っている。ユーザー層の高齢化や「他人のブクマに便乗する」ような振る舞いも目につく。だから実際、はてブのせいで書くのを止める人や、非表示にする人がいるのも当然だ。

だが端的に言えば、はてブがなかったら俺はここまで来られなかった。面倒も代償も承知の上で、それでも恩恵の方が大きかった。

ゆえに、はてなブックマークは残すべきである。


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by はてなブックマーク20周年

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ChatGPTに投げて、他人のブコメの傾向を分析しよう。

*1:これについては以前も触れたな。 有料定期購読マガジンに屈しました - 本しゃぶり

*2:知らない人のために書いておくと "404 Blog Not Found" というブログタイトルであり、消えたわけではない。

*3:翌年の2022年の「年間総合はてなブログランキング」トップ100に入ったのは9件と減ったが、トップ20には5件入っている。

*4:noteと連載のせいで本しゃぶりの更新は滞ることに。

*5:techtech0521のブックマークを見ると、2025-08-24時点で累計178,904件もブクマしている。やべえ。

*6:今から付けてもいいよ。

*7:顔文字が入っているとそれに引っ張られたので、顔文字を除外する処理をかけてから分析した。

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