決算説明会の出席者を見れば会社の雰囲気が分かる

上場企業は3カ月ごとに決算発表を行う。この決算説明会に「誰が」「どのように」出席し、説明を行うかを観察すると、企業の内情や経営陣たちの力関係がよく分かる。

上場して間もないベンチャー企業のなかには、決算説明会に毎回社長が一人で登場し、すべての説明を行っていることがある。規模が小さく人材が限られているベンチャーなら仕方がない側面もあるが、毎回社長しか登壇せず、他の役員が姿を見せないという状況が続く企業は、典型的なワンマン経営だと見ることができる。

たとえばメルカリでは、上場当初は山田進太郎CEOが毎回登壇していたが、ある時点から、四半期決算ではCFOが中心となって説明を行うようになった。山田さん自身は年に1〜2回のみ登壇するスタイルに変わっていった。

このように、決算説明会に誰が出るかという変化を見ていると、「企業が新しいフェーズに移行しようとしている」「経営陣が意識的に権限委譲を進めている」といった意図を読み取ることができる。

決算説明会ではCEOとCFOが2人で登壇しているようなケースも見かける。ここでは、それぞれの発言時間の配分に注目して見ると面白い。2人で出てきているのに、結局CEOばかりが喋っていて、CFOがほとんど発言の機会を与えられないような状況であれば、その社長(CEO)は良くも悪くも目立ちたがりで、「俺が俺が」と前面に出過ぎるタイプなのだろう。

プレゼンテーションで話すビジネスマン
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業績不振のときこそ、トップが全面に出るべし

一方で、このようにCEOばかりが説明していた企業が、徐々にCFOがメインで説明するようになり、ついにはCFO単独で登壇するようになったとしたら、これは権限移譲が順調に進んだ証拠である。

こうした変化は、企業が健全に成長し、社長一人に依存しない強い体制が構築されつつある良い兆候だ。さらに、決算説明会に4人も5人も役員が出てくる会社もあるが、人数が多すぎるのは良い兆候とは言えない。責任の所在が曖昧になり、明確なリーダーシップが欠如しているように見えるからだ。

超がつくほどの大企業になると、基本的にはCEO本人はほとんど登壇せず、CFOや副社長クラスが説明を担当することが多い。CEO本人は年に一度、本決算時のみ登壇するなど、登場シーンが限定される。

これは私の個人的な印象だが、ソフトバンクの孫正義さんは、決算が悪いときほど自ら前に出てきているように感じる。1兆円規模の損失が出た時でさえ、「大勢に影響なし!」と大胆にスライドを見せながら、「これくらいの損失はさざ波ですよ!」と堂々と言い切る。

孫さんがガハハと豪快に笑いながら「これからの20年、30年を考えれば、このくらいの損失は大したことではありません」と語れば、株主としても「まあ、孫さんがそう言うなら大丈夫なのか……」と不思議な安心感すら抱いてしまう。こういう社長の態度は、ダメージ・コントロールという意味で非常に有効だと思う。

経営者として、逃げない姿勢を印象付けられるし、不安を解消するどころか「この人ならもっとすごい未来を見せてくれそうだ」と更なる期待さえ抱かせてしまう。