【プレビュー】「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」 東京上野・国立科学博物館で11月1日から 科博の叡智を結集!地球史の大事件”大量絶滅”の謎に迫る
国立科学博物館(東京・上野公園)で特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」が11月1日から開催されます。
生命が誕生してから40億年、地球上では幾度も生命の危機が訪れました。それは主に地球外からやってきた小天体の衝突や火山などの地球内部の活動によりもたらされましたが、ときに生命活動そのものが引き金になったこともあります。しかし生命は、その都度、したたかにそれらの危機を乗り越え、絶滅したグループに代わるグループが新たに繁栄することを繰り返すことで、多様に進化を遂げてきました。言わば、大量絶滅は生命の繁栄を促した現象だと捉えることもできるのです。
本展では、その中でも規模の大きかった5回の「大量絶滅」事変(通称「ビッグファイブ」)を、化石や岩石に残された様々な証拠から紐解き、「生き物たち」の生存をかけた進化の歴史を辿ります。「ビッグファイブ」をテーマとする特別展は、国立科学博物館では初めてとなります。各種の古生物や火山、古気候・古海洋などを専門とする国立科学博物館の研究者10名による監修で、様々な角度から5回の大量絶滅の謎に迫ります。
| 特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」 |
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| 会場:国立科学博物館(東京・上野公園) |
| 会期:2025年11月1日(土)~2026年2月23日(月・祝) |
| 開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで) |
| 休館日:月曜日、11月4日(火)、11月25日(火)、 12月28日(日)~2026年1月1日(木)、1月13日(火) ※ただし、11月3日(月・祝)、11月24日(月・休)、1月12日(月・祝)、 2月16日(月)、2月23日(月・祝)は開館 |
| 観覧料:当日券:一般・大学生2,300円 / 小・中・高校生600円 ※未就学児無料※障がい者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料 ※同日に限り常設展示(地球館・日本館)も観覧可 |
| 問い合わせ:ハローダイヤル 050-5541-8600 |
| アクセス:JR「上野駅」公園口から徒歩5分/東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」から徒歩10分/京成線「京成上野駅」から徒歩10分 |
| 公式SNS:X(旧Twitter) Instagram 展覧会詳細は、公式サイトまで。 |
本展の見どころ
Point1 国立科学博物館では初!「ビッグファイブ」をテーマとする特別展
国立科学博物館では「ビッグファイブ」から生命進化の歴史をたどる特別展は初めての開催となります。生命史全体をテーマとする特別展も実に10年ぶり。国立科学博物館の古生物研究者全員と火山の研究者が協力して、「ビッグファイブ」の最新研究をご紹介します。
★ビッグファイブとは★
生命の歴史の中で「進化」と「絶滅」は隣り合わせにある現象です。通常、100万年ごとに10%程度の種が絶滅すると考えられていますが、通常の絶滅とは異なって、短期間に75%以上もの分類群が絶滅したとされる現象(=大量絶滅)が過去に何度も起こっています。そのうち最も大きな5回の絶滅現象が「ビッグファイブ」です。「ビッグファイブ」を境としてそれ以前と以降の生命の世界が大きく変わったため、それが次の新しい世界へと繋がる大きな原動力になったという考え方があります。
1 . オルドビス紀末約4億4400万年前
2 . デボン紀後期約3億8000万年前~約3億6000万年前
3 . ペルム紀末約2億5200万年前
4 . 三畳紀末約2億100万年前
5 . 白亜紀末約6600万年前
Point2 迫力の展示演出!
会場では大きな地球儀「大絶滅スフィア」が皆様をお出迎えします。「大絶滅スフィア」は球形の映像展示で、地球史における「ビッグファイブ」をご紹介します。また、史上最大の絶滅の要因でもある火山活動を体感できる模型も展示いたします。
Point3 デンバー自然科学博物館から日本初公開の標本が来日!
全米有数の自然史博物館の一つであるデンバー自然科学博物館の貴重な標本の数々をご紹介します。日本からは全長約6mのステラーダイカイギュウの全身化石を世界初公開するなど「ビッグファイブ」や生命史を紐解く貴重な標本が多数紹介されます。
デンバー自然科学博物館は、アメリカのコロラド州にある、全米有数の自然史博物館の一つ。特に脊椎動物と植物の化石は、その規模、範囲、科学的価値において世界有数のコレクションです。
Point4 モロッコでの発掘調査の成果を紹介!
本展のために大量絶滅と関連の深いモロッコにおいて発掘調査を実施。オルドビス紀の世界を垣間見ることができるフェゾウアタ化石群や、三葉虫などの採集標本のほか、三畳紀末の絶滅に関わる火山活動の調査結果などを世界初公開いたします。
展示構成
EPISODE 1 O-S境界 海の環境の多様化
海の生物に大きく影響した最初の大量絶滅事変です。オルドビス紀化石の世界有数の産地があるモロッコの最新研究から絶滅事変の詳細に迫ります。
EPISODE 2 F-F境界 陸上生態系の発展
火山活動に起因した寒冷化による複数回の絶滅事変です。海ではダンクルオステウスなどの板皮類や多くの三葉虫が絶滅し、陸では巨大な森を中心とした生態系が始まりました。
EPISODE 3 P-T境界 史上最大の絶滅
シベリアで起こった大規模火山活動に起因した、古生代の終わりを告げる史上最大規模の絶滅です。海陸で多くの生物が絶滅しましたが、恐竜や魚竜、私たち哺乳類に繋がる仲間が生き残りました。
EPISODE 4 T-J境界 恐竜の時代への大変革
大西洋をつくった超大陸パンゲアの分裂。この時の火山活動が原因とされる絶滅事変は、“爬虫類”の世界を大きく変え、恐竜が主役に躍り出るきっかけになりました。歴史的に有名な北米の化石産地の研究も紹介します。
EPISODE 5 K-Pg境界 中生代の終焉
小天体の衝突により恐竜などの中生代型生物が絶滅しました。原因となった隕石や、この時代の変化が詳しく研究されている北米西部の化石を紹介します。恐竜絶滅後の哺乳類の変化に注目です。特に本章では、アメリカ・デンバー自然科学博物館から来日した貴重な標本が多数展示されます。
EPISODE 6 新生代に起きた生物の多様化
大量大量絶滅のなかった新生代ですが、寒冷化や乾燥化など激しい気候変化が原因で生物の世界に大きな変化がありました。生き物の多様な世界がどうやって形づくられてきたか、化石で辿ります。世界初公開となる、全長約6mを誇るステラーダイカイギュウ全身の実物化石にも要注目です。
本展では、科博の古生物研究者全員と火山の研究者が協力して、地球史において発生した5回の大量絶滅「ビッグファイブ」の最新研究にフォーカスをあてます。デンバー自然科学博物館から初来日する貴重な標本群をはじめ、本展のために行われたモロッコでの発掘調査での数々の成果報告では、世界初公開となる標本・情報も登場。約40億年にわたる地球の生命史において最大の謎である「ビッグファイブ」を最新のビジュアルと知見で読み解く、この秋最大の注目点の一つとして今から開幕が楽しみです。(美術展ナビ)