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2025.08.01 08:50

反発、不安、戸惑い…「博物館は収益施設じゃない」「県のやり方は乱暴」職員や関係者の声は?高知県が県立施設指定管理を公募へ

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来年3月末で「直指定」による指定管理期間が満了する高知城歴史博物館(高知市追手筋2丁目)

来年3月末で「直指定」による指定管理期間が満了する高知城歴史博物館(高知市追手筋2丁目)

 高知県は、指定管理者として外郭団体が運営している牧野植物園など県立5施設について、管理者を直接指名する「直指定」から、民間業者を含めて公募とする方針を固めた。年5万人以上の集客がある施設が対象。

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高知県立美術館、牧野植物園など県立施設指定管理を公募へ

 県は、文化施設への「公募」導入で運営の自由度を高め、収益が上がれば職員の処遇改善につながると期待を寄せる。しかし、運営団体が原則5年で代わりかねない仕組みは学芸員らの雇用不安が増す。「博物館は収益施設じゃない」「高知らしい研究が根こそぎなくなりかねない」と反発する。

 県行政管理課は「県内事業者を対象にした募集が基本。施設に払う管理代行料を削る考えはない。自主的に収益を上げ、団体運営に生かしてほしい」。浜田省司知事も「公募はいわばテスト。そんなに競合相手が出てくるとは思わない。県民の評価があれば、引き続き指定される方向に動くだろう」と述べる。

 だが、この方針に理解を示す声は多くない。…

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2025.08.01 08:50

高知県立牧野植物園、美術館など県立施設指定管理を公募へ 対象団体の職員は雇用の継続を不安視

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来年3月末で「直指定」による指定管理期間が満了する高知城歴史博物館(高知市追手筋2丁目)

来年3月末で「直指定」による指定管理期間が満了する高知城歴史博物館(高知市追手筋2丁目)

 高知県は、指定管理者として外郭団体が運営している牧野植物園など県立5施設について、管理者を直接指名する「直指定」から、民間業者を含めて公募とする方針を固めた。年5万人以上の集客がある施設が対象。自主事業の拡大などで収益拡大を目指し、職員の処遇改善や人材確保につなげることを狙いとするが、対象団体からは文化行政への配慮不足や職員の雇用が継続されるのか不安視する声が出ている。

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反発、不安、戸惑い…職員や関係者の声は?

 5施設はほかに、県立美術館、坂本龍馬記念館、高知城歴史博物館、のいち動物公園。運営する県文化財団、県牧野記念財団、土佐山内記念財団、県のいち動物公園協会のほか、県スポーツ振興財団、県地産外商公社を、新分類の「自律性向上団体」に位置づける。

 県によると、外郭団体は予算や職員給与に制約があり、直指定の場合、…

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2025.08.25 05:00

小社会 万博のよさこい

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 よさこい鳴子踊りが国内外に広がる出発点になったのは1970年大阪万博だろう。「日本の祭り10選」に選ばれ、踊り子160人が現地へ。知名度を一躍高めた。

 ちなみにこの演舞は万博仕様でもあった。出演は3日あったが、割当時間は1日わずか15分。効果的にアピールするために曲のテンポを速め、隊列も柔軟性を持たせた。反応は上々。「大群衆は熱狂、踊り出す人も」と、記念誌「よさこい祭り40年」にある。

 その観衆の中に、南仏の観光都市ニース市の市長がいた。踊りをいたく気に入り、翌々年の地元の祭典に踊り子隊を招く。これが踊りの普及に弾みをつけた。

 ニースとの縁は祭りのスタイルにも影響をもたらした。海外向けにサンバ調の踊りが考案され、それが演舞の自由さや多様性につながっていく。その意味では祭りの進化の端緒もまた、万博に帰すると言ってよい。

 それから55年、大阪での万博で再び鳴子が響いた。高知をPRする企画で先週末の2日間、15チーム1200人が屋外アリーナを独占した。「若いよさこい」が初々しく県外デビューした55年前に対し、今回は「円熟期のよさこい」の多様性、裾野の広さを発信したといったところか。万博を通じ、祭りが果たす役割の変遷も見える。

 図らずも、筆者も現場に居合わす機会に恵まれた。体が溶けそうな酷暑に負けず、一緒に盛り上がる観衆が大勢いた。さて今回はどんな縁が生まれるか。

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2025.08.25 05:00

【プラごみ条約】危機感共有し合意目指せ

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 対策の必要性は明らかなのに前進が見られないのがもどかしい。プラスチックによる環境汚染対策がまた先送りされた。
 プラスチック汚染を防ぐ国際条約作りのためスイスで開かれた政府間交渉委員会は、条文案の合意に至らなかった。昨年の韓国での交渉でも調整がつかずに先送りされており、改めて各国の立場の違い、合意の難しさが浮き彫りになった。
 しかし、プラ汚染の問題は深刻化する一方だ。対策が急務で、効果を上げるには地球規模でのアプローチ、国際協調が欠かせない。各国が危機感を共有し、諦めることなく合意を探ってもらいたい。
 プラごみ対策を巡っては、2022年の国連環境総会で国際条約の策定が決まり、24年末までの合意を目指して交渉が重ねられてきた。しかし、同年に韓国で開かれた5回目の会合でも合意に至らず、今回のスイスの会合が「延長戦」に位置付けられていた。
 交渉ではこれまで同様、生産規制が焦点となり、環境問題に熱心な欧州連合(EU)や漂着ごみに悩む島国が「生産量と消費量の国際的な削減目標」を求めた。一方、原料となる石油の産出国などは「廃棄物対策に限るべきだ」と反対し、溝が埋まらなかった。
 交渉そのものは継続される方針であり、条約作りがこれで打ち切られるわけではない。ただ、以前は生産量規制に前向きだった米国が、自国経済を優先するトランプ政権になって規制反対に転じ、合意のハードルは以前よりむしろ高くなっていると言ってよい。次回開催の時期や場所も決まっておらず、その点からも見通しの厳しさがうかがえる。
 一方、手をこまねいていては状況は悪化するだけだ。
 経済協力開発機構(OECD)によると、プラスチックの19年の廃棄量は約3億5千万トンで、00年からの20年間で倍増した。何も対策を講じなければ、廃棄量は60年には約10億トンと3倍になる見通しだ。
 このうちの相当量が川や海に流出し、環境を汚染し続けているとされる。流出量が50年までに魚の総重量(約10億トン)を上回るとする試算もある。小さなプラを魚やウミガメなどが食べて死んでしまう例が増えたほか、波や紫外線の作用で微細になったマイクロプラスチックが人間の脳や血管からも発見されており、健康への影響が懸念されている。
 言うまでもなく、速やかな対策が求められる状況だ。リサイクルや再利用の推進など廃棄物対策だけでは効果が限られ、生産・消費規制に踏み込む必要がある。
 政府間交渉で日本は中立的な立場を取りながら調整役を果たしたとする。原油輸入国との関係維持に腐心する面があるのだろうが、1人当たりのプラスチック容器包装廃棄物の排出量は世界2位で、本来は対策をリードするべき立場だろう。
 交渉の早期再開のための機運醸成、各国の理解促進へ、役割を果たす必要がある。

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