保護者との約束覆し、いじめ調査の検証委設置せず「やれることない」

青田秀樹
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 【静岡】湖西市の市立中学で2019年に起きたいじめについて、市は保護者との約束を覆し、いじめの調査が適切だったかどうかを確かめる検証委員会は設けないと決めた。再調査もしない。保護者側は強く反発しているが、田内浩之市長は22日の記者会見で「一区切りとしたい。行政としてやれることはない」とした。

 中学2年生だった女子生徒は部活の同級生らから無視されるなどのいじめを受けてうつ状態になり、学校に通えなくなった。卒業から4年たったいまも、体調不良が続いているという。

 当時の校長は「いじめはなかった」としたが、女子生徒の卒業後に市教委が設けた調査委は23年春、いじめを認定して学校側の問題を指摘する報告書をまとめた。

 保護者側は、調査の客観性などに問題があるとして検証を求め、23年末に当時の影山剛士市長が県外の第三者による検証委の設置を約束。昨年12月に就任した田内市長も設置に取り組むとした。

 ところが、日本弁護士連合会に委員のなり手を求めたものの断られたことで、「法的な担保がある検証委は設けられない」と判断。14日に保護者側に伝えた。さらに、当初の調査には問題がないと内部の検証で確認したという。ただし、その内部検証の内容は明らかにできないとしている。

 田内市長は、検証委設置の判断も、それを引き継いだのも間違いだったとし、「おわびするしかない。直接会って謝罪した」と話した。また「質問には答え、(いじめにあった)お子さんが元気になるようなことならば協力する」とした。

 保護者側は「とうてい納得できない。様々な経緯をすべて明らかにするように求めていく」との立場だ。

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