…僕の声は、女の子みたいだった。
それのせいで、僕のお母さんはだいたい不機嫌だった。
僕だって、好きでこの声に生まれたわけじゃない。
第一、男らしさって何なんだと思っていた。
お父さんは、無関心だった。
特に僕のことは全く口出しもしなければ、目を合わせたことも手で数えられるくらいだった。
そのときの僕は子どもだったけど、分かった。
僕は愛されていない。
そこから、僕は喋らなくなった。
僕が喋らなければ、親は不機嫌じゃなくなるのかもと思ったから。
声は出さずに、パントマイムなどで会話することが増えた。
そして、保育園に入った。
みんなは、暖かかった。
特に、アキとゾーヤ、カナタは僕に初めから優しかった。
アキは絵が得意だった。
パントマイムで会話する僕の言葉もわかってくれる、
ちょっぴり目立ちたがりの優しい子。
ゾーヤは正直男の子だと知ってびっくりした。
表現が面白い、いい子だと思った。
カナタくんとヒナタくん。
いつもイタズラをしてるけど根はとても優しい。
みんな優しい子だった。
僕の声のことは最初に一瞬驚いた顔をされただけで、
後は全く気にしなかった。
他の子と全く変わらない対応をしてくれていて、嬉しかったのを覚えている。
一度だけ、ゾーヤくんに聞いたことがあった。
あの言葉に僕は救われた。
3人だけだったら声が出せるようになった。
言い始めた最初の方は声が出しにくかった。
僕の声を女の子みたいとは言わず、
綺麗な声だ、と言ってくれた。
あの頃は本当に楽しかった。
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切ります。
他の方の作品で見つけたんですがもともと喉があまり発達していなかったという
考えもいいなと今更ながら思い始めました。
そして誕おめ私。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!