「鉄道模型趣味」創刊1000号 80年近い歴史と誌面に込めた平和の願い 終戦5か月後の発行に見える“情念”
日テレNEWS NNN
戦後まもなく創刊した鉄道模型の月刊誌が先月、創刊1000号を迎えました。80年近い歴史に、平和な世の中を願う思いが受け継がれていました。
■鉄道模型の魅力は?ファンの裾野拡大 高校生参加のコンテストも
街の中を駆け抜ける特急や緑豊かな山の中を走る列車。小さくても実物さながらの迫力で、多くのファンを魅了する鉄道模型の世界。
近年は、高校生の鉄道模型コンテストも開催され、ファンの裾野は広がりつつあります。
忠実に再現した機関車や実物とみまがうジオラマなど、ファンのこだわりの作品の数々を80年近く紹介してきました。
鉄道模型趣味・名取紀之編集長「1946年(昭和21年)の第1号があるんです」
創刊は、戦後まもない1946年1月。戦争で焼け野原となった東京。人々はヤミ市で物資を買う時代でした。
名取紀之編集長「これ見ると分かりますけど、ガリ版ですよね。ヤミ物資のザラ紙ですからね」 日本テレビ・藤田大介アナウンサー「1枚1枚が薄いですね」 しかも、当時はGHQの検閲が必要とされた時代。 藤田大介アナウンサー「なぜ、GHQの目をかいくぐってまで出版せざるを得なかったのでしょうか?」 名取紀之編集長「いや、出さざるを得なかったというよりも、出したかったのでしょうね、情念として。やはりこの戦前からの鉄道模型の歴史を踏まえた上で」 昭和初期、すでに趣味の対象となっていたという「鉄道」。ファン向けの雑誌も複数、出版されていたといいます。しかし…。
■戦前にもいた鉄道ファン しかし戦争の影が日増しに…
名取紀之編集長「この(雑誌)『科学と模型』昭和15年ですね。もう本当に戦時体制になって、内容が表紙からしておかしいですよね」 藤田大介アナウンサー「船ですね」 名取紀之編集長「これだってそうでしょ」 藤田大介アナウンサー「船ですね」 名取紀之編集長「戦艦じゃないですか。どんどんどんどん、こういう翼賛的な方向に進んでく中で、鉄道の模型自体も、いわゆる軍国少年を育てるがための、ひとつのツールになりつつあったわけですよ」 戦争を支えるインフラとして、軍事機密となっていった鉄道。そしてある事件が。