整備士不足でドクターヘリ運休 長崎県、運航委託先のヒラタ学園(兵庫)に人材確保要請

長崎新聞 2025/08/23 [10:20] 公開

長崎県は22日、ドクターヘリの運航を23日と27~29日の計4日間、休止すると発表した。運航委託先の学校法人ヒラタ学園(兵庫)が一時的に整備士を確保できなくなったため。同学園が運航する9都府県(10基地病院)のドクターヘリ全てで休止の影響が出ている。

 県によると、同学園は7~8月に従業員の休暇で整備士を確保できない状況になり、委託元の都府県に休止を依頼。1基地病院につき7~13日間運休しており、本県にも当初7日間休止したい旨の相談があった。離島・半島が多く、救急患者搬送への影響が大きいとして県は7月中旬から運航継続の交渉を続けていたが、勤務調整が難しく4日間の休止が避けられなかった。

 同学園でドクターヘリに搭乗可能な整備士は17人。単純比較はできないが、11道県(15基地病院)でドクターヘリを運航する中日本航空(愛知)は整備士全体で約350人いるといい、広報担当者は「急な欠員が出ても、他部署からの応援でカバーできる人数を確保している」と話す。同学園は、ドクターヘリで航空法に違反する不適切な整備があったとして昨年5月に国土交通省大阪航空局の事業改善命令も受けている。

 ドクターヘリを巡っては県が2機目を導入する方針で、秋ごろの運用開始に向けて準備を進めている。運航委託先は同学園を予定しており、猪股慎太郎医療政策課長は「このような事態がまた起きないよう、整備士に限らず人材確保に力を入れてほしいと強く求めていく」と話した。

 休止期間中は県防災ヘリや佐賀県のドクターヘリで対応する。