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「震災後の今」縄文時代のイルカ骨が大量に出土した能登・真脇遺跡

八木景子初めて“捕鯨問題”を海外へ発信した映画監督・プロデューサー
(真脇遺跡:八木景子撮影)

約6000年前から4000年以上にわたって人々が暮らした集落跡「真脇遺跡」

石川県能登半島には、約6000年前から4000年以上にわたって人々が暮らした集落跡「真脇遺跡」がある。ここでは縄文時代の大量のイルカ骨”が見つかっており、縄文時代にイルカの群れを丸木舟で捕獲していたと考えられている。泳ぐの早く遠方にいるイルカは捕獲が厳しいが、沿岸の近くまで大量に来ていたことから長期に渡り、縄文人が命を繋ぐ場所として定住できたと考えられる。槍が突き刺さったままのイルカの骨も発見されており、当時の縄文人の技術や生活方法を伝える貴重な資料が閲覧できる。さらには、広大な敷地にある復元された竪穴式住居の中にも実際に入ることができる

今回の震災で、県指定の文化財は、36点が破損したが、国の重要文化財が219点の展示は、震災の被害を受けずに無事である。

集落・生活・祭祀の全体像を把握できる数少ない遺跡である。

(真脇遺跡資料:八木景子撮影)
(真脇遺跡資料:八木景子撮影)

混獲のクジラを楽しむ能登のひとたち

真脇遺跡からはイルカだけでなく、大型のクジラや哺乳類動物の骨も見つかっている。能登での捕鯨は縄文時代に限らず昭和期まで、国が全国の捕鯨基地を整備するまで沖合で盛んに行われており、現在でも混獲されたクジラは地元の人々に食文化として親しまれている。

(昭和期の能登での捕鯨:勇魚文庫提供)
(昭和期の能登での捕鯨:勇魚文庫提供)

そびえ立つ環状木柱列

(真脇遺跡の環状木柱列:八木景子撮影)
(真脇遺跡の環状木柱列:八木景子撮影)

祭りや儀式などが行われたところと推定されている。

町民や観光客は流失、入場者数は1/3が減少したまま

2024年元日の能登半島地震では、大きな被害を免れた真脇遺跡だが、度重なる豪雨災害によって地域全体が打撃を受けたまま、住民が県外へ移り住むケースも多い。住民票の移動だけでも人口は1割減、携帯の位置情報から3割減少したとされている地域がある。減少スピードは、昨年よりも今年の減少が約2倍に加速している。

崩壊した家屋の再建が難しく、跡地は、草が生えた空き地になっているところが目立つ。観光客の足も遠のき、遺跡を訪れる人は震災前の3分の1が減少したままである。

(真脇遺跡資料室:八木景子撮影)
(真脇遺跡資料室:八木景子撮影)

縄文体験も予約受付中

現在、道路や交通に支障はない。予約をすれば縄文土器づくりなどの体験プログラムに参加することもできる。これまでの観光客層とは異なり、震災復旧にあたるボランティアや作業員の中には、初めて真脇遺跡の存在を知り、歴史に触れようと訪れる人もいる。

豊富な文化財の復旧の努力

能登の多くの地域では国の重要文化財や伝統建造物の多く存在する。歴史を未来につなぐ貴重な文化財として6000年の歴史とともに、流出した能登の住民遠方からの観光客の再来、さらには、日本有数の縄文遺跡である真脇遺跡の存在自体を知らない多くの方にも気がついてもらって*迎い入れようと努力をしている。

石川県鳳珠郡能登町字真脇48-100
TEL 0768-62-4800

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ありがとうございます。
初めて“捕鯨問題”を海外へ発信した映画監督・プロデューサー

東京生まれ。ハリウッド・メジャー映画会社に勤務後、長年恐れられていた捕鯨問題の映画製作のために「合同会社八木フィルム」を設立。初めて日本側の主張を伝える『ビハインド・ザ・コーヴ』は自費で製作した。2015年に世界8大映画祭モントリオール世界映画祭に選出され、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズ、ロサンゼルスタイムズなど世界中の大手メディアに取り上げられ国会議員試写会も行われた。しかし、配給会社がつかず、借金と寄付を募りながら配給まで行った。日本のドキュメンタリー映画としては珍しく世界最大のNETFLIXから世界へ配信され大きな反響を呼んだ。新作「鯨のレストラン」は現在、国内外で展開を挑み中。

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