「広島飛ばし」逆手に誘致 広島県呉市に人気アーティスト続々 HYやリトグリ、高橋優… その背景は?
広島県呉市で人気アーティストの音楽ライブが目立っている。約1800人収容の呉信用金庫ホール(中央)では今年、HYやリトルグリーモンスターが相次ぎ公演。7月以降は財津和夫さんや田原俊彦さんのステージが控える。広島市に近く、採算を取りやすい中規模の会場が受けているようだ。運営する市文化振興財団は、会場不足で起きるライブの「広島飛ばし」を逆手に、誘致に力を入れる。 【表】呉信用金庫ホールでの主な公演アーティスト 5月にあった沖縄出身バンドHYの25周年ツアーはチケットが完売した。市内の50代女性は「メンバーが客席から登場し大盛り上がり。アリーナやドームとは違う距離感の近さがある」と満足そう。同ホールの有料興行は4~6月の3公演はほぼ満席だった。 背景には新型コロナウイルス禍後のライブ需要の高まりがある。加えて、コンサートなどを企画・主催する夢番地(岡山市)の大山高志執行役員は「2千人前後の公共ホールはニーズが高く、土日は争奪戦。広島市内で押さえられない場合、まず選択肢となるのが呉」と指摘する。呉信用金庫ホールはJRの駅に近いアクセスもメリットという。 財団の原垣内清治事務局長も「興行主からの問い合わせが急増し、財団としても集客が見込める出演者のリサーチや営業に力を入れている」と話す。来年度はさらに有料興行を増やす予定。呉市文化振興課も「大和ミュージアムの休館対策になる」と歓迎する。 街への波及効果も出ている。6月上旬にライブをした高橋優さんは、市の公式キャラ呉氏のTシャツを着て呉冷麺やフライケーキの店を訪れた様子を交流サイト(SNS)に投稿。土産店では高橋さんのファンが呉氏グッズを買い求める姿が見られた。市中心部の活性化に取り組む河崎圭一郎さんは「ライブは呉をPRする好機。市ぐるみで誘致する体制があってもいい」と期待する。 ◇ 「広島飛ばし」とは、人気アーティストのライブが素通りされる現象。78社でつくる一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(東京)によると、2024年の広島県内のライブは691回。福岡県1704回、北海道1418回、宮城県1181回を大きく下回る。アリーナなど会場となる施設の少なさと、興行利用の難しさが原因に上がる。
中国新聞社