被告人を反省させるには自分しかいない

さらに加藤さんは、裁判員裁判での死刑判決についても語りました。

(加藤裕司さん)
「3人の専門の裁判官と、6人の裁判員の、9人で判決などを出していくんですけども、死刑判決に関しては、9分の6で判決が決まるんです」

「ところが、3人の裁判官が無期懲役、6人の裁判員が死刑の場合、9分の6ですが、死刑にはなりません。“無期懲役”です。3人の裁判官のうち、少なくとも1人以上が9分の6の中に入ってないと、死刑にはならないんです」

「娘の事件の死刑判決は、何人の裁判官の方が死刑を支持していただいたかは分かりません。分かりませんけども、死刑判決が出たということは、そういうことだったんたなと思って、これもまた大変感謝しております」

「刑事事件の決着として、“死刑判決”が出た、これで万歳かといったら、そうじゃありません。私は、元死刑囚の男を『それでも死刑で許す』というつもりは全くないので、どうやって元死刑囚の男を苦しめてやろうかと思ってました」

「広島の拘置所に収監されていましたけども。手紙も書きました。手紙を書いて元死刑囚の男に面会を求めたのです」

「死刑囚に対する面会は、両親しかだめなんです。兄弟は面会できません。面会ができるのは、死刑囚がほかの事件で、弁護士のお世話になってるとなれば、その弁護士は面会の権利があります」

「結局はできないというルールだったんですけども、例外事項があって、そこを見ると、拘置所の所長の判断で死刑囚に対して、

・心を乱さない
・会う目的が明確である

というこの2点を満たし、拘置所の所長が認めれば、月に2回まで、1回15分程度の面会ができるという項目がありました」

「それに賭けたんです。元死刑囚の男は娘のことをよく知ってて殺害したわけではありません。自分の好みのタイプが4人いると。4人のうちの1人が娘だった。たまたま娘が出てきたときに引っ掛かったと。元死刑囚の男の目的は、『強姦する』ということだけでした」

「娘のことをなんも知りません。元死刑囚の男が収監されてから、死刑が確定してから元死刑囚の男は反省してないな、とずっと思ってました。なぜかというと、お詫びの一言も、手紙の一枚も、お花の一輪も、ろうそくの1本も届いたことがありません」

【画像㉙】

「要は『反省してないな』と思って。じゃあ誰が反省させてくれるのか、拘置所の人がしてくれるのか、できません」

「おそらく自分しかいないと思ったんですね。何年かかろうと、月2回、面会に行って、娘に対して元死刑囚の男が知らない事実」

「娘が幼少期のころどうだったか、子どもの頃、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、社会人。その間にどういう子で、どんなことに興味があって、どういう育ち方をしたのか。そしてわれわれ家族がどれだけ娘のことを愛してたのかということをこんこんと聞かせてやろうと思いました」

加藤さんの復讐心「苦しみを与えて死んでいってもらう」

反省が見られない元死刑囚の男に対し、加藤さんは自身で反省させて苦しみを与えようと考えました。

(加藤裕司さん)
「いかに鬼畜な人間であろうと、人間で生まれてきた以上はどっか心の隅に隙間があるだろうと」

「こんこんと教えることによって、元死刑囚の男が『自分は大変なことをしてしまった。これはなんとかお詫びをしなければいけない』という思いになってくれたら、その時に初めて苦しみが出てくるだろうと思ったんです。人間に戻して、苦しみを与えて死んでいってもらう。それが私の願いでした」

「それをやろうと思ったんですけど、ある友人から、『そんなことをして、自分の将来を、余生をそのことに費やして、娘さんは喜ぶのか?娘さんは復讐をしてくれと言ってるのか』ときつく言われたことがあって。そんなこと思うわけないなと思って。じゃあどうすりゃいいんだ、という思いに駆られたんです」

【画像㉚】

「元死刑囚の男のことは、一切気にかけないようにしよう、拘置所で自殺しようが、死刑になろうが、全然関心を寄せない、そういう風に思うようにしました。『それじゃあ自分が何をしたらいいのか』ということをいろいろ考えたんですよね」