2025年、「Anime Expo」に初のブース出展を決め、さらに存在感を増したグローバル企業が米Netflixだ。日本以外の全世界でソニーグループ傘下の米クランチロールがユーザー数を伸ばすなか、圧倒的な会員数を持つNetflixのアニメ強化は、日本のアニメ界にとって大きな意味を持つ。インド以外の全アジアでコンテンツ調達部門を率いるキム・ミニョン氏と、アニメのコンテンツ調達を担当する山野裕史氏は、Netflixから日本のアニメをどのように広げていこうとしているのか。

 これまでも屋内外の広告やパネルなどで参加していたが、意外にも「Anime Expo」にブースを出すのは初めてだという米Netflix。近年、アニメのラインアップを拡充し、さらに充実した編成を組むなかで、満を持して2025年、北米最大のアニメイベントでの取り組みも拡大した。インタビューの前日には、米ロサンゼルス支社の1階ロビーで、日本のアニメ関係者を集め、Netflixがいかにアニメを強化していくか、キム・ミニョン氏、山野裕史氏によるプレゼンテーションも行われたという。

キム・ミニョン(右)
Netflix コンテンツ部門 アジア担当バイスプレジデント
2016年入社。APAC地域(インド除く)の映画・ドラマ・バラエティなどすべてのコンテンツを統括し、8拠点のチームを率いる。『イカゲーム』『ハンガー: 飽くなき食への道』などのヒットシリーズや映画を担当。米NBCUや米Twitter社(現・米X社)などを経て現職

山野裕史(やまの・ゆうじ、左)
Netflix コンテンツ部門 ディレクター
2019年入社。Netflixの東京オフィスを拠点に、アニメ作品におけるコンテンツ調達を統括。『バキ』『七つの大罪』などのアニメシリーズ、アニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』などを担当。また、スタジオジブリ作品のグローバルでの調達や、Netflixオリジナル作品の原作となる日本IPの獲得も行う

──現状、Netflixのコンテンツにおける日本のアニメ作品の貢献をどのように分析していますか?

キム・ミニョン氏(以下キム) 過去5年間で、アニメの視聴は非常に成長しています。現在Netflixでは、約50%のユーザーがアニメを視聴しており、これは1億5000万世帯、控えめに見積もっても3億人以上に相当します。視聴時間も過去5年間で3倍に増加しており、アニメは今まではもちろんのこと、Netflixのビジネスと将来の成長にとって非常に重要なジャンルだと考えています。

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