白兎が怪人になるのは間違っているだろうか


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作:白米は正義
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炉の処女神の本気


二十八階層へと戻った僕達は食事もとい魔石を摂取する。

 

「モンスターの魔石を食するとはなんとも受け入れがたいですね」

 

「だが、手っ取り早く力を得るにはこうするしかないのだ。簡単ではないが割り切るしかない・・・」

 

魔石を見ながらシャルロットはそう言う。

 

シャルロットの言葉にアイラがそう言って助力(フォロー)しながら慣れない魔石を水と共に流し込む。

 

「うん、早く強くなって敵殺す」

 

そう言いながらヴァルナはひょいひょいと口の中に魔石を入れていく。

 

「ヴァルナの言う通りだ」

 

ヴァルナの言葉に賛同するマナは魔石をバリボリと噛み砕く。

 

「切り替えが大事ですがそれでも・・・」

 

自分に起きたことを受け入れなければいけないがまだ受け止めきれていない朔夜。

 

「まぁ、そんな簡単には受け入れられないだろうな」

 

そう言いながら魔石を流し込む僕。

 

「団長、この後は如何するのだ?」

 

「決まっている、魔石集めだ」

 

そうして、僕達は再び二十九階層へと向かうのだった。

 

 

 

ベル達がダンジョンで活動する中、ヘスティアは緊急の神会(デナトゥス)にへと参加していた。

 

むしろ、そのヘスティアが今回の緊急神会(デナトゥス)の原因である。

 

「{ここが正念場だ、ベル君達から了承を得ることが出来た。ボクがその信頼に応える時だ!!}」

 

「おうコラドチビ、正直に答えろや。はぐらかしは無しや」

 

神会にて最初に口を開いたのは犬猿の仲であるロキ。

 

「自分、あの子供らに何をした?」

 

「それについて話をしに来たんだ、あの子達が冒険者になれば隠し通せることは出来ないからね。後、今からは君の茶々に付き合う気はないからねロキ」

 

「?」

 

いつになく真面目なヘスティアにロキは眉を顰める。

 

「ここにいる神々に問おう、君達は怪人(クリーチャー)と呼ばれる存在を知っているか」

 

ぐるりとその場で視線を走らせながらそう問いかける処女神(ヘスティア)の眼は座っていた。

 

「「「!?」」」

 

その姿を見た天峰(オリュンポス)の神々は息を飲み、理解する。

 

温厚なる炉の処女神(ヘスティア)怒髪天(マジギレ)であると言うことに・・・。

 

「なんやねん、その怪人(クリーチャー)っちゅうのんわ」

 

「人間とモンスターの合成人種(キメラ)、埒外の化け物さ」

 

「なんやと!?」

 

『!?』

 

ヘスティアの説明を聞いて神々は震撼する。

 

まさか、人間とモンスターを合成(混ぜる)という狂気に満ちた所業を行う者が居るとは思わないからだ。

 

「ボクの眷族六名全員が怪人(クリーチャー)だ」

 

『!?』

 

衝撃の告白に神々は驚愕に支配される。

 

炉の処女神(ヘスティア)の眷族全員が件の怪人(クリーチャー)であるのだから。

 

「それで貴方は何が言いたいの、ヘスティア?」

 

フレイヤがヘスティアに問う、何故そんな派閥の、眷族の秘密を語るような真似をする理由を。

 

「ベル君達は元から怪人(クリーチャー)と呼ばれる存在ではなかった」

 

「どういうこと?」

 

ヘスティアの言葉に神友であるヘファイストスが問いかける。

 

闇派閥(イヴィルス)の人体実験によるものだ」

 

『!?』

 

ヘスティアの言葉に神々は二度目の衝撃を受ける。

 

ここに来て闇派閥(イヴィルス)の名が出るとは思ってもみなかったからだ。

 

未だに全てを飲み込みきれない神々にヘスティアは畳みかける。

 

「しかも、闇派閥(イヴィルス)は手当たり次第に人体実験をしているんじゃないかとボクは思う」

 

「その根拠はなんや」

 

「それはオラリオにやってきた冒険者志望の子供達、あるいは下級冒険者の子供達」

 

「!! そうか、下級冒険者特に新人に狙いを付ければ恩恵が消えたとしてもダンジョンで死んだと思われるその事を考えると説明は付く・・・!!」

 

「上級冒険者でも死ぬ時は死ぬ、それも狙って行動しているのかもしれんな」

 

ロキの後に言葉を続けるのは武神タケミカヅチ。

 

「確かに冒険者であればダンジョンに潜ることは日常で、死も付き纏う。それに付け込んでの蛮行という訳か」

 

タケミカヅチの後に言葉を続けるのは薬神ミアハ。

 

「つまり、闇派閥(イヴィルス)の連中はダンジョンを利用してその裏でクソッタレな計画を実行しとったっちゅう訳か」

 

「要約すればそうだね」

 

「舐めくさりよって・・・!!」

 

ヘスティアの言葉にロキも糸目が開き怒りが滲み出す。

 

「それで君達に言っておくことがある」

 

ヘスティアの言葉に神々の視線が集中する。

 

「娯楽好きの神共面白半分でボクの眷族に近付いてみろ、弁明は聞かない。問答無用の送還を覚悟しろ」

 

『!?』

 

明確な殺意と狂気を孕む眼をした炉の処女神(ヘスティア)がそう宣言する。

 

「{あぁ、闇派閥(イヴィルス)ご愁傷様}」

 

内心そう考えるのはヘファイストス、温厚でグータラで何処か憎めない炉の処女神(ヘスティア)は今は居ない。

 

見た目は幼い姿をしているが、炉の処女神(ヘスティア)は『国家守護』と『不滅』を司っている。

 

そして、炉の処女神(ヘスティア)の神格は大神(ゼウス)女神(ヘラ)の姉であり神格は二柱(ふたり)よりも上なのだ。

 

そして、天峰(オリュンポス)の神々の慈愛と狂気が炉の処女神(ヘスティア)にも出てきてしまった。

 

「ボクからは以上だ」

 

そう言い終えると、ヘスティアは席にへと着く。

 

『ぷはーっ!!』

 

ヘスティアが席に着いた瞬間、神々が息をする。

 

それが何を意味するかは言うまでもない、呑まれていたのだ。

 

神々は戦慄する・・・、炉の処女神(ヘスティア)の初めて見せる本気の憤怒と狂気に・・・。

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