白兎が怪人になるのは間違っているだろうか


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作:白米は正義
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魔剣嫌いの鍛冶師(ヴェルフ・クロッゾ)


新年あけましておめでとうございます!!

本年も「白兎が怪人になるのは間違っているだろうか」をよろしくお願いします!!

昨年は多くの読者の皆様に読んで戴き感謝しかございません。

これからもこの作品を楽しんで呼んで戴けるように尽力します。


ダンジョンから地上に戻ってくると僕は魔石と火炎石を除く怪物素材(ドロップアイテム)を換金し椿の工房に向かった。

 

その途中で椿の工房から怒声が聞こえてくる。

 

「いい加減にしろよ、椿!!俺のことを周りに吹聴するんじゃねぇ!!」

 

「何を言っている、ヴェル吉。お前は何か勘違いしているのではないか、人間(ひと)の身であの鍛冶神(バケモノ)超越(こえ)るには、『至高』に至るには血を、骨を、肉を、魂を摩耗(けず)り全てを捧げるしかないのだ」

 

「だから、お前のそれは逃避(甘え)でしかない」

 

椿の言葉には並々ならぬ重みがある、それは鍛冶派閥(ヘファイストス・ファミリア)団長にして『至高』を求める一人の鍛治師としての言葉だった。

 

制作(つく)ったとして最後には使い手を見捨てて砕けちまう魔剣(武器)なんて武器じゃねぇ、只の消耗品だ!!武器は使い手の半身だ、俺は認めねぇぞ!!」

 

「だが、それで使い手は生き残る確率は高くなる」

 

「・・・だとしても、俺は魔剣を打たねぇ!!」

 

そう言ってヴェル吉と呼ばれた赤髪の鍛治師が椿の工房から出てくる。

 

「おっと、済まない」

 

「あぁ、こっちこそ済まねぇ」

 

僕が入ろうとした時にヴェル吉と呼ばれていた飛び出してきてぶつかりそうになったがそれは未然に防げた。

 

「おぉ、ベルではないか!!どうした、まさかまた整備か?」

 

僕に気付いた椿がそう言いながら近付いてくる。

 

それに最初に反応したのはヴェル吉だった。

 

「ベル・・・、おい椿ベルって・・・」

 

「おぉ、此奴は今噂になっておるLv.8のベル・クラネルだ」

 

そう言いながら椿は僕の肩を組む。

 

「ベル・クラネルだ、よろしく」

 

「あ、あぁ。俺はヴェルフ・クロッゾだ、ヴェルフって呼んでくれ。家名では呼ばれたくねぇからな」

 

「了解した」

 

そうやって自己紹介を終えると、椿がこう言ってくる。

 

「そうだ、ベルお主からもこの頑固者に言ってくれんか」

 

「おい、他の派閥の奴まで巻き込むなよ!!」

 

さっきまで二人で話していたことを蒸し返してくる椿に怒声を上げるヴェルフ。

 

「まぁ、さっきまでの会話は外まで聞こえていたから事情は把握している」

 

僕の言葉を聞いてヴェルフは恥ずかしそうにする。

 

「だが、双方の意見はどれも納得は出来る」

 

更に続けた言葉で二人の視線はまっすぐ僕に向いた。

 

「椿の全てを賭しでもしない限り神々(バケモノ)には届くことはないということも、ヴェルフのいう魔剣は武器じゃなく消耗品だということも武器は使い手の半身だと言うこともな」

 

「「・・・・・・」」

 

「だったら、答えは簡単だ。不壊(こわ)れない魔剣を創れば良い」

 

「はぁっ!?」

 

「ほぅ」

 

僕の言葉にヴェルフは驚愕し、得心したような表情を浮かべる椿。

 

「おいおい・・・、何言ってんだよ。魔剣は限界が来れば砕けるもんだろ、そんなもん・・・」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「!?」

 

僕の言葉にヴェルフはハッとする、そしてこう言い切ってくる。

 

「上等だ、やってやるよ。俺が魔剣の常識をぶっ壊してやる!!」

 

そうして、火が付いたヴェルフは椿の工房を飛び出していく。

 

自分の工房に籠もるのだろう、新たな魔剣を生み出すために・・・。

 

「ベルよ、感謝するぞ。あの馬鹿者がようやく己が"血"を受け入れはじめよった」

 

「それは良いが、椿一つ訂正がある」

 

「なんだそれは?」

 

「僕は今Lv.8じゃなくてLv.9だ」

 

「は・・・?」

 

ステイタスの訂正をすると椿は唖然とした表情で僕のことを見てくる。

 

「いや、早過ぎるだろう。ベル、お主何をした?」

 

「お前なら解るだろ、例の一件だ」

 

「!! なるほど、そういう事だったか・・・」

 

過去への渡航、それは神々ですら信じがたいものであるからこそだ。

 

しかし、僕はそれだけが起因しているとは考えにくかった。

 

もう一つの起因はザルドさんとアルフィアお義母さんの血肉と恩恵を喰らったことも関係しているんだろう。

 

「それで管理機関(ギルド)に報告したのか?」

 

「あっ、忘れてた」

 

椿の指摘に気付き、ギルドへ報告すると文字通り大騒ぎになった。

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