白兎が怪人になるのは間違っているだろうか


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作:白米は正義
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もう一つの眷属の物語


過去の世界に来て何日か経過した。

 

闇派閥(イヴィルス)は断続的にオラリオを破壊していく。

 

僕はその間にも幾度か殲滅するも蛆のようにわいてくる。

 

そんな中で僕はダンジョンへと侵入を試みようとしていた。

 

目的は食事代わりの魔石を摂取することだ。

 

そのためにダンジョンへと向かおうとしたとき、一人の男神と護衛の笑みを張り付けた気味の悪い男が現れた。

 

「はじめまして、少年。俺の名はエレボス、こっちは俺の眷族でヴィトーだ」

 

「だからなんだ、僕に何の用だ」

 

男神の自己紹介に僕は冷たく接する、不敬かもしれないがヘスティア様以外の神は信用できない。

 

「反応が冷たいな、まぁ警戒するのは正しい。これでも闇派閥(イヴィルス)の親玉だから・・・」

 

「死ね」

 

僕はエレボスの言葉を遮り首を刎ねようと抜剣し斬り掛かるも割って入ってきたザルドさんに弾かれてしまう。

 

「退いて貰えませんか、ザルドさん。そいつを殺せない・・・!!」

 

「すまんが、それは出来ん。エレボスにはまだ役目がある」

 

止め処なく沸き上がってくる殺意を僕はザルドさんの後ろにいるエレボスに向ける。

 

「おー怖い、いやマジで。これゼウスの浮気を知ったときのヘラ並にヤバいな・・・、マジで」

 

「だな。しかし、このままというわけにも行くまい」

 

そう話しているエレボスとザルドさんの後ろからアルフィアお義母さんが現れる。

 

「ベル、少し話をしに来た」

 

「話って何ですか?」

 

「まぁ、色々だがここではなくあの教会で話したい」

 

アルフィアお義母さんの言葉に僕は剣を下ろすしか出来なかった。

 

教会に着くと僕達はいろんな事を話した。

 

それも各派閥の首領達の過去話なども聞かせてくれた。

 

かつての最強(ゼウスとヘラ)が健在だったときの話もたくさん聞かせて貰った。

 

僕もヘスティア様と過ごした事を話した、その度にアルフィアお義母さんは羨んでいる様な様子をしていたけど、それを指摘していたらザルドさんの様に福音正拳(ゴスペルパンチ)で地面に沈んでいただろう。

 

そして、話しの話題はあの事に変わってくる。

 

「ねぇ、お義母さんどうしても・・・」

 

「そうだ、これは私もザルドも覚悟の上だ」

 

アルフィアお義母さんは僕の言葉を遮りそう言い切った。

 

「なら、僕はお義母さんの遺志を繋ぐよ」

 

「そうか、ありがとうベル」

 

僕の言葉にアルフィアお義母さんはそう言うのだった。

 

その瞬間、大地が揺れた。いや、正確にはダンジョンが啼いた。

 

「!?なに、これ!?」

 

「そうか、実行したようだなエレボス」

 

「アルフィア、俺達の役目はもうすぐだ」

 

僕が驚く中でザルドさんとアルフィアお義母さんは平然としていることからこれがなんなのかを知っているようだ。

 

「お義母さん、これって一体・・・?」

 

「これは神殺しの怪物が誕生()まれたのだ」

 

「神殺しの怪物・・・」

 

それを聞いて僕はLv.8に至るときに倒した漆黒のモンスター二体を思い浮かべる。

 

「最期にお前と話すことが出来て良かった。これでようやく・・・」

 

そう言いながらアルフィアお義母さんは言葉を止める。

 

「ザルド」

 

「解っている、アルフィア」

 

「「ベル、私(俺)の血肉を呑め」」

 

「え?」

 

ザルドさんとアルフィアお義母さんの言葉に僕は呆けてしまった。

 

「お前のスキルは俺と似ている。だからこそ、俺とアルフィアの血肉を喰らえば更に力を得ることが出来るだろう」

 

「しかし、これは同時に賭けでもある。さっきの話しの中でも言ったが、ザルドの身体は巨獣(ベヒーモス)の血肉を喰らったことで全身を猛毒に冒され尽くしている。だから、お前には・・・」

 

「食べるよ」

 

僕はアルフィアお義母さん達の言葉を遮り答える。

 

「僕は今まで家族はお爺ちゃんしか居ないと思ってた。だけど、違ったんだ。僕にはまだ厳しくも優しく支えてくれる家族が居てくれたんだと言うことが知れて嬉しいんだ。だから、僕はそんな家族の思いを無碍にはしたくないんだ」

 

「・・・そうか」

 

「ベル、ありがとう」

 

こうして、僕はザルドさんとアルフィアお義母さんの身体の一部を喰らった。

 

「ぐがぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!??」

 

ザルドさんの一部を口にした瞬間、巨獣(ベヒーモス)の猛毒は当然の如く牙を剥く。

 

「ベル、巨獣(ベヒーモス)の猛毒に勝てよ。負けるな、止まるな、進み続けろ」

 

「ベル、お前は全てが終わるまでここでいろ。・・・さよならだ」

 

猛毒に悶えながらも二人の言葉が耳に届く。

 

駄目だ、行かないで。行っちゃ駄目だ!!

 

最初から二人はこうするつもりだったんだ、僕のスキルであれば時間がかかるが解毒もとい適応が出来ることを二人は見抜いていた。

 

だからこそ、僕に力を得させると同時に身動きを封じその間に計画を進めるつもりだったんだ。

 

「ふっ・・・ざけろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

僕は怒号と共にスキルに全神経を注ぎ込み稼働させる。

 

その結果、僕は巨獣(ベヒーモス)の猛毒に適応することが出来た。

 

「早く・・・お義母さん達を追いかけないと・・・」

 

そう言いながら進もうとした時、エレボスが姿を見せる。

 

「何の用だ、エレボス」

 

「うむ、俺がここに来たのは案内役を買って出たからだ」

 

「あん・・・ない・・・やく?」

 

「あぁ」

 

エレボスは自身を案内役だと言ってくるのに対して疑問を投げかける。

 

「何故、神が案内役をする?」

 

「いやなに、お前はザルドすら解毒できなかった巨獣(ベヒーモス)の猛毒に適応して見せた。その可能性をもっと見たくなってしまった、たんなる好奇心さ」

 

「・・・だったら、僕をどこへ案内するつもりだ」

 

「ダンジョン、十八階層でアルフィアが冒険者と戦っている。しかし、想定外の出来事が起こった。本来一体しか召喚されない神殺しのモンスターが二体産まれてしまったことだ」

 

「!?」

 

エレボスの言葉に僕は耳を疑った。

 

そして、僕はエレボスの考えている事を口にする。

 

「一体は冒険者が討伐するとして、もう一体は僕に討伐しろというのか」

 

「正解」

 

考えを言い当てるとエレボスは不敵の笑みを浮かべる。

 

「殴っても良いか」

 

「おいおい、勘弁してくれよ。Lv.8のステイタスで殴られたら送還されてしまう」

 

「じゃあ、手加減を覚えるための頭陀袋(サンドバック)になってくれ」

 

「はっはっは、イヤだね!!」

 

そんなこんなで茶番は終わりにして僕とエレボスはダンジョンへと向かうのだった。

 

しかし、摩天楼施設(バベル)は封鎖されているため闇派閥(イヴィルス)の使う経路でダンジョンへと向かう。

 

「ザルドさんはどうしたんだ?」

 

「ザルドは地上で現最強と戦っているよ」

 

「そうか・・・」

 

ザルドさんも戦っていることを聞かされ、僕も神殺しのモンスターとの戦いに戦意を高めていく。

 

そうして、辿り着いたのは完全に原型のなくなった二十五階層だった。

 

辺りは炎が燃え盛り、水も瀑布と化していた。

 

「ここが二十五階層なのか、まるで地獄だな」

 

「あぁ、そうだな」

 

そんなことを話していると半狂乱化したモンスター達が襲いかかってくるが、それは僕が剣で一掃する。

 

「エレボス、お前には役目があるとザルドさんから聞いているがそれはなんだ?」

 

「それをお前に教える必要はないが・・・、強いて言えることがあるとすれば"未来"かな」

 

「そうか」

 

僕の問いにエレボスがそう言った。

 

「それじゃあ俺は眷属達の元に行くとしよう。頑張ってくれベル」

 

「お前に言われなくても解っている」

 

そう言いながら破壊音のする方角を見ると、そこには上半身が巨人、下半身が大蛇、背中には翼の特徴を持つモンスターがいた。

 

「来い、モンスター」

 

そう言って僕の戦いが切って落とされた。

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