最強と最凶に育てられた白兎は英雄の道を行く


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作:れもねぃど
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第十七話 突撃!!ロキ・ファミリア



今回も投稿遅れました。
楽しみにしてくれた方がいたら本当に申し訳ない。

今回はネタ多め。
トップバッターは───ワザップ・アリーゼ


 

「あなた達を殺人未遂と誘拐の罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなた達がうちの新人(ベル)を傷つけたからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちにギルドへ訴えます。【ガネーシャ・ファミリア】にも来てもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方達は犯罪者です!牢屋にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!」

「す・・・【紅の正花(スカーレット・ハーネル)】?」

「・・・・・アリーゼ、それは誰から教わったの?」

「ロキ様です!!」

「「ロキ、ちょっと」」

「ひいぃぃぃ!!!堪忍してぇな!!!」

 

【ロキ・ファミリア】本拠(ホーム) 黄昏の館にて

アリーゼが当館の大広間に入って開口一番に放った言葉は、周囲を混乱に陥れた。

リヴェリアが目に見えて困惑した表情を浮かべ、アストレアが余計な事を教えた犯人を聞くと、彼女は胸を張ってその名を口にする。それを聞いてロキはその場を脱しようとするが、リヴェリアとアストレアに肩を掴まれてしまう。ロキ、お説教確定である。

 

「まぁ、団長様の冗談はさて置き──」

「ちょ、輝夜!私、これでも結構怒っているのよ!」

 

自らの訴えをおざなりにされたアリーゼがぷんすこ怒っているが、輝夜はしれっと受け流す。

 

「リリルカに聞いた通りだとしたら──大した失態ですこと。これについて、勇者様はどう責任をとるおつもりですか?」

「そうだよなぁ〜。この前の事もあるし、こりゃあそれ相応の代償を支払ってもらわないとなぁ~~~」

「ライラ、そういった話になった途端に生き生きするのは止めてください。顔が怖いです。」

「なんだよリオン。こないだ一緒に約束したじゃねぇか「【ロキ・ファミリア】の連中の顔が『ぐにゃあ』って歪むくらいの詫びの品を要求してやろう☆」ってよ」

「そんな事は言っていない!!私を巻き込むなぁ!!」

「・・・・・あなた達、ベルの無事が確認出来たとたんに雰囲気変わりすぎじゃない?」

 

輝夜、ライラと続き、ライラと口論になるリューを見てアストレアは少し呆れた様子で呟く。

そう、現在でこそ冗談を言い合っているが、先程まではまさに一触即発といった状況であった。

なにせ彼女達がパトロール中に、ベルのパーティーメンバーであるリリから泣きながら「ベルが【剣姫】に()られた」と伝えられたのだ。平然としていられるわけがない。

アリーゼ達はすぐさま他の団員と合流し、【ロキ・ファミリア】の本拠へと向かい、フィンに取り次ぐように迫った。

また、待っている間にも彼女達の空気はピリピリとしており、アリーゼは笑顔を張り付けた顔に青筋を立てながら「あんまり遅いと本拠の門に【アガリス・アルヴェシンス】して強硬突入しちゃうゾ☆」と言うし、輝夜も同様に笑顔を浮かべながら洒落にならないと殺気を放っていた。

極めつけはリューで、彼女に至っては魔法(ルミノス・ウィンド)を放つ準備までしていたのだ。

流石に今回はロキに小言の一つでも言ってやろうと思っていたアストレアも特に殺気立っていた三人を見て、完全に言う気がなくなってしまった。

この状況に一番気を揉んでいたのはライラで、他の団員達に「いざとなったら全力で取り押さえるぞ。」と耳打ちしていた。

幸いにも団長であるフィンと治療を担当したリーネの説明があり事なきを得たが、一歩間違えば『正義の派閥』と『都市二大派閥の一角』による洒落にならない『抗争』が繰り広げられていたかもしれない。

 

「先日に引き続き、本当にすまなかった。この件についてはそれ相応の償いをさせてもらう。勿論、【紅の正花】が求めていた慰謝料も払うし、可能な限り君達からの要望に答えると約束しよう。」

「──だ、そうですが、どうしますか?」

「・・・・・直接被害にあったのはベルよ。それについてはベルからの要望を聞くべきじゃないかしら?」

「確かに。私達だけで決めることじゃないかもね。」

 

フィンが真摯に頭を下げて提案してきた案を聞き、輝夜がアリーゼに意見を求める。

少し間を置いてアリーゼが自分の考えを述べると、リャーナがそれに賛同する。

他の団員達も異論はないようで、なんだかんだ言っていたライラも「まぁ、アリーゼが言うならそれでいいか。」とアリーゼの意見に同意した。

それを聞いたフィン達は、騒動がこれ以上大きくなる前に片付く事に内心安堵していた。

「それじゃあ、詳しい内容はベル・クラネルが──」と一旦、この話を区切ろうとした時──。

 

「どうした?何騒いでやがる?」

「あっ!ベートさん」

 

──よりにもよって今一番来て欲しくない人物が来た。

勘違いしないで欲しいのだが、別にベート()が嫌われているというわけではないのだ。

ただ、彼は口調の悪さとその性格から誤解を受けやすく、こういうのも悪い気がするが、折角まとまりかけた話をぶち壊しにしてしまう可能性があった。

だからと言って、彼の問いかけを無視するわけにもいかず、近くにいた団員が恐る恐るといった感じでこれまでの経緯を話す。

それを聞いた彼は予想通り顔を不快げに歪めた後、舌を弾く。

 

「チッ、またあの【アストレア・ファミリア(アバズレ共)】かよ。つくづく面倒くせぇ──」

「「「「あ”?」」」」

「ティオナ!ティオネ!ベートを黙らせろ!!!」

「了解!!」

「口閉じてろクソ狼!!!」

「ごっはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」

 

案の定、ベートからアリーゼ達に対する暴言が吐かれ、彼女達の口から決して乙女が言ってはならないような言葉が放たれる。

これを聞いたリヴェリアは、彼の近くにいたアマゾネス姉妹に素早く指示をだし、了解の意を示した彼女達は容赦なくベートへ全力の両腕双撃(ダブルラリアット)もとい同時挟撃(クロスボンバー)を叩き込む。

この攻撃を諸に食らったベートは凄まじい悲鳴をあげながら、入ってきたばかりの大広間を後にすることになった。哀れベート。

しかし、元凶が排除されところで放たれた言葉が引っ込むわけでもなく、その場に再び剣呑な空気が漂い始める。

 

──誰かこの空気をなんとかしてくれ!!!

 

一部の者達がそんな事を切に願っていた。そんな時──

 

「あ、あのぉ・・・・・」

 

そんな気まずそうな少年の声が大広間に響いた。

 


 

(ん・・・・・う、うぅぅぅぅ)

 

ここはどこだろう。

思考が纏まらず、自分がどこにいるかもわからない。

まるで水中にいるかのような謎の感覚を覚えながら、僕はろくに回らない頭を働かせようとする。

 

(あれ?僕、何してたんだっけ・・・・・?)

 

頭が回らないせいか、自分が何をしていたのかすらぼんやりと靄かかったようにはっきりとしない。

何とか思い出そうとするものの、そうするたびに何故か後頭部が痛みだし、うまく集中出来ない。

 

「ベル。」

「───えっ?」

 

頭を悩ませる僕の背後から、聞き覚えのある声がする。

その瞬間、見覚えのある景色が目の前に広がった。

その場所は僕がよく修行をする森だった。

そして、僕に声をかけてきた人物は──

 

「アルフィアお義母さん?」

「どうした?これから修行だというのにぼーっとして。具合でも悪いのか?」

「い、いやそんなことないけど・・・・・」

 

──なんでだろう?久しぶりにお義母さんに会った気がする。

そんなことはないはずなのに不思議とそう感じた僕は、内心首を傾げる。

お義母さんはそんな僕を見て「ならばいい」と言った後、言葉を続ける。

 

「さて、今日の修行はいつもと内容を変えるぞ。」

「え?いつもの目隠しして石を避けるやつじゃないの?」

「ああ、現にいつもはいるザルドが今はいないだろう。」

「あ!そういえば・・・・・」

「だろう。あと、今回は目隠ししなくてもいいぞ。」

「えっ!?それって修行になるの?」

「ああ大丈夫だ。それと今回使う『石』だが──これにする。」

「・・・・・・・・・・・えっ?」

 

そう言ってお義母さんは持っていた『石』を指差す。

それを見た僕は『石?』と疑問を持たずにはいられなかった。

 

「・・・・・お義母さん。」

「ん?何だベル?」

「それは『石』じゃないと思うんだけど・・・・。」

「何故だ?」

「いや、その、大きさが・・・・・。」

 

──それは『石』というにはあまりにも大きすぎた。

 

──大きく、丸く、重く、そして大雑把すぎた。

 

目測で僕の頭より二周りは大きく、とても重そうな『石』──というか『岩』だった。

しかしお義母さんはその『石』を軽々しく持っている。

 

「石だろう?どっからどう見ても。」

「石はそんなに大きくないよ!!!」

「確かに大きいが、大して重くないぞ?片腕だけでもこんなに簡単に持ち上げられる。」

「それはお義母さんの力が強いからだと思います!!!」

「──私が『石』と言えばそれは『石』だ。」

「理不尽!!!」

 

駄目だ!!わかっていたけど、お義母さんは絶対に自分の意見を曲げない!!

お義母さんの口調からそれを察した僕は軽く絶望する。

 

──お義母さん(アルフィア)が『白』と言えば『黒』も『白』になる。

 

まさに女王。

お義母さんの言うことには絶対に逆らわないというのが我が家の暗黙の規則(ルール)だった。

 

「つべこべ言ってないで修行を始めるぞベル。」

「ま、まって!!話を聞いて!!!」

「『英雄』になるのだろう?」

「そうだけど!!そんなものぶつけられたら死んじゃいます!」

「安心しろ人間はそう簡単にはくたばらん。──ではいくぞ。」

「いやぁぁぁぁ!!石を投げないでぇぇぇぇ!!!」

 

僕が情けない悲鳴が上がる中、凄まじい早さで此方へ向かって石が飛んできた!!

 


 

「───うわっ!?」

 

ベルは瞼を勢いよく開き、飛び起きる。

額には汗が浮かび、息は荒くなっていた。

 

「ゆ、夢?」

 

ベルは今までのことが夢だとわかると、ほっと胸を撫で下ろす。

流石に今回ばかりは死を覚悟していた。

 

「・・・・・ここは?」

 

乱れた息を整えたベルは寝ていた寝台(ベッド)から起き上がる。

今彼がいる部屋は彼自身に見覚えのない部屋だった。

広い部屋だが、部屋の中にあるものが寝台とどう見ても使われていなさそうな机のみで『生活感』というものが全くない。

空き部屋というのがふさわしい部屋だった。

そんな戸惑いを覚えつつ、ベルは部屋を見回す。

自分は何故こんな場所にいるのか。彼は記憶の糸を手繰り寄せる。

 

「・・・・!そうだ、僕は・・・・・。」

 

ベルは思い出す。

パーティメンバー(リリ)とダンジョン探索をしていた際に背後から誰かしらの攻撃を受けた事を。

彼は愕然として、一瞬で緊張感を纏い直す。

 

(この部屋はなんなんだ?僕は連れ去られた?リリは、どうなったんだっ?)

 

数々の疑問が彼の心中を満たす。

それをなんとか押さえ込んだ彼は、静かに寝台から抜け出す。

着ていたライトアーマーは脱がされて、近くに置かれていた。

体を拘束するものはなく、自由に動ける。装備品についてもライトアーマーのように近くに置かれていた。

 

(武装を没収されてないってことは・・・敵意はないのかな?)

 

そう考えたベルは一先ず安堵しつつ、部屋に自分以外の気配がないことを入念に確認し、廊下に繋がる扉に耳を当てる。

 

(廊下に気配はない・・・・・。出ても大丈夫かな。)

 

扉の取っ手に手を掛けて、開く。

案の定、廊下に人影はなく長く、広い廊下が奥まで続いていた。

 

「ここは、何処なんだろう?」

 

部屋から出たベルはその見覚えのない廊下で立ち尽くす。

自分はとんでもない場所に連行されたのではと、うろたえていると、

 

「ごっはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」

「!?」

 

廊下の最奥にある一際大きな扉から男の悲鳴が響いてきた。

その大きな悲鳴にベルは肩を大きく跳ねさせる。

 

(あ、あの扉の先で何が・・・・・・?)

 

とんでもなく不安になるベル。

だが声がした以上、そこに人がいるのは確実である。

 

(と、兎に角、現況を把握しないと・・・・・。)

 

だが、何時までもこの状況でいるわけにもいけない。

そう考えたベルは、ゆっくりと奥の扉に向かうと、意を決して取っ手に手をかけた。

 


 

「「「「ベル!!!」」」」

「!──ってあれ!?みなさん、どうし───」

「べぇぇぇぇるぅぅぅぅぅ!!!!!」

「ひでぶぅぅぅぅぅぅ!?」

 

聞こえてきた声の発生源に目を向けたアリーゼ達と、扉を開けたベルはほぼ同時に驚きの声をあげる。

そして次の瞬間、ベルの事が心配でしょうがなかったアリーゼが彼へ向かって走り出し、勢いよく飛び付く。

ベルは突然の事に全く対応できなかったベルは、アリーゼの胸が顔面にぶつかる形で今までいた廊下に押し戻された。

 

「ベル!皆心配してたんだからね!リリから事情を聞いた時には、心配で心配でいてもたってもいられなかったわ!!」

「あ、アリーゼしゃん、ご、ごめん、な、さいぃぃぃ。」

「「「「うわぁ・・・・・」」」」

「ンー、彼、無事に意識を取り戻したみたいだね。」

「あやつのせいで瀕死に逆戻りじゃがのう。」

 

ベルの顔を自身の胸に埋め、「よかった、よかった」と言いながら、しきりに頭を撫で回すアリーゼ。

アリーゼによって廊下に頭を叩き付けられ、本日二回目の瀕死状態になるベル。

アリーゼの奇行にドン引きする【アストレア・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の面々。

意識を取り戻したベルを見て安堵するフィン。

意識を手放しそうなベルとその下手人を指差すガレス。

 

───剣呑な雰囲気こそ去ったものの、そこには新たに混沌(カオス)な状況が出来上がっていた。

 

 





おまけ ベルの家での順位(ランキング)

一位 アルフィア 絶対的な女王様
二位 ベル 女王様の愛玩動物
三位 ザルド コック
四位 本 アルフィアの愛読書
五位 椅子 アルフィアお気に入りの安楽椅子
圏外 ゼウス ベルの教育における癌細胞
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