白兎が怪人になるのは間違っているだろうか


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作:白米は正義
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悪夢の再来


ダンジョン深層域・三十七階層「白宮殿(ホワイト・パレス)」最奥の大広間(ルーム)に一人の邪神がいた。

 

暗黒期に闇派閥(イヴィルス)の邪神達は【フレイヤ・ファミリア】【ロキ・ファミリア】【ガネーシャ・ファミリア】などの有力派閥に一掃され、天界に送還されたはずだった。

 

「ひ・・・ひひ・・・、オラリオが崩壊する様を天界で見届けてやるぅ・・・・・・!!」

 

薄気味悪い声でそう言いながら邪神は己の首に短刀を突き刺した。

 

その瞬間、神威が天上にへと向かって昇っていく。

 

そして、解き放たれた神威によってダンジョンは啼き、怒り狂った。

 

自分を封じ込めた神々が自分の中にいることを知ったダンジョンは二体の神殺しを産み落とすのだった。

 

「グゥルオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

一体目は漆黒の三つ首の凶暴なる巨獣。その額には赤・青・黄の宝玉が埋め込まれていた。

 

「グギュリュウァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

二体目は黒い鱗を持つ大型肉食恐竜。その肉体には黒い血を流し侵食をしていく。

 

その二体の神殺しは神々を殺すために地上へと進軍するのだった。

 

 

 

僕は装備を調えて双剣を試すためにダンジョンに潜っていた。

 

すると、ダンジョンが()()()

 

その後、下の階層から雄叫びが反響し聞こえてきた。

 

「グゥルオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

「グギュリュウァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

その声を聞いた瞬間、これは異常事態(イレギュラー)だと判断できた。

 

しかし、こんな時に何故か僕の口から涎が溢れた。

 

そう、僕は異常事態(イレギュラー)に対して未知への食欲(魅力)に歓喜を抱いていた。

 

そこからは僕の行動は決まっていた。

 

その未知()を食らうために疾駆(はし)る。

 

そうして辿り着いたのが三十階層、そこで僕は二体の神殺しに接敵する。

 

「お前ら、良いな。()()()()

 

そう言いながら双剣を抜剣し、魔法を唱える。

 

 

『幾ら喰らえどもこの()から溢れ零れでる飢餓(うえ)は満たされぬ』『美食()でも悪食()でも満たされぬ』『既にこの身は穢され侵食(おか)され禊も浄化も救恤(すく)いすら皆無()く罪過の烙印を刻み込む』『飢餓(うえ)象徴(しょうこ)たる(ぜん)大地(つち)を侵し、大海(うみ)を穢し、大空(そら)を閉ざす』『食物を喰らい、怪物を喰らい、精霊を喰らい、他者を喰らい、恩恵を喰らい、呪詛(のろい)を喰らい、病魔(やまい)を喰らい、意思を喰らい、誇りを喰らい、魂魄(たましい)を喰らい、我が身すらも喰らう底無し穴の幽鬼』『森羅万象全て喰らい貪り味わい飲み込み己が血肉と化す』『たとえこの身この魂が無間の地獄に堕ちようとも喰らい続ける』『この身はいずれ神々をも喰らおう』『蹂躙し数多を飲み干し平らげる 暴喰の覇道ここに極まれり』『暴悪に喰らい尽くす原罪の一角たる暴喰の化身(けもの)が胎動する』

 

【グラト二ー・サーベラス】

 

燃え盛る赫焱(ほのお)と激しく迸る金雷(いかづち)を全身と双剣に纏い、激突するのだった。

 

 

地上

 

ギルドではこの異常事態の対処に追われていた。

 

「おい、ダンジョンで異常事態(イレギュラー)の詳細を冒険者から聞き込んでこい」

 

「は、はいぃぃぃっ!!」

 

班長の言葉にミィシャが走って行く。

 

「各派閥(ファミリア)の冒険者を招集し、モンスターの地上進出を食い止させろ!!」「それから【フレイヤ・ファミリア】【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者には異常事態(イレギュラー)の原因の対処させろ!強制任務(ミッション)として発令しろ!!」

 

「は、はい!!」

 

ギルド長の言葉に指示にローズさんが走る。

 

「おい、チュールお前の担当している【ヘスティア・ファミリア】のLv.7であるベル・クラネルモンスター進出を食い止めさせろ!!」

 

「はい!!」

 

ギルド長の指示を聞き、【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)にへと向かうのだった。

 

その途中、最上級鍛冶師(マスター・スミス)の椿・コルブランド氏とぶつかってしまった。

 

「何やら騒がしいが・・・、もしや異常事態(イレギュラー)か」

 

冒険者達の様子から察してくれた椿氏にも今起こっている事態を伝えると衝撃の事実を知る。

 

「確か、今ベルが手前の鍛えた双剣を試すためにダンジョンに向かったはずだが・・・」

 

「え?」

 

その言葉に私は我が耳を疑ったが、その言葉を反芻する内にそれが現実だと言うことを自覚する。

 

ダンジョンの方へと顔を向けて願った。

 

「ベル君、どうか無事でいて」と。

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