白兎が怪人になるのは間違っているだろうか


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作:白米は正義
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暗躍


オラリオがベルの前人未踏の偉業を達成した事に人々が興奮冷めやらぬ中、闇派閥(イヴィルス)の幹部であるヴァレッタはいらだちを隠せずにいた。

 

「クソッタレがぁっ!!よりにもよってLv.7だと!?あんなクソガキがぁあああああああああああっ!!!」

 

怒りのままに叫び散らかすヴァレッタに対して白衣の集団は何も言わない。

 

言ったところで返ってくるのは言葉

、剣による一閃であることを知っているからだ。

 

しかし、そんな中で一人の男神がヴァレッタに話しかける。

 

「まぁ、そんなに喚いたって現状は良くならないよヴァレッタちゃん」

 

「・・・タナトス」

 

男神の名はタナトス、死そのものを司る神であり闇派閥(イヴィルス)【タナトス・ファミリア】の主神である。

 

「それに、あれだけ目立たれちゃったらこっちも迂闊には動けないよね。しかも、ダンジョンで襲おうにも格上過ぎて話にもならない」

 

「何が言いてぇ?さっさと言えよ」

 

 

まどろっこしいと言わんばかりのヴァレッタの視線と声にタナトスはこう言い放った。

 

「神殺しの怪物に相手をさせようよと思ってさ・・・、七年前と同じようにね・・・!!」

 

『!?』

 

目を血走らせながらそう宣言してくる主神(タナトス)に対してほぼ全員が絶句するながらヴァレッタのみが口角をつり上げながら嗤ってみせる。

 

「それ、良いなァ・・・!!」

 

「決まりだね、作戦決行日は一週間後ということで」

 

闇に着実に牙を研ぎ、ゆっくりと迫ってくるのだった。

 

 

 

【ヘファイストス・ファミリア】の帰り道、ヘスティア様をバイト先のじゃが丸くんの屋台に送り届けた後、僕は何か背中に冷たいモノを感じ取って後ろを振り返ると、そこには変わりの無い街の喧騒が広がっていた。

 

「気のせいかな?」

 

なにやら違和感を拭い切れていない部分があるが、気にしない事にした。

 

そして、一週間が過ぎた頃に椿から注文の品が出来たと連絡を受けた僕はすぐにダンジョンに潜る準備を整えて椿の工房へ足を運ぶのだった。

 

「おっ、来たなベル」

 

「完成したって聞いていても経ってもいられなかったからな、すぐ来た」

 

「はっはっはっはっは、そう言ってもらえるのであれば鍛冶師冥利に尽きるというものよ」

 

互いにそう言うと、早速本題に入ることにした。

 

「これが《ウダイオスの黒剣》で鍛え上げた双剣だ」

 

「おぉ!!」

 

椿の指差す方向を視線を向ければ、そこには漆黒の剣身を持つ二本の長大な両刃剣だった。

 

「随分大きいな」

 

「うむ、元々の素材の大きさもあったが故に双剣でありながら長剣のようになってしまった。更に言えば刀身の方もだんぴらになってしまって重量もそこそこある」

 

「ふむ」

 

椿の説明を受けながら僕は双剣の一振りを手に取った。

 

すると、ズシリと確かに重みを感じたが扱いにくさは無かった。

 

むしろ、逆に軽ければすっぽ抜けてしまうと思えてしまう。

 

「いや、これでいい。こっちの方が手に馴染む」

 

「そうか、それであれば良いのだが・・・」

 

椿はそう言うと、更に言葉を続けてくる。

 

「そして、注文通りその双剣は最硬精製金属(オリハルコン)を使用して不壊属性(デュランダル)を付与させてあるぞ」

 

「あぁ、助かる」

 

「それでだな、ベルその双剣は精製金属(ミスリル)も混合させてあるのだ」

 

「何故だ?」

 

「手前の鍛冶師としての直感だな、だからそうするべきだと手前は判断し、精製金属(ミスリル)を混ぜた。勝手な事だとは重々承知だ。料金の無料(タダ)でいい、向こう五年の整備費も無料(タダ)だ」

 

そう言ってくる椿の目は真剣そのものだった。

 

「いや、金は払う。お前の直感を信じる」

 

僕はそう言いながら懐からヴァリスの入った麻袋を椿へと渡した。

 

「そう言って貰えるのなら手前も鍛冶師冥利に尽きるというものだ」

 

椿は麻袋を受け取りながらそう言ってくる。

 

そうして、初めての特注(オーダーメイド)の武装を手に入れた僕だった。

 

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