白日終点   作:てんぞー

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暗雲

 ―――サルカズの能力は優秀だ。

 

 サルカズの戦士は屈強な肉体を持っている。男であれ女であれ、サルカズは戦闘に対して高い適正を持つ。力強く、頑丈で、そしてしなやか……男女でその比率に差はあれど、全体的に戦う為に洗練された資質を備えている。そしてはそれは肉体的な部分だけではなく、アーツの才能にも通ずるものがある。高いアーツ適性を持つサルカズという種族は生まれからして天性のアーツ術師だ。強力なアーツを使いこなせ、その上で感染を通して自身のアーツを強化する。これによってサルカズは遠近両方の距離で戦闘をこなす事が出来るようになる。

 

 だが何よりも恐ろしいのはアーツに通ずるからこそアーツの気配を感じ取り、対処できるという事だ。簡単には殺せないという特性が何よりも相手し辛い。だからサルカズの相手をするのは面倒であり、サルカズの傭兵というのは一定のブランドを持てるのだ。サルカズが魔族と呼ばれさげすまれているのは単純にサルカズが憎いからではない。魔族という言葉はサルカズの生み出す恐怖に対する言葉でもあるのだ。サルカズの傭兵共は魔族という言葉を笑って受け入れる。

 

 それが連中を評価する言葉でもあると理解しているからだ。

 

 つまり、何の話をしてるんだ? って事になるんだが。

 

 ―――要は、サルカズってめっちゃ殺しづらいんだぜって話だ。

 

 夜の廃墟の上に立ち、上から見下ろす視界の中にはみすぼらしいサルカズの姿が見える。ぼろい服に乱れた髪。そして肌に露出している源石の結晶。それだけを見ればどこにでもいるであろうスラムの住人だろう。だが自分の様に長くスラムに住み着いたサルカズであれば、頭の回るサルカズであればそれがそう見せているだけの偽装である事が理解できる。服の下には浮浪者にしては鍛えられた肉体が隠されており、足運び、移動する時のバランスがしっかりしすぎている。何よりも体内の()()が全くと言って良い程ない。鍛えられた人間と鍛えられていない人間を見分ける時はここを見るのが一番だ。

 

 ……グレー寄りの黒。傭兵に浮浪者のフリをする必要はないし。いや、だけど感じ的に黒だわ。

 

 直感的に黒だと判断する。こういう状況での直感に裏切られた事はない。或いはこれも、一種の先天性のアーツなのかもしれない。世の中には他人の感情を理解するアーツや、無意識に人を殺してしまうアーツがあるらしい。それを考えれば超直感を働かせるアーツなんてのもあるのかもしれない。だがとりあえず、自分に課したタスクを処理しなくてはならない。そう判断し、鋼糸の搦めてあるグローブを装着した手を握る。

 

 眼前の景色、廃墟の横を歩いてゆくサルカズは此方に気づく事もなく、しかし少しずつ、スラムの奥へと踏み込むたびに隠密を意識して歩く様になる。このまま奥へと進めば追跡が困難になるだろうが、その前に始末はつける。思考を作りながら長年住み着いた土地勘から来るコース選びでサルカズ浮浪者の姿を追跡し、人の気配がなく、そして襲撃しやすいスポットまで移動する。地上からは雑多に転がる廃墟で視線が遮られ上の方が見えなくなる、良い場所だ。

 

 そこにサルカズが入ってきたのを確認し、指に絡めた鋼糸を上から垂らす様に放つ。長年、アーツ抜きで鍛錬された技術は鋼糸を指先の様に器用に動かす事を可能とし、音もなく、そして空間に違和感を生じる事さえもなくあっさりとサルカズの傍に忍びよせることに成功する。

 

 そこまで成功すれば、勝負は決まる。

 

 一瞬で鋼糸を首に絡めながら建造物の出っ張りに引っかけ、廃墟から飛び降りる。

 

「な、がっ―――」

 

 一瞬で首を絞める鋼糸に体重が乗る―――いや、決して俺が重いという訳じゃない。胸の駄肉はそこそこ良いサイズをしている自信はあるけども。単純に人の重量というものは結構あるもので、それが首に集中するとどうなるかと言えば、首に食い込んだ鋼糸がそのままあっさりと首を切り落としてしまうだけだ。

 

「ふぅ、暗殺完了っと」

 

 首の切断面からスプリンクラーの様に放たれる血を汚しても良い襤褸の外套で受け止めつつ、フードを被って顔や髪に血がかかるのを避ける。その間に立ったまま死んでいる首無し死体に近づいて、その胸元やポケットに手を突っ込んで確認する。

 

「んー、財布があるな。中身は……身分証明書の類はなし、と。じゃあこっちか? 良し良し、あったあった」

 

 サルカズの死体を漁って幾ばくかの金銭をゲットしつつ、目的のコインを発見する。カズデルでは使用されている貨幣とはまた別の、特別な装飾が施された銀のコインだ。それは身分を―――いや、身分ではない。所属を証明する為の秘密のパスだ。これを所有しているという事はやっぱり、こいつは見た目通りの浮浪者ではなくそれに化けたサルカズ傭兵だったという事だ。まあ、1人だった事が運の尽きって奴だ。

 

「さて、源石化する前に去らなきゃな」

 

 死体の処理なんて面倒な事をする必要はない。サルカズの傭兵が死ぬ理由なんて腐る程ある。それこそ昨日は一緒に酒を飲んでいた連中が次の日には懸賞金欲しさに殺し合うなんて良くある事だ。連中は頭がおかしいのだから当然と言えば当然だろう。

 

 摂政の信奉者である事を証明するそれを弾き、握り潰して雷のアーツで一気に砕く。これでまた1人、テレジアの敵が消えた。これで少しでもテレジアが有利になれば良いのだが……摂政テレシスの派閥は大きい。雇っている傭兵を1人削った所では意味が薄いだろう。アイツが保有している切り札として運用する傭兵か……或いは聴罪師でも始末しない限りはその足並みが乱れる事はないだろう。だがそれでもやらないよりはマシだろう。こいつでも放置してれば変な事をやらかしかねない。

 

「ラブ&ピースな世の中には程遠いなぁ」

 

 どうして俺達は殺し合うんだろうかねぇ……。

 

 

 

 

「―――で、ゲストには帰っていただいたんだ」

 

「招かれざる客が居ついても困るからな」

 

 アジトに戻った所で血を被るのを回避する為に使った襤褸を脱いでそれを暖炉の中へと放り込む。”銀髪”と一緒に生活するようになってからねぐらをアジトとしてグレードアップさせる為に色々と手を出した影響で、今ではちょっとしたクオリティ・オブ・ライフの向上を感じている。それでもスラムにある廃墟を利用している事実には変わらないのだから、これでもまだ一般の家屋以下だ。それでもまあ、見た目が廃墟なのだから感染者や発狂者の類は入ってこない。見た目がみすぼらしいのが一番の自己防衛手段なのだ、ここらへんじゃ。

 

 それを”銀髪”も理解しているからこそ恰好は俺と同じようにぼろぼろの服装だったりする。

 

 彼女がこの廃墟に転がり込んでから数か月が既に経過している。なんとなく波長とでも言うべきものがマッチした俺らはこうやって共同生活を構築していた。お互い、邪魔にならない様にプライベートな事は分けつつ、ある程度の仲良しラインを構築できていた。ただ最近、そんな生活にも問題が出てくる。原因は俺や”銀髪”にある訳じゃない。

 

「最近あっちこっち派手ねー」

 

 ”銀髪”がすっかり占領したソファの上からそんな事を呟く。なので仕方なく新しく調達してきた俺様のソファに、服を脱ぎ捨てながら両足をテーブルの上に乗せる様に寛いで座る。

 

「ま、カズデルの外周部では既に小競り合いが発生してるからな。ここはまだ比較的に中央付近のスラムだから良いけど、更に奥へと進めば傭兵達がぶつかってる所が見れるぞ」

 

「知ってる。私もそろそろそっちに行こうかなぁ、って考えてたし」

 

「へえ、ついに独り立ちか。あのぼろぼろで無言のまま転がり込んできた”銀髪”が」

 

「素敵なお家だったからね。そこまで誘惑されたら断れないでしょ?」

 

「遠慮ってもんを覚えろ、お前は全く」

 

 と言って拒んですらいない俺も問題と言えば問題なのだろうが。馬が合うというのか? なんとなく居心地が良いから追い出せないんだよなぁ、なんて事を考えながらも溜息を吐く。

 

「今ので幸せを逃してそう」

 

「これで幸せが逃げるならもう一生分の幸福を逃してるわ」

 

「でもサルカズとして生きている時点で大体間違ってないわよね」

 

 正しい。恐ろしい程に正しい。サルカズなんて生き物、最終的にどうあがいても救われるイメージがないんだから生まれた時点で幸福を逃してるのに等しいだろう。だけど、まあ、頭を悩ませることを考えれば言葉と共に溜息がこぼれてしまう。

 

「どうして、テレジア……」

 

 どうして、こんなことを始めたんだ、テレジア。

 

 どうして、どうして、どうして。

 

 ―――どうして、逃げない。

 

 溜息を吐いて目を閉じる。どうしてという言葉が何度も脳内で繰り返される。それが今の状況に対するすべての感想だった。そのせいで最近はテレジアの所へと顔を出す事さえできなかった。いや、俺が意図的に避けているといった方が正しいだろう。俺にはテレジアが理解できなかった。それも会ってしまえば終わる話だろう。だからこそ怖いのだ。彼女がなぜこんな行動に出たのか、なぜこんな事をし始めたのか。

 

 何故―――摂政との政争を始めたのか、と。

 

「お姫様、と知り合いなんだっけ」

 

「昔」

 

 昔、小さかった頃の話だ。

 

「テレジアはスラムに迷い込んできた事があった。まだ若く好奇心旺盛で、無鉄砲だったころの話だ」

 

 その時に俺はテレジアと出会ったのだ。そして彼女がサルカズの王女だって知らずに友情を結んで、彼女が実は王族だってその後で知ってしまった。だけどそのまま彼女を見送ってしまうのが悔しくて、彼女の立場が王宮にはなくて摂政が全てを握っているという状況が悔しくて。サルカズに生まれた事で諦めていた事全てを放棄して、自分を鍛えて、傭兵から技術を盗んで、自分の身だけで王宮に潜り込むだけの力をつけて彼女に会いに行ったのだ。そうやって俺とテレジアの友情は続いている。籠の鳥である彼女に外の出来事や世界を伝え、俺が地球で培った知識や芸を披露する事であらゆることから切り離されていた彼女に世界を教えていた。

 

 ある意味で言えば、俺はテレジアの友であり、また先生でもあった。

 

 だけど確かに……俺はあの時間を、そして空間を愛している。また、王宮へと彼女に会いに行きたいという気持ちがある様に。だけど同時に恐怖を感じている。今現在、このカズデルが内戦状態に突入しつつあるからだ。今までの様な小規模なものではない。もっと大規模な、カズデル全体を飲み込むような勢いと破壊力を持ったそんな戦争が始まりつつある。後数週間もすればきっと、このカズデル全体が戦火に飲まれてサルカズ達は選択を強制されるだろう。摂政か、テレジアか。どっちに付くかを。

 

「そんなに仲が良いんだ、お姫様と。ねね、どういう人なの? あたし、話でしか聞いたことがないんだけど」

 

「テレジアか? テレジアは……まあ、優しくて、儚くて、今にも消えてしまいそうな程優しい人だよ。物腰は丁寧で、今まで見たことのある誰よりも美しくて……だからこそどこまでも非現実的で本当にそこに存在しているのかどうか疑わしい。だけど触れてみれば解るんだよ」

 

「解る?」

 

「あぁ、これは全部見えている範囲だけの事だ」

 

 テレジアの本質はそこじゃない。彼女の本質は見えていない所にある。優しく微笑み、そして助けようと手を伸ばしてくる。だけどその手の中に流れる血液は全て、

 

「マグマだ」

 

「マグマ?」

 

「そう、マグマみたいな熱量の塊。そういうレベルの感情が常にテレジアの四肢を駆け巡ってる。アイツを優しく無力なお姫様って評価している奴らは全員節穴だ。()()()()()()()()って理解させられる。根本的な部分で別生物なんじゃないか、って思わせられるぐらいには」

 

 彼女は―――彼女は、

 

「怒りの化身だ」

 

「怒りの化身?」

 

「そう、怒りだ。血管を通して怒りが体を駆け巡ってる。マグマが大地を駆け巡る様に彼女の体を常に循環している」

 

 或いはそれすら、俺が色々と教えたからこそ形が見えたものなのかもしれない。何も知らず、感じられないままであればあんな怪物的なものにもなる事はなかっただろう。だがそれでは生きているとは言えない。アレだけの感情を抱き、そして秘めて笑みを浮かべているテレジアの姿こそが生きていると言える姿だ。アレはもう、どうにもできない。焼き尽くすか焼け尽きるまで怒りを燃やし続けるだろう。

 

「いや、忘れろ。テレジアはお姫様だ。なんでもない、ただのお姫様。それでいいだろ」

 

「いや、そんな事を言っても無駄でしょ。興味が出たわ」

 

「忍び込むのは止めておけよ? 聴罪師にでも見つかると一発で首を跳ね飛ばしに来るからな。特に今、テレジアとテレシスが相対を始めた辺りかなりデリケートだからな」

 

 その言葉に”銀髪”が此方へと視線を向けて、にやにやとした笑みを向ける。

 

「なんだよ」

 

「いいえ、別になんでも? 思う所はあるんじゃないの? って事だけど」

 

「さーて、どうだろうな」

 

 テレジア対テレシスの対立が今、カズデルでは最もホットな話題だ。摂政として政治を掌握していたテレシスから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。無論、物理的な意味ではなく、政治的な意味で、だ。そもそも摂政の仕事は幼すぎる王や女王を補佐し、その間の政治を行う事だ。十分に育ち、自分で判断できるようになればその役割は終わるのだ。だというのにこれまで摂政が活動できたのはテレジアが政治に対して興味を見せる事もなく、そして干渉する事がなかったからだ。だからテレシスは好き勝手やってカズデルから戦火を広げていた。

 

 今やテラ中にサルカズ傭兵が広がっているのも、全てはテレシスの手腕だ。

 

 それをテレジアは後だしでテレシスの地盤が固まっている状態から五分の状況まで持ち込んでいる。もはやそのセンスを怪物的という言葉で表現して良いのかは解らない。だがテレジアは崩壊していた彼女の派閥を再編成、復活させ、そして彼女の前に立ちはだかる政治的な敵を正面から粉砕している。そしてそれに対応するようにテレシスがテレジアとの全面戦争の準備に入った。既にテレシスはこの国の主要な貴族の掌握を終えている。

 

 つまりこの国上層部の大半がテレシスの支援者、信奉者だ。その上で豊富な資金力があるテレシスはそれを利用して大量のサルカズ傭兵を動かしている。戦力も資金力も豊富なテレシスの軍勢は盤石であり、強力。これを崩す事は難しい。

 

 それに対してテレジアは摂政でさえ触れる事が出来なかった王家の財宝等を利用して一気に立場を固め、味方にできる貴族を取り込んだ。その上で次に取り込んだのは階級のある者達ではなく、一般人のサルカズやスラムに生きるもの、そして普通の傭兵達だった。凄まじい話だが、彼女は出会った人たち全てを覚えている。全てを忘れない。だから1人1人、テレジアと会って話すだけでそのカリスマ性に飲まれて、心酔する。テレシスには存在しない王者としての才覚で勝負を仕掛けている。

 

 だがこのまま政治で勝負を続けた所で、終わりは見えないだろう。テレシス、テレジア共にどこを目指しているのかは解らない。だがテレシスもテレジアも、互いを排除する為の動きを見せている。即ち、武力の行使。その兆候が見れている。

 

 俺が排除したサルカズ傭兵もそうだ。

 

 アレはテレジアの信奉者、支援者を削る為の工作員だ。スラムに居る人間の多くはテレジアの支援者だ。故にそこに対する破壊工作を行える傭兵を送り込む。シンプルながら合理的な手段でもあり、同時に手段を択ばないやり方でもある。だが誰が死のうと気にしない環境であれば、こんな強引な手段でも別に何の問題もなくなってくる。そしてこの手の工作員は最近、数を増やしながら見かける様になっていた。

 

 俺はそれを、誰かに言われる訳でもなく始末していた。

 

 理想は殺さない事に変わりはない。

 

 誰かを殺せばそれだけ悪縁を結ぶだろうし、それだけ因果を背負う。それでも殺さなければ止まらないという事実もある。故に迷う事無く殺して、排除して、スラムに浸透しつつあるテレシスの魔手を何とか食い止めていた。

 

 だが、それも近いうちに限界を迎えるだろう。本格的に両軍の衝突が始まれば暗闘と紛争でカズデルは一気に燃え上がる。そうなってしまえば1人2人排除した所でほとんどの意味はないだろう。

 

 俺のやっている事は極論、無意味に近い。武力衝突が始まってしまえば個人の活躍なんて大勢には意味がない。そしてどう考えてもテレジアにはその勝負の結末を握るだけのパワーがない様に思える。

 

 ……少なくともカズデル内では。

 

「悩んでる悩んでる」

 

「人が苦悩する姿を見て楽しむなこいつ」

 

「えー」

 

 笑う様に言ってくる”銀髪”の言葉にイラっとしつつも、結局のところ自分がどうしたいか、という問題である事を自覚する。俺は何をしたいのか―――いや、平和に生きる事が出来ればそれだけで良かったんだ。昼は適当に王宮に通ってテレジアと遊んで。夜は酒場で楽器を鳴らして傭兵達に歌を奏でる。それで生きて行く事が楽で楽しくて良かった。

 

 少なくとも、地球であった就職とか、勉強とか、政治とか、そういう話を一切する必要も考える必要も悩む必要もなかった。

 

 だけどもうそれだけじゃダメなんだ。そういう世の中になってしまった。カズデルではもう、考えずに生きて行ける事が出来なくなってしまった。

 

 ある意味で、

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 或いは、それこそが目的なのかもしれない。

 

 どちらにせよ、会わなきゃ話にならない。

 

 ……会わなきゃ。

 

 目を閉じたまま、このまま眠ってしまおうかと思って―――まだ、眠れそうにないのを感じる。誰かを殺して精神が軽く昂っていてそれが抜けない。いっそ、自分の身を慰めてしまえば楽になるだろうかと考えるが、それこそ馬鹿な話だ。そんな事やっている場合でもないだろう。

 

 あぁ―――面倒だ。

 

 なんで世の中はもっとシンプルでクリーンになってくれないのだろうか。

 

「ラブ&ピース」

 

 呟くような言葉が口から漏れれば、

 

「それ、好きだよね」

 

 銀髪から言葉が返ってくる。それに対してそうだなぁ、と零す。

 

「そうあって欲しい。そうであって欲しかった。そう願っての言葉なんだよ」

 

 ラブ&ピース、ラブ&ピース。大昔より多くの人たちが口にしてきた言葉だ。だけどこの言葉にどれだけの力があるのだろうか? この言葉で実際に平和を生み出せた事はあっただろうか?

 

 結局の所、この言葉はそういう事だ。

 

 ただの願望だ。

 

 古来より平和を生み出してきたものはとてもシンプルだ。

 

 血と暴力。それだけ。

 

 

 

 

「ここら辺も最近は騒がしいな」

 

 襤褸のフードを被って顔を隠す―――まあ、それなりに整っている自信はあるし、白に近い銀と蒼のグラデーションが混じった不思議な髪色は良く目立つ。これを隠す事無く露出していると直ぐに目を引くので、なるべく外に出る時は姿を隠す意味でも襤褸を纏っている。みすぼらしい恰好をするのが一番目立たない。少なくとも、このカズデルではそうだ。

 

 しかしスラムを出て都市中部へと出てみれば騒がしさはこれまでの比ではない。街中を武装した兵士が歩き、戦士が睨みを利かせている。些細な事でも直ぐに喧嘩が始まりそうな一触即発な空気が漂っている。気づけば観察するような視線が複数街中を抜けている。誰もが油断なく何かを探る様な視線を向けていた。あまり良い空気だとは言えない。普通のサルカズはもう、あまり街中を歩いてはいない。疎開する姿も増えてきた―――空き家が増えてきたならいっそのこと、中心部の空き家に移り住むってのもありかもしれない。

 

 本当に紛争が始まったとすれば、もはや誰も不法入居なんてものを気にしたりもしないだろう。

 

 ……家なんてものが残れば、の話になるが。

 

「警戒は上がってるか、流石に」

 

 都市部からは王宮が良く見える。徘徊している戦士達の姿は王宮に近づく者達を監視しているようにも見える。現状、テレシスとテレジアと最重要人物たちがバチバチに睨み合っている場所でもあるのだから当然だ。これまでは誰も気にする事のない事だからスルーされていたが、侵入するのもこれで容易ではなくなっている。

 

 まあ、俺も王宮に忍び込むのは慣れているから問題なく出来るんだが?

 

 というのも、サルカズの感覚は視覚や嗅覚よりもアーツに対しての感覚の方が鋭い。なのでアーツを使わず、純粋な技術としての隠密を行えば普通に見つからないのだ―――まあ、あくまでも一般的な相手に対しては、だが。少なくとも良く鍛えられた傭兵となってくると小手先の技術に頼っても無駄だ。

 

 なので移動手段はいつも通り。

 

 周りの気配に気を配り、自分の気配を遮断し、なるべく周辺の景色に自分の姿を紛らわせる。そこまで難しい事ではない。スラムで生きて、争いから身を遠ざけようとすれば自然と身につく技術だ。それを駆使して視線の向いている方向を意識し、その死角を通って進み、近づいた所で一気に城壁を飛び越えて侵入する。目は多くても、その全てが常に監視している訳じゃない。向けられている視線の瞬き、そして呼吸の合間にある意識の空白をちゃんと把握すればこの手の侵入は難しくはない。

 

 ここまで来てしまえば後は楽だ。

 

 鳥籠のある塔の下まで移動し、鋼糸を上に引っかけて地面を蹴ってから一気に鋼糸で自分の姿を上へと向かって引き上げる。何度も繰り返してやってきた事だけに簡単に上る事がこれでできる。そしてこの塔の窓は、俺が何時でも来れる様に常にテレジアが開けておいてくれている。

 

 今日も、それは俺を待っているかのように開いている。

 

 一気に窓枠の縁に足を掛けるように塔の外壁を登り切り、踏み込みながら視線を正面へと向ける。そこには何時も通りのテレジアの姿があった。籠の鳥である彼女は王宮の外には出れず、大半の時間をこの部屋と王宮内で過ごす。故に大抵の場合彼女は事実として本を読むか、或いは鍛錬を行っている。その本だってあまり自由に選べるわけではなく、俺か協力者の差し入れがなければ増える事もない。そんなテレジアはベッドに、誰かを待つかのように腰かけていた。その視線が窓から入ってくる此方を見て驚いたのを見ると、元々の待ち人が俺ではない事は確かだった。

 

「もしかして邪魔だった?」

 

「そんな事ありません!」

 

 思ったよりも大きな声が出たことに驚いたようにテレジアは口元へと手を寄せると、少し恥ずかしそうに顔を隠した。本当にかわいいなぁ、テレジアは。そんな事を口に出さない様に必死に堪えつつ勝手知ったるテレジア殿下の私室へと侵入する。部屋の中にやってくるとテレジアが微笑みながら手を取ってくる。

 

「最近、全く来てくれなかったのは寂しかったのですよ?」

 

「いや、ほら、それはテレジアが忙しそうだったしさ」

 

「”あなた”と話す時間でしたら何時でもありますよ……あ、でもこの後来客予定なんです」

 

 やっぱりそうか。今のテレジアは政治にも闘争にも精力的に活動している。テレシスと五分で渡り合っている、この鳥籠でテレジアを封じ込めるのはテレシスでさえ不可能となっている。その為、今ではテレジアの支援者が王宮内にまでやってくることが出来る様になっているようだ。白昼堂々と、どれだけ警戒していようが正面からやってくる事の出来るだけの強さを今のテレジアは勢力として手にしている。

 

 その中で来客予定と言っているのだ、おそらくは将来のカズデルを見据え、協力してくれる勢力との繋ぎを作ろうとしているのだろうか? 何にせよ、今日はタイミングが悪かったみたいだ。

 

「なら俺は出直すわ。邪魔になるだろうし」

 

「いいえ、丁度良い時に来てくれました。”あなた”にも出来たら一緒に居て貰いたいんです」

 

 近づいてきたテレジアは両手を取る様に頼んでくる。見た目が良いだけにそういう風に頼まれると物凄く断りづらい―――まあ、今では女だ。女同士ならこれぐらいの距離感普通なのかもしれない。ただ趣味趣向も考え方も、あまり元の地球人の男だった頃と変わりはしないだけに、テレジアの顔のアップはどきりとさせられるものがある。だから今度はこっちが顔を逸らし、こほん、と咳ばらいをする。

 

「ま、まあ……テレジアが言うならさ。俺がいても邪魔になるだけだと思うけど」

 

「そんな事はありませんよ。”あなた”がいたからこそ今の私があるんです」

 

 それは……どうだろう。結局、テレジアの天運と天賦であれば俺がいなくても勝手に同じ結末に至っていた様な気もする。俺は所詮、転生なんてものを果たしたイレギュラーだ。世の中、そんなものが存在しなくても十全に回るとは思う。いや、寧ろいなくても回る様に出来てなくちゃいけない。そんなイレギュラーで異常な存在が世界を回す様な世の中は歪だ、あってはならない筈だ。

 

 まあ、今日のテレジアは妙に押しが強い。握られた手に引きずられるようにそのままベッドまで引っ張られ、座る様に引き下ろされてしまった。その強引さに苦笑を零しつつも、最近は彼女を避けていてのも事実だ。少なくとも表面上は変化がない様に見えるテレジアの様子に安堵を覚えつつも近況の報告を行うとする。

 

 居候の”銀髪”が図々しいとか。でも最初はつんけんしてるくせに段々とすり寄ってくるあたりが子猫みたいで可愛いとか。或いはスラムの荒れようとか。最近は食べ物が手に入りづらいとか。傭兵達の酒場での痴態とか。そういう外の話を何時も通り、テレジアにしてあげるとそれを楽しそうに聞き入りながら時間はゆっくりと過ぎて行く。

 

 だがそんな時間も長くは続かない。

 

 やがて部屋へと向かってくる気配に、自然と言葉は途切れ、素早く反応するように鋼糸の準備を整えようとし―――テレジアが大丈夫です、と視線を送って立ち上がる。どうやら、テレジアが待ち望んでいたゲストが来たようだ。俺も座っていたベッドから立ち上がると襤褸のフードを被り直して顔を隠しつつ、テレジアの背後に控える様に待機する。それを見て、テレジアが小さく笑った。

 

「そこまで警戒しなくても大丈夫ですよ」

 

「テレジアが自分に対して無頓着だから俺が心配してんだよ……全く」

 

 溜息を吐きながらもテレジアの様子を見る限り、既に相手がどういう人物かは把握できている様に思えた。なら後はテレジアに任せよう。そう判断して静かに気配と音を殺して立つ。

 

 そこにこんこん、と扉に二度ノックがする。

 

「失礼、テレジア女王殿下。バベルの者です」

 

「お待ちしておりました。鍵は開いております故、中へどうぞ」

 

「……バベル?」

 

 聞いたことのない組織だ。少なくともメジャーな組織ではない気がする。聞き覚えのない組織に内心で首を傾げていれば、扉が開いてその向こう側から二人の男がやってきた。片方はサルカズの男で、口元をスカーフで隠しながらラテラーノ製には見えない、独自形式の狙撃銃を背負っている男だった。もう片方の男はサングラスを付けている小槌装備の男であり、両者ともに凄まじいレベルでの実力者である事を感じ取らせる気配を纏っている。それこそあのサルカズの”剣聖”クラスでも連れ出してこない限り正面からの相手は考えたくないレベルの実力者だ。それがいきなり目の前にやって来たのだから、心臓に悪い。

 

「ようこそいらっしゃいましたAceさん、Scoutさん。私のわがままに付き合って貰って……」

 

「いえ、此方こそとんでもありません殿下。俺達の方こそテレジア殿下の為であれば何時だって向かいます。貴女はバベルにとってはなくてはならない人だ」

 

「だから堂々としてください。それがわがままであろうと、私達にはそれを叶えるつもりがある」

 

 テレジアの言葉に対して柔らかい物腰を見せる二人の男に内心、安堵の息を吐く。本当にどうやらテレジアに会いに来た人たちの様だった。だけど正直、このレベルの実力者が会いに来るという事に対するショックと驚きが抜けない。バベルという組織が一体どういう目的がここへとやって来たのだろうか? その考えを推理する前に、Aceの視線が此方へと向けられているのに気づく。

 

「それでは彼女が」

 

「私が最も信頼し、信用する人です。私がこの結論に至る為の考え方、その全てを教えてくれた人でもあります。可能であれば、彼女もバベルに誘いたいと思っています」

 

「テレジア」

 

 静かに彼女の名前を呼び、襤褸のフードの下からテレジアに視線を向ける。名を呼ばれて振り返るテレジアは微笑みながら大丈夫です、と答える。

 

「私を信じて。そしてお願い、聞いてください―――きっと、”あなた”も納得します。バベルの理念に。バベルの行う事に……そして私が、何をしたいのかを」

 

 テレジアはそう言うと視線をAceの方へと向け、説明を求める様に頷いた。Scoutは扉が閉まっているのを確認し、何らかのアーツを展開する―――いや、見覚えのあるアーツだ。防音用のアーツだ。何か、聞かれたくない事を話す時に展開する奴だった筈だ。恐らくは漏らす事の出来ない内容がここで繰り広げられる、という事なのだろう。Aceはアーツの展開を確認すると此方へと視線を向け、

 

「では、あ―――」

 

「名前はない。サルカズ、でもお前、でも」

 

「礼に欠けるからそれは流石にな。いや、だが解った。俺達は……バベルという組織に所属している。我々は今、この大地に蔓延するとある問題に対して武力を、そして技術を持って対応する準備を行っている。現在、その基礎となる部分の構築を行って、その次の段階へと移行しようとしている。そしてこの全体の進捗は問題なく進んでいる」

 

 早い、早い早い早い! Aceが言っている言葉がちょっと頭の中に入ってこない。待ってくれ、バベルは何をしようとしている?

 

「あー、いやいやいや、待て待て待て。大地に蔓延する問題だと?」

 

 そんな言い方をされたら何に対処しようとしているのかが解ってしまう。このバベルという組織が何に対処しようとしているのか、その現実を前に声を荒げてしまう。

 

「お前ら鉱石病をどうにかしようと考えているのか!?」

 

「その為に専門の医療チーム、技術チーム、そして戦闘チームを構築している。既に鉱石病という病の解析、そして研究が始まっている。医療チームではこの研究によって抗鉱石病薬の開発を行っていて、一定の成果を見せている。バベルが表向けの医療組織を発足した際にはこれをあらゆる感染者へと向けて提供する準備も進めている」

 

「待て待て、待ってくれ。少し情報を整理する時間をくれ」

 

 頭を押さえながら頭痛の様に脳内を響くAceの言葉に、勿論だという返答を受ける。Aceが黙ってくれた事でこのバベルというキチガイの話を思い出す。こいつらは鉱石病に抗うと言っているのだ。しかも既に成果を出している? このテラの大地に突き刺さった呪いの杭をどうにかしようとしている?

 

「正気か……!」

 

「正気だ」

 

「だが正気でもなければこんな事は出来ない。違うか?」

 

 AceとScoutから肯定の言葉が飛んでくる。こいつらは、バベルの戦闘オペレーターは本気で鉱石病に抗うと言っているのだ。その言葉を聞けば、気配と揺らぎで解る。こいつらは心の底から本気で抗おうと思っているのだ。

 

「この大地に、本気でそれを行おうとする奴がまだいるなんて思いもしなかった……」

 

 俺はカズデルから出た事がない。だからこそ世界の全てがこのカズデルにある。そして傭兵達の話を聞いて、どこでも感染者は迫害され、恐れられ、そして疎まれる事を知っている。だからどこもそうだと思っていた。誰も鉱石病に抗う事なんてしないと思っていた。だけどいたんだ、頭のおかしい連中が。圧倒的な資金力と武力を保有したキチガイ集団が。

 

 この星の病を治そうという奴らが。

 

 そして、

 

 テレジアはそのバベルに協力しようとしていた。

 

「”あなた”が言ったんですよ」

 

 テレジアの声に、視線をテレジアの方へと向けた。

 

「カズデルを救うにはこの大地に蔓延する悲劇を止めるには、その根本から治療しなくてはならない、って」

 

「ああ、確かに……確かに俺が教えたよ」

 

 ラブ&ピース。それだけを謡って世の中が平和になりゃあ万々歳だ。だけどそんなもんで世の中は良くならないんだ。誰かが行動しなければならない。誰かが最初に動き出して変えなきゃいけないんだ。そうしなければ世の中は変わらない。そしてそいつらは既に存在していたんだ。自分から感染する事を恐れず、世の中を変えようとする勇気ある一歩目の先駆者が。それがバベルという組織で、

 

 テレジアが、このカズデルを救おうと思った。

 

 その為に必要だったのだろう、組織が。病と闘う為の組織が。

 

 バベルを生み出す必要があったんだ。

 

 あぁ。

 

 そうか。

 

 成程。

 

 ふと、納得してしまった。理解してしまった。理解に至ってしまった。

 

 ()()()()()

 

 このカズデルのテレジア対テレシスという紛争は、内戦の始まりは俺が原因なんだ。俺がテレジアに教えてしまった事が原因なんだ。何が正しいのか、どう考えれば良いのか、どう行動すれば良いのか。その基準となる知識と知恵を授けたのが俺だ。そしてそこから自分が何をするべきなのか、何をしたいのか。それをテレジアは考えて行きついてしまったのだ。

 

 この大地の病を取り除く、と。

 

「―――」

 

「ふふ、驚きました? だけど、”あなた”。私は変えたいんです」

 

 何を?

 

「サルカズを。ただ流されて燃え尽きるだけじゃない。自分で考えて、自分の脚で立って、そしてちゃんと歩ける種にしたい。明日を今日よりも少しだけ良くしたい。カズデルという私と貴女が出会えた場所を、良くしたい。その為には必要なんです。バベルという居場所と理念が。だから私は支持し、参加する事を決めました。バベルに。サルカズの女王として、サルカズを救う為にこれが最善で必然であるという事が」

 

 AceとScoutはテレジアのその言葉に口を挟まず、此方の話し合いの流れを見ていた。ただ他の侵入者や鼠がいないのを確認するように、時折視線を壁の向こうへと巡らせては気配を探っているように思えた。そんな事を確認しながら俺は、

 

 俺は―――迷っていた。

 

 テレジアの言っている事は正しい。だがそれは同時に茨の道でもある。感染者を救うという事は生易しい事ではない。死が確定しているこの病と向き合うという事は、たくさんの悲劇とたくさんの死と向き合う事だ。未だに感染者を救う方法は存在しない。つまり今いる感染者は全員、死ぬ運命にある。

 

 その死を全て乗り越えた先に、本当に希望はあるのか?

 

 それを、テレジアは目指せるのか?

 

 俺は、別に良いんだ。どうせ2度目の生だ。1度目で十分人間として生きた。どうせ2度目の人生がサルカズとして畜生の生を送っても文句なんて出ないだろう。だけどテレジアは……幸せになるべきなんだ。こんな良い子が、こんな子がただ茨と不幸の道を進むのは間違っているだろう?

 

 だけどきっと、もう止められないのだろう。

 

 俺が見てない所でテレジアは既に歩き出していた。籠の鳥だった筈のテレジアは既にその外へと向かって羽ばたいていた。もはやその飛翔を止める事は出来ないだろう。止まってくれ、と言っても止まる様な人でもない。

 

 ならもう、手遅れなのだろう。

 

 既に感染者の悲劇へと彼女は突き進んでいた。

 

 なら……ならば、俺に出来る事は?

 

 俺にしかできない事はなんだ?

 

 テレジアが己の本分を全うしようとする中で俺がすべき事は?

 

「”あなた”」

 

「テレジア」

 

 私ね、夢があるんです。テレジアはそう言った。

 

「全部終わって、テレシスをカズデルから追い出して、鉱石病の治療方法を見つけたら」

 

 見つけたら?

 

「―――貴女とシエスタへ行きたいの」

 

「―――」

 

 それは残酷なほどの殺し文句であり、俺が願った事そのものでもあり、彼女がそれを理解して使ったのか、或いは無意識に叩き込んできたかなんて解らなかった。だけど理解できるのは、

 

「Aceさん」

 

「さんはいらないが……なんだ?」

 

 ふぅ、と息を吐いて被っていた襤褸のフードを下ろす。長く伸ばした髪を開放しながら軽く頭を振り、完全に髪を伸ばしきってから視線をAceに向け、Scoutへと向け、頷いた。

 

「バベルの戦闘部門にオペレーターの枠はあるか? テレジアが本気でこの大地と向き合うというなら。本気でこの星に満ちる怒りと悲しみと悲劇に向き合うというのなら」

 

 約束された絶望に抗うというのなら。

 

「俺も戦おう」




Ace
 アークナイツ最強のイケおじ。この人の登場でただの萌えゲーじゃない事が証明されたのに序盤で死亡する。恐らくはバベル時代から所属していたエリートオペレーター。エリートの称号は強さではなく、ロドスの理念に殉じる事が出来、ロドス、或いはバベルが心の底から信じるものに与えられる役割。タルラに灰も残さず燃やされ死亡。

Scout
 名前からしておそらくは偵察・隠密・狙撃戦の特化型エリートオペレーター。Ace同様バベル時代からロドスに在籍していた人物であり、歳をそれなりに取っているとの話。チェルノボーグ撤退戦で多くのレユニオン精鋭をみちずれにする形で死亡。

”あなた”
 「同年代同性の友達……まあ、男友達に接するのと同じ感覚で接すればええやろ!」 これが原因で数名の距離感と心がバグる。

 バベルはロドスの前進、或いは母体となる組織。バベルからロドスが生まれた。そして恐らくエリートと呼ばれるロドスのオペレーターたちはブレイズやRosmontisを除けば恐らく大半がこのバベル時代から所属していたオペレーターたちだと思われる。或いはバベルのオペレーターがロドスに移行した時にエリートと呼ばれるようになったのかも……。
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