脳溢血になって10日が経つ。
明日、退院だ。
自慢が一つ出来たのは、連載を一回も落とさず、
続けられたことだ。
それどころか、『おぼっちゃまくん』の新作の
コンテを病室で描いている。
脳内の血管が破れ、出血したために、神経が
侵され、左顔面、左腕が麻痺して、当然、
脳の機能が小学生以下に低下したにも関わらず、
わしはギャグ漫画のアイデアを考え、シナリオを
作り、コンテを描いている。
最初に脳機能を検査した先生によれば、
これは大丈夫だろうか?復帰できるのだろうか?と
不安だったそうだ。
だが少なくとも、ギャグ漫画のコンテ一本が
もうすぐ上がりそうなほど脳機能が回復してきた。
『おぼっちゃまくん』新作の第一話は
「茶魔、入院する!」の巻だ。
わしは転んでもタダでは起きない。
麻痺は残ると言われたが、顔面は70%回復、唇は左端が
いまいちなので、退院して、人と喋らなければならない。
昨日から血圧の薬を飲み始めたら、195だった血圧が
160まで下がり、自転車リハビリを受けたら、
135まで下がった。
悔しいが、運動は効果がある。
あのリハビリ自転車は買おう。
入院して、10万馬力だったわしが100万馬力になって
復活する。
この病院の先生方は、鉄腕アトムの敷島博士のようなものだ。
こっそり仕入れた「ふりかけ」すら禁じた仕打ちも
恨まない。
あと一晩だ。