秋田の記録的大雨、住宅17棟や医療機関で浸水被害 農地冠水や断水、交通規制も
19日からの記録的大雨により、秋田県内では仙北市や北秋田・大館地域を中心に住宅や医療機関で浸水被害が確認されたほか、農業被害も徐々に明らかになってきた。今後の調査により、被害はさらに膨らむ見通し。県災害対策本部のまとめによると、21日正午現在で北秋田、仙北、大館、鹿角の4市で住宅17棟の浸水被害が発生。床上浸水は仙北市を中心に7棟、床下浸水は北秋田市などで10棟あった。人的被害はなかった。
大館市内の医療機関でも床上浸水が発生。休止中の病棟で、入院患者などへの影響はなかったという。
仙北市西木町上桧木内地区に発令されていた緊急安全確保は、21日午前9時20分に解除された。ただ、地区では配水管の損傷などにより、約70戸で断水が続く。自治体が給水コンテナを設置し、住民に水を供給している。冠水や流木、土砂崩れなどにより道路が寸断された桧木内、上桧木内両地区の住民は、道路の復旧が進んだものの1世帯3人の孤立は解消していない。市社会福祉協議会はこの日、災害ボランティアセンターを開設。今後ボランティアを募集する。
農業被害も少しずつ判明してきた。21日午前10時現在、仙北、大館、北秋田、上小阿仁の4市村で農地の冠水により、計191ヘクタールの水稲とソバの被害が確認された。内訳は水稲121ヘクタール、ソバ70ヘクタール。仙北市西木町では、パイプハウス12棟が被害を受けた。被害調査は22日以降も続き、被害額の算定も進められる。
大館市では旧鉱山の廃水処理場に廃水を引き込む導水管が20日夜に破損し、未処理のままの廃水が米代川に流出した。下流にある山館浄水場(大館市)と仁井田浄水場(能代市)の取水の水質に影響はないといい、管理会社が21日午後2時半までに復旧工事を終えた。管理会社などによると、廃水は亜鉛などの金属類が含まれる酸性水。処理場で中和などの処理をして米代川に放流しているが、大雨の影響で地中の配管が流され、未処理の廃水が近くを流れる沢づたいに米代川に流れ込んだ。
土砂の流入によって、道路の交通規制も続いている。国道341号は仙北市田沢湖玉川付近の20キロ、国道105号では仙北市西木町上桧木内~北秋田市阿仁長畑の19・9キロでそれぞれ全面通行止めとなっている。上桧木内玉川線も西木町上桧木内の5・4キロで全面通行止め。いずれも撤去作業や作業に向けた準備を進めている。規制解除の時期は未定。高速道路は秋田道鷹巣―二井田真中間で通行止めが続いている。
交通機関も乱れた。列車の運休などにより、北秋田市の秋田北鷹高校と能代市の能代高校定時制は21日、休校となった。大館市の大館少年自然の家は、のり面からの土砂流出が確認され、20日午後から施設を閉所している。