奨学金受けている大学生9割が “物価高で家計苦しい” NPO調査

若者支援を行うNPOが、奨学金を受けているおよそ350人の大学生に物価高の影響などをアンケート調査したところ、9割の学生が「家計が苦しくなった」と回答するなど、物価高に直面する大学生の厳しい実情が明らかになりました。

このアンケート調査は、若者支援を行うNPO法人、「D×P」が、21日、厚生労働省で会見を開いて明らかにしました。

アンケート調査は、ことし7月時点で給付型奨学金を受けている大学生を対象に行い、全国の354人から回答を得ました。

それによりますと、物価高での影響で「家計が苦しくなった」と回答した学生は322人で、全体の91%にのぼりました。

さらに食事についてたずねたところ、食費が増えたという学生は75.7%、満足した食事を取れていないという学生は、56.5%にのぼったということです。

とりわけ厳しい状況に置かれているのがひとり親家庭などの学生だとみられていて、なかには「値上がりした家賃が払えず、夜や昼のごはんを抜くことが増えた」といった声も寄せられたということです。

NPO法人「D×P」の今井紀明理事長は、「物価は上がる一方、給付型奨学金の金額は変わらず1日1食で我慢しているという学生の声が多く寄せられている。危機的な状況であり、国は、緊急支援を行いつつ、物価に応じて奨学金を増額するシステムの導入なども検討してほしい」と話していました。

国の調査でも物価高で深刻な影響

国の調査でも生活が「苦しい」と答える人が増えています。

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によりますと、2024年、全国のおよそ5000世帯に生活状況をたずねたところ、「大変苦しい」が28%、「やや苦しい」が30.9%でした。

これらを合わせて「苦しい」と答えた人は、全体の58.9%で、2021年と比べ5.8ポイント増えています。

さらに「苦しい」と答えた人を詳しくみると、「大変苦しい」という人の割合は47.5%と、2021年と比べて3.6ポイント増加していて、物価高の深刻な影響がうかがえます。

経済格差に詳しい明治大学の山田知明教授は「6割の人が生活が苦しいというのは非常に厳しい数字だ。収入が伸びないのに、物価は上がるなど、将来への希望を持てない社会になっていると強く懸念している。根本的に解決するためには所得の再分配ではなく、長期的な経済成長の戦略を考える必要がある」と話していました。

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