国内の外国人人口が過去最多の367万人と総人口の3%に迫る中、外国人住民の割合が10%を超える市区町村(政令市の行政区を含む)が昨年1月時点で全国20市区町村に上ることが、総務省の人口動態調査から分かった。これまで外国人の増加は工業地帯など都市部が中心だったが北海道や沖縄のリゾート地でも急増。北海道では人口の3人に1人が外国人の村も現れている。
総務省が今月6日に公表した今年1月時点の住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、全国の日本人人口は90万人減の1億2065万人だった一方、外国人は35万人増の367万人だった。これにより、総人口に占める外国人の割合は2・96%となった。
一方、昨年1月時点の同じ調査で外国人住民が人口の1割を超えているのは、3市2区4町5村と政令市の6行政区の計20市区町村。最も高いのは北海道占冠(しむかっぷ)村の33・8%だった。
これらの市区町村で外国人が増えた理由をみると、インバウンド(訪日客)の増加に伴いリゾート地のホテルなどで働く従業員らが急増。北海道の5町村や長野県白馬村、沖縄県恩納村などがこれに当たる。
工業地帯など都市部の外国人労働者も増加し、日系ブラジル人が集住することで知られる群馬県大泉町は人口の2割が外国人。中京工業地帯の三重県木曽岬町や岐阜県美濃加茂市でも1割を超え、日系だけでなくアジア系人口が増えている。
このほか東京都新宿、豊島両区や大阪市生野、浪速、西成各区などは、歴史的に外国籍の住民が独自のコミュニティーを形成しているとされる。
欧州の多くの国では、外国人の割合がすでに国民全体の1割を超え、2023年の経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国全体では11%。移民や難民と呼ばれる外国人の増加により、治安の悪化や社会の分断、政治の混乱が指摘されている。
「外国人が倍に…」リゾート型や工場型、独自コミュニティーも形成 「外国人1割超」の町