第2回体験者任せの平和教育、「犠牲ありき」を超え 対話を繰り返す学びへ

聞き手・本間ほのみ
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 戦後80年を迎え、今の子どもたちにとって先の大戦が遠くなる中、平和教育はどうあるべきなのでしょうか。沖縄県で生まれ育ち、県内外の子どもたちに授業をする「平和学習講師」として活動する仲本和(わたる)さん(25)に聞きました。

 平和学習講師として、沖縄県内外の中高生や大学生らに沖縄戦や平和、安全保障などについて考えてもらう授業をしています。

 きっかけは、高校生の時に「まずい」と感じたことでした。沖縄で生まれ育って小中高と、平和教育を受けてきましたが、高校で初めて、50代くらいの非体験者から、証言を伝え聞きました。これまで直接、体験者から聞いていた話が、戦争を体験していない、年齢も近くない人が間に入ることで、話が耳に残らない感覚があった。語り手により、聞き手の向き合い方が変わることに気づきました。

体験談だけでは

 体験者と聞き手の間に立つ人が、聞き手側の世代に近ければ、受け取るハードルを低くできると考えました。大学では沖縄戦や戦後史を中心に学び、1年の頃から修学旅行に来た県外の中高生や、県内の学校で話す活動を始めました。

 体験談は、当時の悲惨さに思いを寄せられる。平和を考える上で、体験談は大事だと感じています。

 一方で、平和教育は体験者任…

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    武田緑
    (学校DE&Iコンサルタント)
    2025年8月21日13時45分 投稿
    【視点】

    とても大切な問題提起だと思いました。戦争体験をした人がいなくなっても、平和学習は可能です。ノルウェーの平和学者であるヨハン・ガルトゥングは、単に戦争や暴力がない状態(消極的平和)にとどまらず、貧困、抑圧、差別などの構造的な暴力が存在しない状

    …続きを読む

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