最強と最凶に育てられた白兎は英雄の道を行く


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作:れもねぃど
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閑話 正花の苦悩


引き続きカオス。
今回は短い上に、少しメタい内容が含まれています。



 

「貴方達、流石にやり過ぎよ。」

「「・・・・。」」

 

本拠(ホーム)で起こった騒動から暫くして。

落ち着きを取り戻した団欒室では、バスタオルを巻いたアリーゼと全裸の輝夜が正座をし、珍しく厳しめの声色をしたアストレアが二人にお説教をしていた。

その周りでは正義の眷属達が心配そうにその様子を見守っている。

 

「アストレア様が珍しく怒っていらっしゃる・・・・。」

「まぁ、かなりひっどい騒ぎだったもんなぁ。」

「あぁ・・・・。おいリオン、大丈夫か?」

「えぇ。ですが、少し前の記憶が飛んでいるし、何よりとんでもないものを目にしたような・・・・。兎・・・直立する腸詰め肉(ソーセージ)・・・象・・・。うっ、頭が・・・。」

「リオン、貴方疲れているのよ。」

 

何かを思い出そうとして頭を押さえるリューを、マリューがやんわりと止める。

因みに気を失ったベルはノインの手によって彼の自室へと運ばれた。

──彼を運ぶ際に彼女から『ゴクリ』という音が聞こえたような気がするが、恐らく、多分気のせいだろう。

 

「確かにベルはとっても可愛いから、ついからかいたくなるっていう気持ちはわかるわ。」

「「そこは否定しないんですね、アストレア様。」」

「・・・・だってほんとのことじゃない。」

 

輝夜とアリーゼに初っぱなから出鼻を挫かれた形になったアストレアは、不貞腐れたように少し頬を膨らませる。そんな愛嬌のある主神に眷属達はきゅん、とさせた。

 

「わかります!キラキラな赤い瞳に、サラサラモフモフの白い髪。そして、あの可愛い顔!思わず抱きしめたくなりますよね!」

「しかも、抱きしめたら抱きしめたで、直ぐに顔を真っ赤にしてしまいますからね、兎様は。その時に此方を見る潤んだ瞳といったら・・・私、ゾクゾクしてしまいます。」

「反応も可愛いよね!初心っていうか、純真(ピュア)っていうか!」

「なんだかんだで、私達のことをしっかり異性として見てくれてるみたいだし。」

 

きゃあ、きゃあとガールズトークに花を咲かせる乙女達。

おかしい。さっきまでここはお説教の場だったはずなのに、いつの間にか『ベルきゅんの可愛いところはここだ!』の討論会場になっている。

そんな空気を変えるべくアストレアが咳払いをすると、アリーゼ達は会話を止め、再び場が静まり返る。

そのことを確認すると、アストレアは再び口を開いた。

 

「とにかく、ベルだって年頃の男の子なんだから、その辺のことは気遣ってあげてちょうだい。」

「はい、わかりました。」

「わかりました、アストレア様──」

 

アストレアの言葉にアリーゼと輝夜が頷く。

良かった、二人共解ってくれたわ、とアストレアが胸を撫で下ろす。しかし──

 

「──今度からは脱衣場でベルに許可を取ってから入ります。」

 

違うそうじゃない、とアストレアは輝夜の言葉を聞いて、項垂れる。

そうじゃないのよ、輝夜。年頃の男の子が入っている風呂場に突撃するなと言っているのよ、と言葉にならない想いが胸中に渦巻く。

そんなアストレアの胸中を察したのか、リューが口を開く。

 

「輝夜、アストレア様が仰りたいのはそういうことではない!だ、第一に男性と一緒に入浴するなど、は、破廉恥だ!!」

「そうは言ってもだなリオン。ベルは将来的には我々の伴侶となる男だ。他の女に目がいかないように『輝夜さん達、しゅきしゅきだいしゅきー』というくらいにしておいたほうがいいだろう?」

「は・・・伴侶!?」

「特にリオン。お前は今のところベルしか触れられる男がいないのだから、とり逃がしたら行き遅れコースまっしぐらだぞ。」

「なっ!?」

「【九魔姫(ナインヘル)】のように(よわい)百近いのに、男の影がちっともみえない女にはなりたくないだろう?」

「「リヴェリア様を馬鹿にするなぁぁぁぁ!!!」」

「な、何をするセルティ、リオン!!止めろ!」

 

尊きお方(ハイエルフ)を侮辱されたと感じた二人の妖精(エルフ)は輝夜へ向かって飛びかかる!

一方で、全くシリアスムードが長続きしない自らの派閥にアストレアは、割りと本気で頭を抱えた。

 


 

「・・・・・」

 

団欒室で輝夜達の取っ組み合いが巻き起こるなか私──アリーゼ・ローヴェルは真剣な表情である一点を見つめた。

目線の先には輝夜達が──より正確に言うならば輝夜の(おっぱい)がある。

 

(やっぱり、おっきいわね。)

 

輝夜が動くたびに彼女の胸がぷるぷる、ぽよんぽよんと連動するように暴れまわっている。──そう、風呂場でも確認したが彼女の胸は大きいのだ。それこそ母性(物理)と言えるほどに。

 

(それに比べて・・・・。)

 

私は自らの胸に視線を落とす。

──小さい。彼女と比べれば余りにも。

形は良いと思う。だが、圧倒的に大きさが足りない。

 

「ふっ・・・・。」

 

私は自嘲の笑みを漏らすと、床に手を付き、項垂れた。

 

──悔しい!

 

──女として負けた気がする!

 

どうしよう!うちの【ファミリア】はマリュー、リャーナ、ネーゼを始め、胸が大きい子が多い!このままだと私、ベルに見向きされなくなるかも!?

そんな失意の私に気付いたのか、マリューが心配そうに声をかけてくる。

 

「ア、アリーゼちゃん、どうしたの?いきなり項垂れたりして。具合でも悪いの?」

「いや、大丈夫よマリュー。ちょっと辛い現実に直面──ッ!!」

 

──その時、アリーゼ()に電流走る。

 

そうよ!そうだわ!マリューなら私の悩みを解決してくれるかも!

私は勢いよく立ち上がると、マリューの両肩を掴み、真剣な口調で彼女に話しかける。

 

「マリュー!【アストレア・ファミリア】が誇る治療師(ヒーラー)である貴方に聞きたいことがあるの!」

「な、何?急に改まって?」

「おっぱいってどうやったら大きくなるの!?」

「・・・・・・え?」

 

私の問いを聞いたマリューは、驚きで目を点にしていた。

いや、マリューだけじゃない。周りにいたネーゼ達や、さっきまで取っ組み合いをしていた輝夜達すら動きを止め、驚愕した表情で此方を見ている。

 

「え、えっと、アリーゼちゃん?何でいきなりそんなことを?」

「だって!マリューっておっぱい大きいし、治療師でしょ!?だからおっぱい大きくする方法知ってるかなと思って!」

「え、えぇっと・・・・。」

「お願いマリュー!!私も貴方やアストレア様、いや欲を出すならデメテル様やヘスティア様くらいの『ぐらますばでぃ』になりたいの!!!」

「「「「いや、あれは無理でしょ。」」」」

 

全員一致で否定された。

なんでよ!夢は大きく持ったほうが頑張りがいがあるでしょ!?

 

「でも今のままだと私、おっぱいの大きさで自信を持って「勝ってる!」って言えるのはセルティとライラくらいなのよ!」

「「おい、アリーゼ表に出ろ!」」

「このままだとベルに相手にされなくなっちゃうかもしれないし!!」

「お、落ち着いてアリーゼちゃん!ベル君はそんな子じゃないわ!」

「それでも!うちの派閥にはマリュー、輝夜、リャーナ、ネーゼからなる『おっぱい四天王』がいるのよ!」

「「「「おい、変な異名を付けるな!!」」」」

 

ベルだって『ない』よりは『ある』ほうが好きに決まってるわ!

そんな風にぎゃあ、ぎゃあと話し合っていると今まで話し合いに参加していなかったリオンが戸惑いながら私に話しかけてくる。

 

「ア、アリーゼ。マリューの言う通り彼はそんな人ではない。だから、少し落ち着い──」

「リューはまだ良いわよ!!」

「なっ!?いきなり何ですか!?」

「だってリューは『絵師さん』が変わればおっぱいが大きくなるじゃない!!」

「何の話をしている!!」

「私なんて、私なんて『本文』に『小さい胸』って書かれたのよ!!」

「だから何の話をしているぅぅぅぅ!!!」

 

一難去ってまた一難。

【アストレア・ファミリア】の長い夜はまだまだ終わりそうになかった。

 





そろそろベル君に魔法覚えさせたい。
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