最強と最凶に育てられた白兎は英雄の道を行く


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作:れもねぃど
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第一話 白兎



初めまして

アルフィアif、アストレア・レコードを見て
これらを絡めて妄想話を書きたくなった者です。
ご都合主義や独自設定が多めですが、楽しんでいただけば
幸いです。因みに作者にはあまり文才がありませんので投稿迄には時間が掛かる可能性がございます。



迷宮都市オラリオ

ヒューマンを含めあらゆる種族の亜人(デミ・ヒューマン)が生活しており、「ダンジョン」と呼ばれている巨大な地下迷宮の上に築き上げられた都市である。ダンジョンは数多の階層に分かれており、凶悪なモンスターの坩堝となっている。

そんな危険地帯にも関わらず、様々な目的を持って冒険者となりダンジョンへ挑む者達は後を絶たない。

ある者は富と名声を求め、またある者は未知を求め、それぞれの目的を持って冒険者達は今日もダンジョンへ挑む。

とあるヒューマンの少年も大きな目的を持ってダンジョンへ挑む冒険者の一人である。

 

「ヴヴォォォォォォォォォォォォォォ!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉ!!」

 

ダンジョンの5階層。

そこでは、怪物と人の咆哮が響き渡っていた。

片方はどう見ても駆け出しの冒険者であろう白髪赤目の

兎のような少年。

片方は牛に頭に人の体を持つモンスター「ミノタウロス」

そんな一人と一匹は全身全霊を持って戦っていた。

ある程度の経験を持った冒険者であればこの状況に驚きを隠せないだろう。

まずはミノタウロスについて

Lv.2にカテゴライズされるこのモンスターは通常、15階層以下の迷宮に出現するとされている。そんなモンスターが5階層にいるというのはある種の「異常事態」(イレギュラー)であると言えるだろう。

次に、ミノタウロスと戦っている少年について

ミノタウロスは駆け出しの冒険者が勝てるモンスターではない。挑もうものならすぐに殺されてしまうのが常識である。にもかかわらず、少年は得物である大剣を使ってミノタウロスと渡り合っている。

そして、一部の第二級冒険者や第一級冒険者であれば、少年の動きにも驚きを隠せないであろう。その少年が持つ「技と駆け引き」に。

ミノタウロスが拳を振るう。それを大剣の腹で受け流し、それによって隙が生じたミノタウロスの体を斬りつける。苦悶の表情を浮かべるミノタウロスはまたも拳を振るうが少年はその動きを読んでいたのか既に距離を取っており、その拳は虚しく空を切りその隙に少年はまたもミノタウロスを斬りつける。

その一連の動きは駆け出しの冒険者がとれるものではなかった。

力も体格もミノタウロスに劣るはずの少年がミノタウロスを翻弄していた。

自分の攻撃が少年に当たらないことに痺れを切らしたのか、ミノタウロスは両手を広げ、少年に突進する。

至極単純な攻撃ではあるが、その巨体と合わさって駆け出しの冒険者を威圧するには十分な攻撃である。

 

(―今だ!!)

 

だが、少年はその攻撃を好機と考えたのか、大剣の構えを瞬時に変更し、ミノタウロスに突きを繰り出す。

狙うのは胸。弱点の魔石があるであろうそこに、狙い通りに大剣が深々と突き刺さる。

 

「グォォォォォォォ!!」

 

大剣が魔石を砕いたのか、断末魔の叫びを上げたミノタウロスの体は灰となり、ドロップアイテムである『ミノタウロスの角』が地面に転がった。

少年はミノタウロスの角を拾い上げつつも、周囲の警戒を怠らなかった。

 

『ダンジョンでは何が起こるかわからん。』

『決して油断はするなよ。』

 

自らを鍛えてくれた叔父(ザルド)義母(アルフィア)の言葉を思い出しつつ先程の戦闘で乱れた息を整え、周囲を見渡す。

すると、少年の耳が接近してくる足音を捕らえた。

少年がそちらを見ると2匹のミノタウロスが此方に向かって来ていた。ミノタウロスは最初、何かから逃げるように走っていたが、少年の姿を認めるとモンスターの本能からか少年を殺さんとするように、進路を変更した。

少年はそのこと確認すると、冷静に状況を分析し結論を出した。

 

今のまま(・・・・)では対処するのは難しいと

 

そして、先程拾ったミノタウロスの角に目を落としつつ、未練があるのを隠さない様子で「しょうがないかぁ」と呟くと

 

ミノタウロスの角に囓りついた。

 

味に関しては「硬い、美味しくない。」としか感想がでてこなかったが、咀嚼し飲み込んだとき少年持つ『スキル』により、体に変化が起きる。『器の昇華(ランクアップ)』ほどではないが、それに近しいほどの『能力上昇(ステイタスアップ)』が起こった。その感覚に満足感を覚えつつ、大剣を構える。

ミノタウロスはもう少年の目の前といっていいほどの距離にまで接近していた。

ミノタウロスが拳を振るう。だが『スキル』によって

【ステイタス】が上昇している少年にとっては遅すぎた。

攻撃を危なげなくかわし、返す刀でミノタウロスの片足を斬り飛ばし、片足を斬られたことで体勢を崩したミノタウロスの首へ大剣を叩きこむ。首を斬られたミノタウロスは断末魔を上げる間もなく、その体を灰に変えた。一匹目のミノタウロス(先程)とは違い、まるで柔らかい肉にナイフを入れるように切れてしまうことに少年は驚愕する。「やっぱり叔父さんの《スキル》はすごいなぁ」と呑気に呟くと、残ったミノタウロスに目を向ける。ミノタウロスは同族が即座に殺されたことに動揺しているのか

「ヴゥ・・・」と鳴いてその場に留まっている。少年は

大剣を構え直して、最後のミノタウロスを倒そうとした―

次の瞬間、その怪物の胴体に一線が走った。

 

「へっ?」

「ヴぉ?」

 

少年とミノタウロスが呆気にとられた声をだす。

走り抜けた線は一本だけに留まらず、モンスターを細切れにする。

 

「グブゥ!? ヴゥモォォォォォォォ!?」

 

断末魔が響きわたる。

細切れになったモンスターの肉片が灰に変わった。

 

「・・・・大丈夫ですか?」

 

ミノタウロスに代わって現れたのは、金髪金眼の少女だった。

細身の体に蒼色の軽装を身に纏い、銀の胸当て、同色の手甲、モンスターを屠ったであろうサーベルからは血が滴っている。

そして銀の胸当てには「道化」を象った【ファミリア】のエンブレムが入っている。Lv.1で駆け出しの冒険者である少年でも知っている人物。都市最大派閥 【ロキ・ファミリア】に所属する第一級冒険者。

 

【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

「あの・・・・大丈夫ですか?」

 

再び問いかけられた質問に意識が現実に引き戻される。

そして、慌てて少女の質問に対しての返答を返す。

 

「はい!大丈夫です!」

「・・・怪我とかしてない?」

「していません!」

 

初めて会う第一級冒険者に少年は緊張してしまい、返答が少し上擦ったものになってしまう。

一方、アイズはというと少年の周りを一周して怪我がないかを確認し、大きな怪我がないことを確認すると満足げに頷き、少年へ次の質問を投げ掛けた。

 

「こっちにミノタウロスが逃げてこなかった?一匹は今倒したから、残り二匹くらい。」

 

現在、アイズは17階層で大量発生し、あろうことか集団で逃走してしまったミノタウロスを追って来ていた。その事を少年に説明すると、少年は「なるほど、だから5階層にミノタウロスがいたんですね。」と納得しつつ、アイズの質問に答えた。

 

「残りの二匹だったら、倒しましたよ。」

「―誰が?」

「僕がです。」

「えっ!?」

 

アイズは驚愕していた。

少年はどこからどう見ても駆け出しの冒険者である。

そんな少年がミノタウロスを倒すなど普通はあり得ない。

そんなアイズの胸中を知りもしない少年は、先程自分が倒したミノタウロスの魔石を拾い上げ

 

「これがその魔石です。もう一匹は魔石を砕いてしまったのでありませんが・・・」

 

少年はおずおずと魔石を見せてそう言っていたが、アイズは思考の渦に囚われたままだった。「本当に?」「どうやって?」などの疑問が頭のなかをぐるぐると回っていた。行動停止(フリーズ)したアイズの様子に「どうしたんだろう」と疑問に思いながら、自分のポーチに魔石を入れようとする。すると少年は自分のポーチが5階層(ここ)に来るまで倒したモンスターの魔石とドロップアイテム(戦利品)で一杯になっていることに気付く。

 

(今日はもう帰ろう)

 

そう考え、未だに思考の渦に囚われたままのアイズに「ありがとうございました。」と言いつつ、踵を返し4階層へとつながる階段へ向かう。

アイズが思考の渦から解放されたのは少年の姿がかなり小さくなってからであった。現実へ戻ってきたアイズはすっかり小さくなってしまった少年の背中を見ると、「ま、待って!」と言って駆け出した。

 

―どうしてそんなに強いの?

―どうやってそこまで強くなった?

 

無論、今の(・・)アイズに比べれば少年は弱い。

しかし、駆け出しの頃のアイズはミノタウロスなど倒せなかった。故に少年の強さの秘密を知ろるために少年を追いかけようとしたのだが―

 

「おい、アイズ」

 

後ろから声を掛けられ、駆け出した足が止まる。

声が掛けられたほうを見ると獣人―狼人(ウェアウルフ)の男が立っていた。

 

凶狼(ヴァナルガンド)】ベート・ローガ

 

同じ【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者である。

 

「こっちのモンスターどもは片付いたぞ。そっちはどうだ。」

「あ・・・はい、大丈夫だと思います・・・。」

 

「そうか」と言ってベートが近づいてくる。

その時、ベートにも少年の後ろ姿が見えたのか、嘲笑を浮かべながら「なるほどな」と呟いた。

 

「ミノタウロスに殺され掛けてた雑魚を助けてたのか。」

「えっ・・・あっ!!」

 

アイズは再び少年を追いかけようとするが、ベートに肩をつかまれる。

 

「やめろってアイズ。雑魚なんかに構ってんじゃねぇ」

「ベートさん・・・」

「弱ぇ奴等にかかずらうだけ時間の無駄だ、精々見下してろ。」

 

いくぞ、とベートに促されたアイズは名残惜しそうに後ろを見るが少年の姿はなく、渋々ベートの言葉に従う。

 

(せめて名前ぐらい聞いて置けばよかったかな・・・)

 

そんなことを考えつつ、アイズは仲間のもとへ戻って行った。

 

「すごかったなぁ」

 

バベルの塔 ダンジョン入り口前

アイズがそんな事を思っているとは露知らず

少年―ベル・クラネルは感嘆の声をあげていた。

感嘆の対象はアイズの剣技(・・)である。

高い【ステイタス】に裏打ちされた速い剣さばきに加え、まるでモンスターを殺す為に編み出された技。

どちらもベルが感嘆してしまうのも頷けるほどのものだった。

 

(あれが第一級冒険者。『英雄候補』なのか・・・)

 

『なれるかなぁ?』という胸の内に出てきた弱音をすぐに押さえ込む。

 

(『なれるかなぁ』じゃない、なるんだ!!)

(『最後の英雄』になるために!!!)

 

これが少年(ベル)が目的である。

幼き日、お義母さん(アルフィア)の前で誓った言葉を現実にするため、ベルはオラリオまで来た。

 

(そのためにも、もっと強くならなきゃ!!)

 

無言の決意を新たにしたベルは、夕日に染まる街中を

【ファミリア】のホームへ向けて駆け出した。

 





読んでくれてありがとうございます。
次回はベル君の所属ファミリアとステイタスについて書くつもりです。
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